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相続 132 相続と登記

菊池捷男

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1 所有権の移転登記手続
相続が開始すれば、被相続人が所有していた財産は、相続人に相続されます。
不動産の場合は、相続人への移転登記手続が可能です。

2 共有
民法898条は「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」と定めています。

3 保存行為としての相続登記
民法252条ただし書きは「保存行為は、各共有者がすることができる。」と規定していますので、各共有者は、共有物について保存行為ができることになりますが、遺産である不動産を、遺産分割前の遺産共有状態に登記する行為は保存行為になりますので、遺産を共同相続人に法定相続分どおり移転登記手続をすることは、各相続人が単独でできます。
つまり、相続人が、妻Aと子Bの場合、AもBも、Aが1/2、Bが1/2になる登記手続は可能になるのです。
このときは登記記録の内容は「所有権移転」、登記原因は「相続」、登記原因の日付は相続開始時の日付になります。
そして、登記の内容は、共有者 
         持分2分の1(A)
         持分2分の1(B)
になります。

4 遺産分割協議が整った場合
 遺産分割協議が整い、特定の不動産が特定の相続人に帰属することになった場合、その不動産がまだ被相続人名義のままであるときは、その所有権移転登記手続は、登記記録の内容が「所有権移転」、原因は「相続」、その日付は相続開始時の日になります。この登記手続は、不動産登記法63条2項「相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。」により、相続人の1人ができるとされています(民事局長通達昭和19.10.19民事甲692号先例集上737ページ)。

5 すでに3により保存登記がなされている不動産について、遺産分割協議の結果、特定の相続人が単独で相続することになったときの登記手続は、不動産登記法63条2項ではできず、この場合は、登記上持分を失うことになる相続人を登記義務者とし、他の相続人の登記上の持分を取得する相続人を登記権利者として、両者の共同申請によりなされることになります。仮に上記の例で、AとBが遺産分割の協議をして、Aが単独で相続することにした不動産については、登記記録の内容は「B持分移転登記」、登記原因は「遺産分割」、日付は遺産分割のなされた日になります。

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菊池捷男(弁護士)

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