遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
1相続分
相続分とは、遺産分割の基準になる分割割合です。
2法定相続分
遺言で、相続分の指定がない場合の相続分(割合)です。
3 法定相続分の内容
法定相続分は、
配偶者と第1位の相続人が相続する場合は、配偶者1/2と子とその代襲者全員で1/2
配偶者と第2位の相続人が相続する場合は、配偶者2/3と直系尊属全員で1/3
配偶者と第3位の相続人が相続する場合は、配偶者3/4と兄弟姉妹とその代襲者全員で1/4になります(民法900条)。
4 同順位の相続人間の割合
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとするとされていますが、ただし、非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分の1/2とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血兄弟)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血兄弟)の相続分の1/2になります(民900)。
5 非嫡出子を差別するのは、憲法違反か?
嫡出子(法律上の婚姻関係ある男女の間で生まれた子。言わば正妻の子)と非嫡出子(婚姻関係にない男女の間に生まれた子、昔流の言い方では妾腹の子あるいは庶子)の間に倍半分の差を設けていることについては、憲法14条の法の下の平等に反するのではないかという議論があるところですが、最判平7.7.5は、婚姻関係の保護のためにこの差別は許されるという判断を示しています。
6 指定相続分
遺言で、法定相続分とは異なる割合の相続分を指定することができます。
その場合の相続分を指定相続分といいます。
文例としては、「私は妻の相続分を3/5,長男の相続分を1/5,長女の相続分を1/5と定める。」があります。
これをすると、遺産分割は法定相続分ではなく、指定相続分でなされることになります。