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コラム

目標管理の心構え(2)

2023年4月6日

テーマ:社員研修

コラムカテゴリ:ビジネス

求められるのは「主体的行動力」

 現在、インターネット等の情報技術が発展し、様々な情報が一瞬で世界を駆け巡るようになっています。このような社会では、判断の早い会社が勝ち残っていきます。
 では、判断の早い会社とはどういうスタイル、行動様式を持っているのでしょうか。それは、かなりの問題が現場レベルで、日常的に解決されていくというスタイルです。逆に、競争に敗れて消えていく組織は、あらゆる情報をいったんトップマネジメントに集めて、トップマネジメントがそれを分析してから現場に指示を出すというスタイルです。
 スポーツに例えれば、勝ち残り企業は、サッカー型マネジメント(現場での素早い判断と対応)でしょう。また、消滅企業は、野球型マネジメント(多くの判断はトップが行い、指示を出す)です。

 では、サッカー型マネジメントでは、どういうプレーヤーが評価されるかというと、

  • チーム方針をよく分かった上で
  • その時々の状況を主体的に判断し
  • 素早い行動がとれる
  • また、チームメンバーの特質を把握し、それに合わせたプレーができる

という人です。それを一言で表現すると、「主体的行動力を持った人」ということになります。
 また、これからは経営活動がグローバルなものになります。従って、社員も英会話能力がより重要になります。また、情報化がますます進展するので、情報機器を上手く使いこなせる技術(コンピューターリテラシー)を強化する必要があります。ここで、主体的行動力があれば、TOEIC700点以上を目指して学校に通うとか、EXCEL中級編をマスターするといった流れは自ずと出てくるものです。
 つまり、英会話能力やコンピューターリテラシーという個別の能力開発テーマも大切ですが、それ以上に、個別の能力開発を自ら選定し、実行できるという主体的行動力は、基礎能力として大切なのです。
 21世紀の社会人のコア・コンピテンシー(核となる競争能力)は「主体的行動力」ということです。過去では、英会話を勉強しなさいとかEXCEL中級編をマスターしなさいといった指示があってからの行動でした。結果そのものは、同じようになるかもしれませんが、実現スピードが全く違います。決定的に違うのは、「主体的な行動を起こしているかどうか」なのです。

 世の中、変化が速いのだから計画を立てたところで…、と考える人がいるかもしれません。それは、学生時代に身についた思考法ではないでしょうか。
試験勉強をする際に、計画は立てるのだが、計画通りに運んだことがない。最後はドタバタと試験前に一夜漬けという始末。
 そのような体験から、目標や計画なんて…という考え方が身についたのかもしれません。しかし、よく考えてみると、学生時代と社会人では決定的に違うことがあります。それはビジネスではチームプレーが大切という点です。
 学生時代の目標や計画は、自分自身のためです。しかし、会社では、自分の立てた目標や計画は、自分の所属する部門に影響を及ぼします、あるいは関係部署に影響を及ぼします。従って、社会人たるもの、目標や計画が嫌いでは済まされません。それは、プロ野球選手が、守備はどうも苦手で、というように言っているのと変わりません。つまり、自己の存在価値を自分自身で否定するようなものなのです。

 ゴルフというスポーツは、何回でグリーン上の穴(ホール)に落とすことができるかということを競います。普段は仕事でパッとしない人でも、ゴルフ場に来ると人が変わったように、よく状況を考え、戦略を練り、プレーするということが起きます。その人たちは、得てしてスコアが良いです。驚くのは、各ホールでどのようなことが起こったのか、それらのホールはどういう特徴があったのか、ものすごくよく覚えているのです。
 普段、仕事の関係ではこれほどの記憶力を発揮しない人が、なぜこうなれるのでしょうか。また、逆に、普段それほど記憶力が悪いとも思えない人でも、スコアが悪い人ほどプレーの内容を覚えていません。
 それは、どうやらゴルフの達人は、事前にイメージが固まってからプレーしますが、凡人は何となくプレーしているせいであまり記憶に残らないという違いがあることにその理由があるようです。
 今は、正面からの風がわずかに吹いているから、多少無理をすればグリーンに届くかもしれないが、ここは安全に池の手前に落として、その次の2打目でグリーンを狙おうと上級者は考えてプレーします。対して、初級者は何となくグリーンを狙います。その結果、仮に上級者と同じようなところにボールが飛んだとしても、初級者はその結果をよく覚えていません。それは、事前にはっきりとしたイメージがなかったからです。
 同じことは、仕事にも当てはまります。好業績者は、自分の仕事を具体的に振り返ることができます。あのとき環境はこうだったから私の取った戦術はこうで、結果は思った以上にこうなった…という感じです。好業績者の話は、聞き手に具体的な姿をイメージさせ、ときにスリリングでさえあります。そうでない人たちの話は、抽象的で聞いていても面白くありません。
 この違いも、たいていは事前に具体的イメージを描いてから行動したか、ただ頑張ったのかという違いから来ているようです。

この記事を書いたプロ

下裏祐司

事業と社員の成長を導く企業活性化コンサルティングのプロ

下裏祐司(株式会社飛泉)

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