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管財物件 破産財団組入れについて

2014年6月30日 公開 / 2014年7月31日更新

コラムカテゴリ:住宅・建物


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昨今、私は不動産業者として破産管財人依頼の任意売却物件の仲介を重ねて数件扱いました。

新破産法では、破産管財人が破産財団に属する財産について、その上に存する担保権を消滅させて任意に売却し、それによって取得することができた金銭の一部を破産財団に組み入れることを可能とする制度が設けられました。

つまり別除権者である抵当権者に少し泣いてもらい、裁判所の許可のもと、その一部を無担保の一般債権者に対する配当原資に回すという制度です。

財団組入れの額は、裁判所の指針では売買金額の10%を目安にしていると言われていますが、実際の場面では抵当権者も抵当権者としての論理と駆引きを尽くし抵抗しますので、現実は3%~5%に収まっているようです。確かに私が扱ったいずれの案件も抵当権者から異論が出て、最終的に4.3~5%で了承してもらいました。

勿論、抵当権者は破産手続きに関係なく自由に抵当権の実行(競売申立て)ができる権利(別除権)を有しています。従って管財人による任意売却と担保権消滅許可を阻止する申立ても可能です(破産法186条1項)。が種々の条件があり、余程の理由&事情がない限り実際は実行されていないのが実情だと思われます。

管財物件の仲介は、私として実場面での法律上の実務的知識を深める上で勉強になりましたが、当然のことながら既に破産申立て後の案件ですので、債務者のお気持やご事情を事前にお伺いしたり破産申立て前に再生を模索したりすることができないという歯がゆい部分も内心ありました。

この実務では、債権者交渉や配分調整等は一般の任意売却と同じです。ですが、配分に抵当権者&差押権者以外に管財人主導の裁判所許可を要する「財団組入れ」が配当項目に加わります。ここが一般の任意売却と大きく異なる点かと思います。勿論裁判所の「売却許可書」で実行できますので権利書不要ということも異なります。

そのために仲介業者としては管財人さんの裁判所に対する立場や手続きを良く理解して行動する必要があります。売買契約書文面や「財団組入れ」が加わった各抵当権者等への配当内容等のほとんどの事項が裁判所許可事項で、管財人さんとしてそれなりの量の書類作成作業を要しますので、管財人さんの指示に従い、その基となる資料を業者として提出することになります。できるだけ管財人さんの手を煩わせないよう、法的手続きを先に察知、行動し、裁判所の手続きに支障を来たさないよう配慮しなければならないという別の意味で神経を使う仕事でもあります。

いろいろ勉強させられる案件でした。

記:大森孝成

この記事を書いたプロ

大森孝成

債務者を救う事業再生・任意売却アドバイザー

大森孝成(合資会社大誠企画)

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