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税金 4 年金払保障特約年金への、所得税の課税と相続税の課税は二重課税になり許されない

菊池捷男

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最高裁判所平成22.7.6判決の判決事案です。
1 年金を受け取る
妻は、夫が妻を受取人、保険金は年金で受け取る、という内容の生命保険に入ってくれていたおかげで、夫の死後、第1回目の年金を受給しました。
2 生命保険はみなし相続財産
ところで、生命保険金は、民法上は相続財産ではありませんが、相続税を課す場合の相続財産とみなされ(「みなし相続財産」という)ています。
3 年金で受給する場合は、年金合計額ではなく評価額が課税価格
年金で受け取る保険金(要は、生命保険金の分割払い)は、年金支給期間の年金全額ではなく、年金全額に残存期間に応じて定められている率を乗じて計算した金額を保険金受給権の額として相続税の課税対象となっています。
4 これまでの税務の取扱
これまでの税務の扱いでは、年金保障特約年金を受給する人は、年金評価額(正確には、これに他の生命保険金・年金保険の評価額の合計額を加え、生命保険金控除額を控除した後の金額)を課税価格として、相続税課税をしていました。
5 最高裁判所の判決
最高裁判所平成22.7.6判決は、年金受給権が相続税の対象となっているのに、さらに受給した年金に所得税を課すのは、二重課税になり、それを禁じた所得税法に違反すると判示しました。
6 税務の取扱の変更
この判決を受け、国税庁は、平成17年分から平成21年分までの5年分については、所得税が納めすぎになっている年金払保障特約年金を受給した人に、所得税を還付することにしました。
7 5年分を超える払いすぎの分
しかしながら、5年分を超える過去の分は現行法では還付できないため、平成12年分から平成16年分までの各年分に限って、特別の制度上の措置を設けて還付をすることを検討しているようです。
8 5年分しか還付しない理由その他
納めすぎた税金が5年分しか還付できない理由、民法上の不法行為による損害賠償請求や不当利得返還請求権の行使で、それ以前の納めすぎ税金の返還請求が出来ることは、本コラム「行政 13 固定資産税の過納金・・」で解説していますので、そこをご参照下さい。

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菊池捷男(弁護士)

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