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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

リオ五輪でジカウイルスの拡大の可能性は低い?

2016年8月7日

コラムカテゴリ:医療・病院

おはようございます。さとうクリニックの佐藤です。今朝は「リオ五輪でジカウイルスの拡大の可能性は低い?」という報告です。
 8月5日に開幕する2016年オリンピックでは、ブラジル・リオデジャネイロに渡航する選手や観戦者が滞在中にジカウイルスに感染したり、自国へウイルスを持ち帰ったりする確率は低いと、専門家らが報告した。今回のリオ五輪では、妊娠中の妻にジカウイルスが影響することを懸念するなどの理由で、出場を辞退する選手も出ている。専門家らは、五輪目的の渡航者50万人のうち、ジカウイルスに感染するのは6~80人、症状が出るのは1~16人であり、帰国時まで伝染性を有するのは3~37人にとどまると推定している。
 米イェール大学の研究者は、「ジカウイルス感染症が流行しているのは事実だが、入手できる最良のエビデンスに基づいて方針を決定する必要があり、状況を誇張すべきではない」と述べている。ジカウイルスは妊婦が感染すると胎児の小頭症を引き起こす可能性があるが、それ以外の人にはほとんど脅威にならない。また、ブラジルは冬であるため蚊の活動は低下しており、さらに大半の渡航者は遮蔽され空調管理された場所に滞在するため、蚊に遭遇する可能性はさらに低くなる。
 ほかにも以下のような要因から、五輪によりジカウイルス感染症が拡大する可能性は低いという。
・ウイルスは10日以内に身体から消滅するため、帰国する頃には伝染性は低くなっている。
・渡航者の半数以上は先進国に帰国するため、地元でウイルスが広がるリスクは低い。
・渡航者の3分の1は既にウイルスが存在している中南米諸国に帰国するため、流行に寄与することはない。
 米カンザス州立大学バイオセキュリティ研究所の研究者は、「リオへ行く人は、渡航の決断時にその脅威を真剣に受け止めており、現地では蚊の駆除が済んでいない裏通りに入るようなことはしないはずだ」との見解を示し、また、妊娠中の女性は五輪観戦を控えると予想している。

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佐藤浩明

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