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井川卓

司法書士と行政書士の二つの資格を生かした相続問題解決のプロ

井川卓(いかわたかし) / 司法書士

司法書士・行政書士 アワーズ事務所

コラム

特別受益制度、特別受益者の相続分の計算方法(相続の基礎知識12)

2017年6月27日

テーマ:相続の基礎知識

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

特別受益制度

特別受益の制度は、相続人のあいだの公平を図ることを目的としています。
共同相続人のなかに特別受益者がいたり、寄与相続人(寄与分権利者)がいるときには、相続分が修正されることになります。

特別受益のみなし相続財産

共同相続人のなかに被相続人から
①遺贈を受けた者
②結婚もしくは養子縁組のため贈与を受けた者
③生計の資本として贈与を受けた者
がいるときには、その贈与分を加えたものを被相続人の相続財産とみなします。

「相続開始時の財産価額+贈与の価額=みなし相続財産」

特別受益者の相続分

みなし相続財産をもとに、それぞれの共同相続人の相続分を掛け算して持分を計算します。
特別受益者は、この持分からすでに受けた特別受益額を差し引いた残りが、実際の相続分となります。

「みなし相続財産×相続分の割合-遺贈・贈与の額=特別受益者の相続分」

用語解説

特別受益者・・上記の遺贈や贈与を受けた者
特別受益額・・その遺贈・贈与分
持戻し・・その贈与分を特別受益財産として被相続人の遺産に加えること

特別受益の計算例

Xが妻・Yと長男Aおよび長女Bを残して死亡した。
Xの相続開始時の財産は5000万円で、生前にAへ自宅購入資金として1000万円を贈与していた。
 Y=(5000万円+1000万円)×1/2=3000万円
 A=(5000万円+1000万円)×1/2×1/2=1500万円
   1500万円-1000万円(贈与額)=500万円(特別受益者の相続分)
 B=(5000万円+1000万円)×1/2×1/2=1500万円

贈与財産の価額

①受贈財産の滅失・き損
贈与によって財産を取得した者が、被相続人の生前にその財産を滅失させたり、その価額に増減があったときでも、その財産は持戻しの対象です。
 ただし、善意・無過失で滅失またはき損したときは、持戻しの対象とはなりません。
②持戻し財産の評価時期
 持戻し財産の価額は、相続発生時の価額に引き直して計算されます。

相続税法との違い

 相続税法上の「生前贈与財産の加算」では、相続や遺贈によって財産を取得した者が相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた場合に、その財産は相続税額の計算上相続財産に加算されます。
 相続時精算課税を選択していた場合には、その贈与金額は年限に関係なくすべて加算されます。

この記事を書いたプロ

井川卓

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井川卓(司法書士・行政書士 アワーズ事務所)

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