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コラム

セルフプロデュースマーケティングその1

2022年12月6日

テーマ:新入社員

コラムカテゴリ:ビジネス

 新入社員研修や中核人財研修では「研修に参加する皆さんが幸せになること」がテーマとして含まれています。
 力量を身に着けることは、皆さんの人生が幸せになるためのマーケティングのスキルを習得することに等しいものです。
 研修の最初には、そんな幸せのマーケティングスキルを身に着け、人生を変えた人の話を紹介しています。

 税理士で会社を立ち上げた田村麻美さんの話です。

 私には大きなコンプレックスがあります。顔と頭の大きさです。親からは「可愛い、可愛い」と言われて育った私ですが、小学1年生でひとつの事実に直面しました。小学生が共通して被る、あの黄色い帽子に頭が入らなかったのです(笑)。
 その上、気になっていた男の子から「ブスだな」と言われたり、集合写真の中で自分だけやたら顔が大きいことに気づいたり…。色々とショックではありましたが、その時私は子どもながらに「あ、これが私を他人から見た事実なんだ」と受け止めたのです。
 そこから、「自分という人間は人様に選んでもらえることがあるんだろうか」と考え続ける人生が始まりました。そんな人生の要所要所で私が行ったのが「セルフプロデュースマーケティング」です。「自分を売るための戦略を立てる」ということです。
 私の戦略は四つ。

  1. 最終ゴールを明確にする。
  2. 明確にした上で、自分という「商品」を客観視する。
  3. 客観視した自分に、足りないと思う武器をつける。
  4. 今の状態の自分を確認するため市場調査に行く。

 当時中学生だった私はさっそくゴールを設定しました。
「20歳までに彼氏ができる」
「30歳までに結婚する」


 そして万が一、生涯一人で生きていくことになった場合に備えて「経済的自立もしておく」というゴールも考えました。
 続いて、商品である自分を査定するために、私は五つの指標(判断基準)を作りました。それが「見た目」「経済力」「学歴」「居心地(人柄)」「相性」です。
 こんな話をすると、「人を見た目で判断してはいけない」なんて思われる方もいることでしょう。でも、そうは言っても、もしまったく同じ中身の人がいたとしたら、やっぱり自分が好きな見た目や雰囲気の人のほうを選んでしまうものですよね。第一印象というものはバカにできません。これはもう人間として仕方ないことです。ですからまず「他人からの見え方」について一度は客観的に受け止めないといけないのです。
 では、どうやってその見た目を査定するか。簡単です。集合写真の中の自分を見てみるのです。
 これは「自分の見た目大好き!」という人でもない限り、つらい作業であることは否めません。でも、「集合体の中で自分という商品はどう見えるのか」を理解することは非常に重要なのです。
 「そんな他人との比較で自分を測りたくない」という方もいるかもしれません。でも自分は他人からどれくらい「買いたい」と思われる商品なのかを、見た目の価値だけで測る必要があるのです。
 大事なのは「性格はいい」とか「髪はツヤがあってきれい」とか、見た目以外の要素でかばわずに自分の見た目だけを直視するということなのです。
 その結果私が分かったのは「私は紛れもないブスだ」ということです。ここから本格的なマーケティング戦略がスタートしました。
 先ほどの五つの指標から見た中学3年生の私の結果はどうだったか。「0点」でした。 「見た目」はブスで、「経済力」もないし、「成績(学歴)」も微妙でした。「居心地」についても自分のことがまったく分かっていませんでした。こんな状態で、どうやって「20歳までに彼氏」を達成できるというのでしょう?
 中学生の私は、さらに考えていきました。「そもそもどんな男性とお付き合いしたいのか?」と。一応、自分の理想とか思いというのはあるわけです、「できればイケメンがいいな」と(笑)。でも、冷静に判断して私の外見ではかなり確率が低いわけです。ですから、「じゃあ、逆にどんなタイプだったらお近づきになれるかな?」と分析を進めました。
 ここで使ったのが「セグメンテーション(市場細分化)」です。年齢や趣向など様々なカテゴリが存在する中、共通点に注目して分類していくマーケティングの手法です。
 自分が勝負しようとしている市場にはどんな特徴があり、どんな人たちが存在しているのか─。当時中学3年生の田村少女は、身の回りの男子を大まかにこんなふうに分類します。「パーフェクトな人気者」「部活一筋のスポーツマン」「勉強のできる真面目くん」「ちょっとガラの悪いヤンキー」「ひょうきんなお調子者」と。さらにここに、「見た目」「学力」「運動神経」「リーダーシップ」「面白さ」「真面目さ」の項目を加えて考えました。
 各タイプが各項目をどのくらい満たしていて、その上でどこなら私が視野に入れるのか。と、それはもう真剣に考えました。
 当時、私は割と勉強好きな中学生でした。ですから、「このまま自分の特性である学力を伸ばしつつ、うまく付き合えそうな男子のタイプは?」と考え、「勉強のできる真面目くんタイプだったら相性がいいんじゃない?」と思い至りました。
 そうと決まれば話は早い。「真面目タイプの男の子と話を合わせられるように、もっと勉強を頑張ろう」と田村少女は決意するわけです。そして「彼氏が欲しい」という欲望のためだけに頑張りすぎて、とうとう学年で1番の成績になってしまいました(笑)。自分でもよくやったなと思います。


 セルフプロヂュースマーケティングをすることで得られるメリットがあります。それは、人生に対する強力な推進力になることです。
 人が商品やサービスを購入する決断をするまでには、いくつかのステップがあるといわれています。セルフプロヂュースマーケティングによりあなたへの良いイメージが相手の中で育つことで、このステップがスムーズになります。
 そのためには、あなたの強みや売りが企業のニーズと合っていること、そして顧客に価値を感じてもらうことが大切です。また、価格競争に巻き込まれる心配がないという点も大きなメリットです。これが他人との差別化です。
 セルフプロデュースマーケティングでしっかりと差別化ができていれば、同じような商品やサービスがあったとしても「価格を見直す」という必要がありません。
 価格を見直すことは、誰でも簡単にできます。価格をどうにかして売り上げを上げようとすると、同様に価格で勝負する競合と争うことになるでしょう。自分の価値を下げてしまっては意味がありません。
 ですから時間をかけてでも、ゆるぎないセルフプロデュースマーケティングを構築していくことをおすすめします。この自分を見つめるプログラムは、この研修の中核をなすものです。自分だけの強みを育てていきます。この話は次回に続きます。

この記事を書いたプロ

下裏祐司

事業と社員の成長を導く企業活性化コンサルティングのプロ

下裏祐司(株式会社飛泉)

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