遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
親の死を境に、兄弟姉妹が憎しみを持って相続争いをする図が、多くの家庭で見られます。
円満な相続ではなく、兄弟姉妹という、本来情愛をもって接しうるはずの複数の家庭や家族が争う「争族」になっているのです。
争族にしないためには、
⑴被相続人になる人(親)が生前、その原因をなくしておくこと。
そのためには、①財産の明細を書き残しておき、②遺言を書いておくこと。③相続人になる子供間で差別的な財産の与え方をしたいときは、その理由を明らかにしておくこと
⑵相続人も、もともと遺産は、親がつくったもの、親は財産の一定割合(子が相続人の場合は半分)は親が誰からの制約も受けずに財産処分ができる自由があることを、認識しておくこと
が必要でしょう。
⑴の①は、相互不信に陥った兄弟姉妹間では、もっと外に財産があるはずだなどの紛争が多いことから、その不信が生ずることを避ける意味があります。②は、遺産分割協議で紛争が生じにくくする意味、③は、例えば、長男は、家の跡継ぎなので、多く与える。三女は可愛くてならないので、この財産を与える、というだけで、相続人は、差別的な財産の配分を納得するものなのです。
⑵は、遺留分制度への理解です。
子は、親の財産の内、その半分については、法定相続分どおりの財産をもらい受ける権利はあります(これが「遺留分」という権利です)が、残りの半分は、親の自由にさせてあげるという考えを持つことです。
相続問題については、多くの具体的な事例を、http://www.shinenet.ne.jp/~kikuchi/の「弁護士菊池捷男の法律実務レポート」の中で紹介しています。