遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
1 実務での必要性
債務者が倒産してはいないが、支払を滞っているという場合があります。
その債務者も商取引をしているので、取引先からは売掛金が債務者の銀行口座に振り込まれるのですが、債務者は、銀行口座に振り込まれた預金はすぐに引き出すので、債権者が預金を差押えしても、その時は預金口座は空っぽということもあり得ます。
一番効果的なのは、債務者の取引先から債務者の銀行口座に振込があったA時点から、債務者が預金を引き出すB時点までの間に、預金の差押え決定書が銀行に到達することですが、タイミング良くそのような差押えが出来るとは限りません。
そこで、実務では、預金の差押え決定書が銀行に送達されたときは、その時点以後にその預金口座に入金になるものまで差押えの効果が認められることが望まれます。
2 裁判例
東京高等裁判所平成20.11.7決定は、銀行に差押え決定書が送達された後の3営業日の間に、その預金口座に振り込まれたお金についても差押えの効果が生ずるような差押えの申立に対し、銀行に過大な調査の負担をかけることを理由に、認められないと判示しました。
かくして、上記のような方法はとれないということになるのです。