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コラム
業務の見える化
2022年11月14日
業務改善、生産効率化を進める組織の中で、もしも自分にこんな言葉が向けられたら、あなたはどう思いますか。
「それはムダな仕事です!」
誰も生産性を下げようとは思っていません。どの仕事も必要性があって行われているはずです。しかし、それでもムダな仕事が生まれてしまいます。
一体、ムダとは何なのでしょうか?
なぜやるのか(why)という目的やねらいはあっています。ところが、何をやるのか(what)という施策の設定があっていません。あるいは、どうやるのか(how)という手段の洗練が十分ではありません。これがムダを生み出す元になっています。
例えば、「営業の成約率の上げる」という目標があったとします。この狙いは問題ありません。ところが、施策が「面白い名刺で目を引く」だったり、手段で「毎日顧客に1枚ずつ渡す」だったりした場合、そこに空回りが認められます。
生産性が空回りする理由として、この観点で見た場合、次の2つが考えられます。
①やるべきことを見極める難しさ
例えば、定例ミーティングを毎週から隔週に変更すること。これに対し、本質的な付加価値とそのために必要な投入資源を見極めていくことは非常に難しい。
②活動や行動を変えていくことの難しさ
これまでの取り組みも良かれと思ってやってきたこと。悪意を持って非効率的な働き方をしようなどとは考えてはいない。始めた理由、続いている理由があるため、結局変えられないままになってしまう。
業務改善、効率化を考えるうえで、避けて通れないのが「自動化」「機械化」です。この流れは止められません。
仕組み化前の状態は、全手動と呼べます。対して、仕組み化後の状態は全自動と呼べます。仕組み化による、業務改善、効率化とは、これの切り替えのためのステップと言えます。勘違いしてもらいたくないのは、自動が善、手動が悪という二項対立的なものではないということです。重要なのは、「半自動」の状態。「自動」と「手動」のベストミックス、ベストな半自動の状態を見極めることです。例えば、ビジネスホテルのチェックインでの精算機の導入がこれにあたります。
多くの企業が働き方や業務の在り方を変えたいと思っているにも関わらず、なかなか実態が変わらない最大の理由は「業務そのものを正しく整理し、捉えられていない」からです。
これは、自分の体質や体調を正しく把握せずに、なんとなく「健康になりたい」と考え、様々な健康法や健康グッズに飛びついてしまっている状態とよく似ています。多少の効果はあるかもしれませんが長続きせず、根本的な体質を変えるまでには至りにくいです。
まずは正確な「健康診断」をすることが不可欠であるように、企業の業務を見直す上でも「業務」を整理することが不可欠です。
仕組み化のステップは次の4つから構成されています。
見える化:業務の実態を記述、集計することで見える状態にすること
標準化:最良と考えられる標準的な業務の在り方を決めること
マニュアル化:標準化した業務を文書や動画にし、属人性をなくし再現性を持たせること
ツール化:繰り返し頻度の高い業務を、機械やツール、システムに代替えすること
研修では、ステップ1の「見える化」について、実践的な演習を取り入れて学習していただきます。
チームに分かれ、項目型での見える化を次の10のステップで進めていただきます。
①業務項目のランダム抽出
普段の「業務」を黄色のポストイットにランダムに書き出す。(ポストイット1枚につき、一つの業務)
②業務項目のグルーピング
業務項目が近いものをグルーピングし、ポストイットを集めて貼り直す。
③業務グループにタイトル付け
業務項目のグループに対し、それらを包括するタイトル(題名)を青いポストイットに書いて付ける。
④タイトルの網羅性確認
タイトルを記載したポストイットだけを確認し、自社業務全体に対しての網羅性があるかを確認する。不足があれば追加する。
⑤グループ内の業務項目の過不足確認
各グループの中に含まれるべき業務項目がそろっているかを確認する。不足があれば追加する。
⑥業務タイプの分類
各業務が「業務の3タイプ」のどのタイプに該当するかを赤ペンでポストイットに記載していく(ABC分類)。
⑦業務タイプの集計
ABCの3つのタイプがそれぞれどの程度あるか集計し、構成比を算出する。
⑧業務タイプ別の内容確認
各業務タイプに含まれる業務項目を確認し、その特徴や傾向が適切であるかどうかを確認する。
⑨ポストイットの整列
貼り出したポストイットを整列して貼り直す。
⑩業務ポイントの詳細化
各業務に対して、詳細な手順や実施上のポイントを記載する。
ポイントになるのが、業務タイプの分類になります。業務タイプは次の3つに分類します。
A:感覚型業務
長年の経験や知識を基に、瞬間的かつ感覚的に高度な判断を必要とする業務。「あの人だからこそできる業務」と言われるような、個人への依存度が高い状態がむしろ望ましいとされるクリエイティブ(創造的、独創的)な業務。
B:選択型業務
一つではないが、いくつかの限られた選択肢の中から最適なものを選ぶ業務。最適なものを選択できるかどうかに個人差が残るものの、選択肢と選択基準を体系化しておけば、選択結果のバラツキも抑えられる。
C:単純型業務
誰がやっても同じであるべき業務。「A:感覚型業務」とは正反対で、業務の属人性を極力なくし、いつでも誰でも安定的に同じ結果を出すことが望ましいとされるオペレーショナル(機械の操作的な)な業務。
全ての業務をマニュアルに落とし込む必要性はありません。逆にクリエイティブな業務をマニュアル化することこそ間違っていると言えます。ここでは、自分たちの業務がABCの割合として判別され、BCの業務に対して、標準化、マニュアル化を通じて、効率性を上げればいいということを理解することが目的になります。
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