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深堀賢(ふかほりさとし) / 行政書士

行政書士 深堀法務事務所

コラム

経済産業大臣の輸出許可(輸出規制)について

2016年9月26日

テーマ:貿易 相談 長崎

コラムカテゴリ:法律関連

外国為替及び外国貿易法では、特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければなりません。

◎経済産業大臣の輸出許可を要するとされているもの(=輸出貿易管理令別表第1に定められた貨物)
特定の種類の貨物は輸出貿易管理令別表第1に掲げられています。
項番品目               品目の例
1項武器            銃砲、爆発物、戦車、軍艦、戦闘機、軍用ヘルメット 等
2項原子力         <大量破壊兵器関連資機材>
3項化学兵器関連     <大量破壊兵器関連資機材>    
3の2項生物兵器関連      <大量破壊兵器関連資機材>
4項ミサイル     <大量破壊兵器関連資機材>
5項先端材料        <通常兵器関連のDual Use品>
6項材料加工        <通常兵器関連のDual Use品>
7項エレクトロニクス    <通常兵器関連のDual Use品>
8項コンピュータ        <通常兵器関連のDual Use品>
9項通信関連        <通常兵器関連のDual Use品> 
10項センサー・レーザー    <通常兵器関連のDual Use品>
11項航法関連        <通常兵器関連のDual Use品>
12項海洋関連        <通常兵器関連のDual Use品>
13項推進装置        <通常兵器関連のDual Use品>
14項その他         <通常兵器関連のDual Use品>
15項機微品目        <通常兵器関連のDual Use品>
16項補完品目        食料品、木材等を除く、1項から15項に該当しない品目

①1~15項に定められている、武器、大量破壊兵器の関連部品、通常兵器の関連汎用品は、世界各国の全地域
向けの輸出が、経済産業大臣の輸出許可証がないと、輸出できません。この規制を、リスト規制と呼びます。
②16項に定められている、「①1~15項」以外の全ての物品で以下のいずれかの場合に該当するものをキャッチオール規制と呼びます。
キャッチオール規制は、以下のように、「客観要件」と「インフォーム要件」の2つに分けられます。
・通常兵器、大量破壊兵器の開発などに用いられるおそれがあると客観的に知った場合(「客観要件」)
・通常兵器、大量破壊兵器の開発などに用いられるおそれがあると経済産業大臣から通知を受けた場合(「インフォーム要件」)
*尚、キャッチオール規制は、米国、カナダ、オーストラリア、イギリス、スイス、フランスなど指定27か国(以上「ホワイト国」と呼ばれる)以外の輸出が対象となります。
 
◎輸出許可の手続き
申請書類
①輸出許可申請書
②申請理由書又は輸出許可・役務(プログラム)取引許可申請内容明細書
③契約書
 契約書は原則として政府の許可が得られるまで契約が発効しない旨の規定を盛り込んだものであることが必要です。
 契約書は原本を提出する場合は当該原本の写しを併せて提出します。(原本は内容確認後返却されます。)
 原本を提出せずに写しを提出する場合は写しが原本と相違ない旨を誓約した証明書を併せて提出する必要があります。それにもかかわらず原本の提出を求められることもあります。当該原本は内容確認後返却されます。
④その他
 輸出貿易管理令別表第1のどの項番に該当するか、仕向地はどこかに応じて、概ね次の(ア)~(ウ)を添付
 することが求められます。
 (ア)輸出貿易管理令別表第1の記載項目との対比表等、カタログ又は仕様書等の技術資料
 (イ)需要者等の事業内容及び存在確認に資する資料(会社案内等)
 (ウ)需要者等の誓約書
 なお、経済産業大臣の輸出許可証の有効期限は6か月です。
 ⑤申請窓口
 ・経済産業省安全保障貿易審査課
 ・経済産業局(東京、横浜、神戸の通商事務所を含む)、沖縄総合事務局

海外へ機械類等の貨物の輸出をお考えの事業所様は、輸出規制がございますので、事前に確認をして、経済産業大臣の輸出許可証が必要か否かを判断される必要があります。
誤って、輸出規制の対象物品を、経済産業大臣の輸出許可証を取らずに輸出した場合は、外為法69条及び70条による罰則が有ります。(罰則については http://trade-support-service.com/service-index031.html

*大量破壊兵器関連資機材の例
核燃料物質、核原料物質、原子炉 軍用化学製剤原料、軍用細菌製剤原料、
ロケット、無人航空機 等

通常兵器関連のDual Use品(両用の。特に、民生用と軍事用のどちらにも利用できることをいう)の例

ふっ素化合物の製品 軸受、工作機械 集積回路 電子計算機 伝送通信装置、暗号装置
水中探知装置、光検出器、レーザー 加速度計 潜水艇 ガスタービンエンジン、人工衛星 火薬・爆薬の前駆物質 電波の吸収材 等


最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。
新規で海外に機械類等の貨物の輸出をお考えの事業所様は、一度、輸出規制について御相談下さい。
以下当事務所HPです。よろしかったらお立ち寄りください
長崎の行政書士 深堀事務所
http://www.fukahorijimusho.com/

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