遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
1相続人の確定
戸籍謄本、除籍謄本、戸籍の付票などを取り寄せて調べる。
2相続財産の確定と評価
・積極財産(資産)と消極財産(負債)の内容を、遺産目録として、エクセルを使って作成する。
・不動産は、市町村で固定資産税評価額を取り寄せれば分かる。
・遺産の評価は、相続開始時の時価が基準
不動産の評価は、相続税評価額(路線価)又は固定資産税評価額を暫定的に書いておく。
紛争になり、家庭裁判所の審判まで行くと不動産鑑定士による鑑定が必要になるが、そこまでいかないときは、話し合いで、路線価や固定資産税評価額が基準にされるケースが多い。
・マンションなどは、不動産仲介業者の査定書も効果的
・預金や借入金は、金融機関の残高証明を取り寄せる。
被相続人の死亡時以前の取引履歴を知りたければ、金融機関に対しその開示請求が出来る。
最高裁平成21.1.22判決は、相続人の1人からの被相続人名義の預金口座の取引履歴の開示請求を認めているから。
・上場株式は、被相続人死亡の日の終値を書いておく。
・非上場株は、税理士等の株価の鑑定書が望まれる。
3特別受益になる可能性のある生命保険金、死亡退職金の把握。
財産目録に書いておく。備考欄に受取人、金額、支払元などを書く。
4 特別受益の1「遺贈」
遺産の中に、遺贈の対象になっているものがあれば、その備考欄に受贈者の氏名を書いておく。これは「持ち戻し」計算をするため。この「遺贈」には「相続分の指定」も含まれる。
5 特別受益の2「生前贈与」
生前贈与を受けた相続人がいる場合、その氏名、財産の内容、評価額を調べる。
評価時期は、相続開始時期。昔の現金の贈与の場合は、総務省統計局の消費者物価指数を使って、相続開始時の金額に換算する。
これも「持ち戻し」をするため。
6 遺言の存否の調査
⑴自筆証書遺言は、検認手続がなされ、このときに家庭裁判所より全相続人に通知があるので、知りうる。
⑵公正証書遺言は、昭和64年1月1日以降作成されたものなら、すべてコンピューターで検索可能なので、最寄りの公証人役場で調べてもらい、どこの公証人役場で作成したかが分かればその公証人役場に直接、公正証書の謄本の請求が出来る。
7 遺言内容を調査・検討し、遺産分割が必要な財産を特定する。
⑴ 遺言で、すべての遺産の取得者が決められている場合→遺産分割の必要はない。
⑵ 遺言で、遺産の一部市価取得者が決められていない場合→その他については遺産分割の協議が必要
8遺産分割協議に入る。