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山路美晴

ペットと飼い主の心と体を癒やすプロ

山路美晴(やまじみはる) / 獣医師

滋賀ペット治療院

コラム

ペットが大好きな飼い主さんのことを悪く思うわけがない

2021年10月14日 公開 / 2022年3月24日更新

テーマ:人と犬猫

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: 東洋医学

【今回はちょっと湿っぽいお話】


昨年、3年間鍼治療に通ったワンちゃんが亡くなったとご連絡をいただき、お悔やみに行ったときのことです。

その子は頚椎の腫瘍の手術をしてから寝たきりになってしまったラブラドールです。
初めて診察した日、体が砂袋みたいにグニャグニャでどこにも力が入らなかったのを覚えています。

鍼治療のあと、
「垂れ流しだったオシッコが我慢できるようになった」と言っていただきました。

その後、何回か治療してるうちに体が少しずつしっかりしてきて、支えがあれば起きていられるようになったり、尻尾が少しだけど振れるようになったり、後ろ足を蹴れるようになったりしましたが、ついに立って歩くまでには回復しませんでした。


飼い主さんはとても一生懸命介護しておられて、30kg近い体をひょいと抱えてトイレをさせたり、もう一頭いる弟分の子と一緒にラブ仲間のオフ会に連れて行ったり、介護しながら普通に生活を楽しんでおられました。

亡くなったときのことを話してくださったのですが、呼吸が止まったときに慌てて病院に担ぎ込んだけど、もう遅かったとのこと。

それを後悔しておられて、
「あのときあれをしなければ…」
「最後に無理をさせたのではないだろうか…」と。

私はそのワンちゃんが亡くなったことより飼い主さんが自分を責めるのが辛かったです。

犬も猫も自分の飼い主さんのことが大好きで、文字通り何をされても嫌いになったりしません。
たとえ捨てられても、です。


ましてや自分によくしてくれた人のことはもちろん嫌いになるはずがありません。


だから、飼い主さんは自分の犬猫に旅立たれても後悔する必要なんて全くないはずなんですが、実際には何をしても、しなくても、後悔してしまいますよね。

以前から、私は犬猫は自分が逝くときを自分で決めてるのではないかと思ってるんですが、今回もそうだったのかも…と思いました。

何を言っても飼い主さんの慰めにはなりませんが、亡くなったラブくんがいつも飼い主さんにベタベタ甘えていた様子を思い出すとラブくんは幸せやったと心から思いますし、飼い主さんにも
「自分を責めることなんて何もないですよ」と強く言いたいです。


(この記事は2020年10月のメルマガ記事です。メルマガスタンドの移行に伴い加筆修正してこちらに投稿しました。)

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