遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
1 遺贈
相続人でない者へ財産を与える行為は、生前ならば贈与(贈与税の対象)ですが、遺言によって死後与える場合は、遺贈(相続税の対象)になります。
遺贈の遺言文例としては、
「遺言者は、遺言者の有する下記預金を、甥である凸山冬彦に遺贈する。」になります。
2 他の言葉でも良い
「遺贈する」という言葉に代えて、「与える」「取得させる」「甥のものにする」などでもかまいません。
3 財産の一部の包括遺贈は好ましくはない
包括遺贈とは、遺言者の全財産の全部または一定の割合を遺贈することを言いますが、財産の一部の包括遺贈は、全財産の一定割合の遺贈を意味しますので、例えば「遺言者は財産の1/3を甥の凸山冬彦に遺贈する。」という表現になります。この遺言を書いた場合、受遺者である甥の凸山冬彦は、相続分を1/3とする相続人と同じ立場に立ち、残りの2/3を有する相続人(1人とは限らない)との間に遺産分割協議をしなければならなくなります。
そうすると、遺産分割協議に患わされて、学業に専念できない事態に陥るリスクがあります。ですから、財産の一部の包括遺贈はすべきではないでしょう。
4 特定の財産は預貯金に限る
包括遺贈が良くないとなると、特定の財産を遺贈する特定遺贈ということになりますが、不動産などを遺贈しても、学費にするには換金などをしなければならず、決して好ましいことではありません。この場合は、預貯金が最も良い財産になります。