遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
1 遺留分減殺請求権は、誰が行使できるのか?
民法1031条は「遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。」と規定していますので、遺留分減殺請求ができる者は、「遺留分権利者及びその承継人」です。
⑴ 遺留分権利者
ア 配偶者
イ 直系卑属及びその代襲者 胎児も含まれます。
ウ 直系尊属
注意:兄弟姉妹やその代襲相続人である甥・姪には遺留分は認められていませんが。
⑵ 遺留分権利者の承継人
ここで、承継人とは、遺留分権利者の相続人、包括受遺者などの「包括承継人」の外に遺留分の権利を譲渡された者も含まれます。
実務では、例は少ないと思われますが、遺留分も譲渡ができるのです。
私の場合、実務での経験は全くありません。
⑶ 遺留分権利者から除外される者
遺留分権利者は、相続人でなければなりませんので、⑴の遺留分権利者のうちでも、相続権を失った相続欠格者、相続から廃除された者、相続を放棄した者は遺留分権利者にはなれません。