遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
山陽新聞朝刊に、2010.7.25から7.30まで、サブタイトル「司法制度改革の影」と題して、岡山県下の若手弁護士の就業の様子が連載されました。
弁護士であってもたいへん興味深い内容でしたが、一般の人からもこの連載記事のことを話題にされることが多かったので、多くの人にとってこの連載記事は貴重なものであったものと思います。
1回目は、新卒弁護士でどこの事務所にも就職できない人がでていること、2回目は今年の司法試験合格者から司法修習生になっても給与・賞与がもらえなくなること、3回目は、それにもかかわらず、過疎地での弁護士の開業は遅れていること、4回目は瀬戸内市では週1回勤務の弁護士が生まれたこと、また、5回目は弁護士の急増を緩和し質の維持をと呼びかけている岡山弁護士会会長の言葉が紹介されています。
かつて、弁護士は、就職先には困らない、いわゆる売り手市場でしたが、今は、就職したくとも一定の数の人は就職できないという、買い手市場になっています。また、現在までのところ、司法修習生になると、普通の国家公務員より高い給与・賞与を得ていますが、やがてこの制度もなくなります。
イソ弁(勤務弁護士)の初任給も激減している模様です。
弁護士を志す人には、まことに苦しい時代が到来したと言えるのですが、そうかと言って、新卒の弁護士が新たな仕事の場として過疎地で開業することにはまだ消極的である、という現状にあることが窺われます。厳しいと言いながら、まだ十分実感のない時代と言えるのかもしれません。しかしながら、一部の弁護士は、時代の先を見て、走り始めています。
弁護士は、今、競争のないぬるま湯時代から、競争時代に入った、と言えるのですから、また、競争の中でこそ人や企業は磨かれるのですから、今は、弁護士にとって、実力を磨き、成功の階段を上っていけるチャンスの時代ととるべきでしょう。
過疎地への積極的な事務所の開設、無料の法律相談の積極的な利用、企業や行政への積極的な売り込み、個別の相談に於ける真心のこもった対応、迅速で正確な調査と報告等、社会にあるニーズに応えた、他の弁護士にない優位性を確立すべきです。
そうすれば、嫌でも仕事は来ます。
早い話、仕事の出来る弁護士は、先輩弁護士が放っておきません。仕事の協力を求めてくるのです。
弁護士にとって苦しい時代は、実力を養う時代だと思うのです。