遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
本を読むことです。
多くの人に、文章の手本とされてきた書籍で、有名なものの1つに、18世紀の歴史家エドワード・ギボンが著した「ローマ帝国衰亡史」があります。
この本は、インドの初代首相ジャワハルラール・ネールが名著「父が子に語る世界歴史」の中で、「流れるような旋律を持った文章を、どんな小説よりも夢中になって読んだ」と読後感を書き残した本であり、哲学者バートランド・ラッセルがいうところの「芸術としての史書」であり、著名な外交官がこの本により問題解決の知恵を得たと繰り返し語ったとされる本であり、英国首相ウイルストン・チャーチルがここから学びとった叙述法で、「第二次世界大戦回顧録」を書きノーベル文学賞を受賞した、とされているほどの文章で綴られた本ですが、邦訳で読んでも、私など、その豊富な語彙、豊かな表現力、吸い込まれるような論理、圧倒される説得力、美そのものと言って良い流麗な筆致に、ただ陶然と酔ってしまうほどの感銘を受けたものです。
この本の持つ圧倒的な説得力はどこから来るのか?
それは、ギボンが、その時代に得ることの出来たあらゆる資料を渉猟(しょうりょう)し、緻密な分析で“事実”を浮かび上がらせ、その事実の上に、分かりやすい表現で、“論理”を築いている点にある、と不肖この私はそう思いました。
文章力とは、なによりも正確な事実を書き、その上になんぴとも納得しうる思考のプロセス、すなわち論理を築く能力であることが、この本を読めば、確信できると思います。
拙著「弁護力第二版」第四章で、文章力の重要性を具体的に書いています。