マイベストプロ東京
折本徹

入国管理局の在留資格申請手続きをサポートする行政書士

折本徹(おりもととおる) / 行政書士

折本 徹 行政書士事務所

お電話での
お問い合わせ
03-3439-9097

コラム

外国人と一緒にビジネス!!番外編・動物やペットに関連する仕事

2023年1月11日 公開 / 2023年2月8日更新

テーマ:外国人材の雇用と活用

コラムカテゴリ:法律関連

動物関係の仕事で、「技術・人文知識・国際業務」を得らるか?


もしも、動物関係の専門学校を卒業する留学生がいて、
動物関係の仕事で、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を得られるか?

日本では、動物をペットや愛玩動物として可愛がる人達が多いです。
しかし、諸外国では、「そこまでしている国や国民性があるのか?」の疑問を持ちます。
一方で国や個人差もあるでしょうが、同じように家族同然に接する人もいると思いますが。
それを前提にしたとしても、現実として、日本語学校の留学生として入国し、
動物関係の専門学校に入学する人がどれくらいいるのか?は、正確にはわかりません。

このページでは、
「もしも、動物関係の専門学校を卒業する留学生がいて、
動物関係の仕事で、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を得られるか?」
を考えてみたいと思います。

もっとも、動物の調教の仕事では、既に、在留資格「技能」が認められていますが、
実務経験が10年以上必要です。
すぐに思い浮かぶのは、動物園での像の調教で、タイ人が働いていますね。

でも、調教も含めて、動物関係の仕事って、けっこうあるようです。
「動物関係の職業をめざす人の本 成美堂出版」
を参考に、おおまかにまとめると、
A 獣医師
B 愛玩動物看護師
C 愛玩動物飼養管理士
D トリマー/ペット美容師
E 飼育員(動物園や水族館)
が世間一般に知られている仕事や資格のように思います。

他にも
ブリーダー
ドックトレーナー [盲導犬などの訓練所 しつけ教室--家庭で飼うような場合]
アニマルセラピー [犬などの動物が病院等へ行き、入院患者に接する場合] 
ペットシッター
動物カメラマン・ライター・イラストレーター
ハンドラー

就職先や、知識や経験が活かせる職場として
ペットの保険会社
ペットブティック[ペットの洋服の制作販売]
ペットホテル(B CDの知識が必要と思われるもの。以下同じ)
ペットショップ(大手チェーン店や大型店は BCD) 
ペット美容室(D)
動物園・水族館
テーマパーク(BCD)  
動物のトレーニング[飼育や訓練]
動物プロダクション (BCD)[動物タレントのマネジメント]
牧場・厩舎
ペット宅配美容室
ペットの保育園[犬や猫を時間単位、1日単位で預かる] (BCD)
健康診断などのサービス
動物のリラクゼーション[動物のストレスを取り除く場所)]
ペットカウンセラー[ペットを飼う人の悩み ペット自身の悩みを考え、カウンセリング]
ペットシッター [飼い主の不在時にペットの世話をする]

こうしてみると、一つの仕事が重なっている職場もありそうですが、
動物に関して、経験だけではなく専門的な知識が必要な仕事もあるし、
けっこう多いのだな、と思います。
しかし、商売として成立しているのか?正社員として雇用できる余裕があるのか?
という懸念もあります。

もしも、在留資格の審査をするとしたら、
専門士の称号を付与した専門学校にて履修した科目が、その仕事に活かせるのか?
専門的な知識が必要な仕事になるので、未経験者OK!とか慣れれば大丈夫、
など審査で疑念が持たれないような仕事、
なお、例外はあると考えますが、国家資格は要求されないように思います。
受け入れ機関(法人や企業)の実態も審査の対象になり、
事業の安定継続性とか、公租公課の納付、
法令遵守(動物愛護法の遵守も含まれるかもしれません)、
雇用する必要性、仕事量の多寡なども、私見ですが対象になるかもしれません。

→実際は、「動物関係の仕事については、一定のケースを除いて認められない」
という可能性もあります。

認められそう、と推測するケースで、
履修した科目が仕事に活かせる、事業の安定性や仕事量の多さに注目した場合、
動物園、水族館、動物病院が挙げられると思います。
ただ、公立の動物園や水族館で働くには、公務員になる必要があると思いますし、
動物病院で働くには、獣医師や看護師として働くためには、
獣医師や愛玩動物看護師の国家資格に合格しなければならない、
と思いますので、専門学校卒業だけでは、ハードルが高いように思います。

それでは、ほとんどが日本人の学生だと思うのですが、
実際に、動物の専門学校を卒業した人の主な就職先はどのような事業所なのか?
を「キャリアガーデン」というサイトから紹介します。
https://careergarden.jp/column/doubutsu-senmongakkou/

・動物園
・水族館
・ペットショップ
・ペットサロン
・ペットホテル
・動物病院
・ドッグカフェ
・観光牧場
・動物ふれあい施設
・酪農、畜産
・馬育成
・しつけ教室
が挙げられています(上述と重なりますが)。

もっとも専攻したコースによって就職先は違うようです。

たとえば
トリミングやグルーミングを中心に学べる学校であればペットサロンへ就職、
動物看護コースやドッグトレーナーコースを置く学校であれば、
動物病院やペットショップなどへ就職
という感じのようです。

また、活躍の場は広がっているようで、
福祉の場などでも、動物の持つ「癒やし」の心理的な効果が活用されるようになっていて、
そのため、一般の病院や老人介護施設などでも犬などの動物と人間が触れ合う機会があり、
そこで動物の扱いに秀でた人材が求められることがあるそうです。

動物の専門的な知識・技術を持つ人の活躍の場は、以前よりも広がっていて、
動物専門学校の就職率は、おおむね高い数字となっているようです。
(ただし、ドッグトレーナーやドルフィントレーナーのような一部の職種では、
そもそもの募集人数や就職先があまり多くないようです)

私見ですが、日本語学校に留学する留学生は、大学への進学ではなく、
専門学校を希望する場合、国際ビジネス系を志向する傾向があり、
メーカーや商社・卸売り業などなどから内定が出ず、就職に苦労していますが、
動物の専門学校を選択肢に加えても良いかもしれません。
(学費が高いのかもしれません)。

では、大まかですが、
人気のありそうな専攻とその授業科目を、いくつか見てみます。

・トリマー学科(コース)
トリマーになるために必要な専門知識と技術を身につける。
具体的には、犬や猫の健康を守るためのお手入れ方法や、
毛並みを美しく揃えるカット技術、さらに皮膚、爪、耳などを含めた全身のケアを学ぶ。
また、ペットの飼い主に対して健康管理やしつけ、お手入れ方法のアドバイスができるような、
トレーニングの基本についても学ぶ。

・動物看護師学科(コース)
獣医師をサポートし、動物の命を支える動物看護師。
動物医療に関する基礎的な知識と技術について専門的に学ぶ。
具体的には、動物健康管理や動物栄養学、動物感染症学といった動物看護の基本を勉強し、
病気の早期発見や予防について理解し、さらに動物看護の実践力を磨いていく。
これらに加えて、グルーミングやトレーニングの基礎について学べる学校もある。

・ドッグトレーナー学科(コース)

動物の習性や行動を基礎から応用まで学び、
犬が人間社会で生活していくうえで必要なルールを、
犬と飼い主の両方に教えることができる知識と技術を身につける。
多彩な犬種や特徴を持つ犬の特性を理解し、
服従訓練やアジリティなどのトレーニングを実践していきながら、
トレーナーとしての実践力を高める。
飼い主と円滑なコミュニケーションをとるための方法やスキルも学ぶ。

では、実際にどのような科目を履修しているのか?見てみましょう。

帝京平成大学 動物医療コース では(同大学のウェブサイトから)、

基礎動物学

生命倫理・動物福祉
動物形態機能学
動物繁殖学
動物行動学
動物栄養学
比較動物学
動物看護関連法規
動物愛護・適正飼養関連法規

基礎動物看護学

動物看護学概論
動物病理学
動物薬理学
動物感染症学
公衆衛生学

臨床動物看護学

動物内科看護学
動物外科看護学
動物臨床看護学総論
動物臨床看護学各論
動物臨床検査学
動物医療コミュニケーション

愛護・適正飼養学

愛玩動物学
人と動物の関係学
適正飼養指導論
動物生活環境学
ペット関連産業概論

実習

動物形態機能学実習
動物内科看護学実習
動物臨床検査学実習
動物外科看護学実習
動物臨床看護学実習
動物看護・適正飼養実習
動物看護総合実習

としています。
愛玩動物看護師 を目指す人は、上記の科目を履修するのだと思います。
学問・学術として成立しているでしょうから、
この科目を活かす仕事、例えば、愛玩動物看護師でしたら、
専門的な仕事と判断されそうな感じがします。


では、専門学校ではどうでしょう。

ある専門学校の動物ビジネスに携わるコースだと、

動物学
鳥学
爬虫類学
飼育概論
動物の健康管理
畜産飼育
動物行動学
展示企画概論
生物分類学
動物関連法規
動物の体の仕組み
栄養学
動物管理学
ドックビジネス
実習
等々の中から履修する、みたいです。

専門的な知識を学ぶことがわかります。
そうすると、他の専門学校の場合と同様
仕事の内容が専門的か?
専門的な知識が必要なのか?
その仕事に必要な知識はどの履修科目なのか?が判断になると考えます。

具体的に進めるとしても、仕事の内容によって在留資格の該当性が、
「技能」なのか、「技術・人文知識・国際業務」なのか?どちらにも該当しないのか?
(熟練技能なのか?昔で言うホワイトカラー的なのか?
単純な反復継続の仕事なのか?接客販売が主な仕事なのか?)
判断に迷いますね。
前述していますが、獣医、愛玩動物看護師は、該当しそうな感じがします。
ドックトレーナーも該当しそうな感じがしますが、
仕事の内容が熟練技能、調教ととられる可能性があります。
トリマー・ペット美容師も、熟練技能ととられる可能性があります。
猫カフェについては、主な仕事の内容が接客だと該当しない可能性はあります。

いずれにしても、知識の必要な業務であるので、
熟練した技能ととられがちだが、基本として専門的な知識は当然に必要、
仕事の内容と履修科目の内容が反映されることを具体的に伝える、
(できれば図解にして、仕事の流れと、
仕事の内容のこの部分と履修科目のテキストの内容のこの部分、みたいに)
生命のある生き物と接するので単純な仕事ではなく、マニュアル通りいかない、
などを申請のたびに主張するしかないのかな、と考えます。

この記事を書いたプロ

折本徹

入国管理局の在留資格申請手続きをサポートする行政書士

折本徹(折本 徹 行政書士事務所)

Share

関連するコラム

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京の法律関連
  4. 東京の申請代行
  5. 折本徹
  6. コラム一覧
  7. 外国人と一緒にビジネス!!番外編・動物やペットに関連する仕事

© My Best Pro