コラム
酒類卸売業免許申請につきまして 長崎の行政書士事務所 深堀事務所
2018年9月11日 公開 / 2018年9月12日更新
酒類卸売業免許は、酒類販売業者または酒類製造業者に対して、酒類を販売することができる免許です。この免許では、一般の消費者および飲食店営業者等に対しての酒類販売はできません。
酒類卸売業は、その営業方法、取扱品目等によって、以下の種類に分かれています。
全酒類卸売業免許 酒類販売業者や酒類製造場に対し、原則全ての酒類品目を卸売することが
できる免許
*全酒類卸売業免許及びビール卸売業免許については、都道府県ごとに年間で免許可能件数が決まっています。全酒類卸売業免許については、年1件程度でほぼ免許付与がなされない状態です。「全酒類卸売業免許」「ビール卸売業免許」は審査を抽選としています
ビール卸売業免許 酒類販売業者や酒類製造場に対し、ビールを卸売することができる免許
洋酒卸売業免許 酒類販売業者や酒類製造場に対し、以下の酒類のうち1品目以上を卸売するこ とができる免許
〔取り扱える品目〕
果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、
その他醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒、雑酒
輸出入酒類卸売業免許 酒類販売業者や酒類製造場に対し、輸出、輸入
対象酒類の両方または片方を卸売することができる免許
特殊酒類卸売業免許 酒類事業者の特別な必要に応ずるための卸売免許
(例) 酒類製造者の本支店等への酒類の卸売
酒類製造者の企業合同への酒類の卸売
酒類製造者の共同販売機関への酒類の卸売
店頭販売酒類卸売業免許 自己の会員である酒類小売業者のみを対象とし、
店頭販売による卸売に限る免許
店頭で酒類を引き渡す方法でのみ卸売できます。
協同組合員間酒類卸売業免許 加入している事業協同組合の、他の組合員を対象とし、
酒類を卸売する事に限る免許事業協同組合は、中小企業等協同組 合法に基づくものに限定されます。
自己商標酒類卸売業免許 自らが開発した商標・銘柄の酒類の卸売に限る免許
一般酒類小売業者が全酒類またはビールの卸売を行う場合
「通信販売を除く小売に限る」旨の免許条件が付された酒類販売場をもつ酒類小売業者が、その販売場において全酒類またはビールの卸売も行いたい場合等には、酒類卸売業の条件緩和の申出を申請して、全酒類卸売業またはビール卸売業免許への条件緩和をうけます。
酒類卸売業免許の要件につきまして
人的要件 場所的要件 経営基礎要件 需給調整要件
条件緩和の申出時の要件があります
1 人的要件
酒税法10条1号から8号関係の要件(人的要件)
(1) 申請者が酒類の製造免許若しくは酒類の販売業免許又はアルコール事業法の許可の取消
処分を受けた者である場合には、取消処分を受けた日から3年を経過している
こと
(2) 申請者が酒類の製造免許若しくは酒類の販売業免許又はアルコール事業法の許可の取消
処分を受けたことがある法人のその取消原因があった日以前1年以内にその法人の業務を
執行する役員であった者の場合には、その法人が取消処分を受けた日から3年を経過して
いること
(3) 申請者が申請前2年内において国税又は地方税の滞納処分を受けたことがないこと
(4) 申請者が国税又は地方税に関する法令等に違反して、罰金の刑に処せられ又は通告処分
を受けた者である場合には、それぞれ、その刑の執行を終わり、若しくは執行を受けるこ
とがなくなった日又はその通告の旨を履行した日から3年を経過していること
(5) 申請者が、未成年者飲酒禁止法、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(未成年 者に対する酒類の提供に係る部分に限る。)、暴力団員による不当な行為の防止等に関
する法律、刑法(傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合及び結集、脅迫又は背任の罪)又
は暴力行為等処罰に関する法律の規定により、罰金刑に処せられた者である場合には、そ
の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過していること
(6)申請者が禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなく
なった日から3年を経過していること
①申請者が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は成年被後見人、被保佐人若しくは被補助人である場合はその法定代理人が、②申請者又は法定代理人が法人の場合はその役員が、また、③申請販売場に支配人をおく場合はその支配人が、それぞれ、上記(1)、(2)、(4)、(5)及び(6)の要件を満たす必要があります
2 酒税法10条9号関係の要件(場所的要件)
申請販売場が、製造免許を受けている酒類の製造場や、販売業免許を受けている酒類の販売場、酒場、旅館、料理店等と同一の場所でないこと
申請販売場における営業が、販売場の区画割り、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性その他販売行為において、他の営業主体の営業と明確に区分されていること
3 経営基礎要件
免許の申請者が破産者で復権を得ていない場合のほか、その経営の基盤が薄弱であると認められる場合に該当しないこと。(酒税法10条10号関係)
① 国税若しくは地方税を滞納していない
② 申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けていない
③ 最終事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額を上回っていない
*「資本等の額」…(資本金+資本剰余金+利益剰余金)-繰越利益剰余金
④ 最終事業年度以前3事業年度で、資本等の額の20%を超える額の欠損を生じていない
⑤ 酒税に関係のある法令の違反による通告処分等を受けていない
⑥ 建築基準法や都市計画法等の違反による店舗の除去等を命じられていない
⑦ 適正に酒類の小売業を経営するのに十分な知識及び能力を有すると認められる者である
⑧ 資金や施設及び設備を有している、又は必要な資金を有し免許の付与までに施設及び設備を
有することが確実と認められる
⑨ 年平均販売見込数が、全酒類卸売業免許は1000kl以上、ビール卸売業免許は50kl以上である
※⑨は全酒類卸売業免許及びビール卸売業免許の要件です。
上に挙げた⑦の具体的な内容は、以下のとおりです。
【全酒類卸売業免許およびビール卸売業免許の場合】
1 お酒の製造や販売の業務(薬用酒の販売を除く)に引き続き10年以上従事した者
2 お酒の製造や販売の業務(薬用酒の販売を除く)に経営者として引き続き5年以上従事した者
3 調味食品等の卸売業を3年以上継続して経営している者
4 1と3を通算して10年以上である者
5 酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者
6 お酒の事業や業界に十分精通している者
販売場が沖縄県の場合、10年→3年
【洋酒卸売業免許、店頭販売酒類卸売業免許、協同組合員間酒類卸売業免許、自己商標酒類卸売業免許の場合】
1 お酒の製造や販売の業務(薬用酒の販売を除く)に引き続き3年以上従事した者
2 調味食品等の販売業を3年以上継続して経営している者
3 1と2を通算して3年以上である者
4 酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者
5 お酒の事業や業界に十分精通している者
4 需給調整要件
酒税の保全上、酒類の需給の均衡を維持する必要があるため、酒類の販売業免許を与えることが適当でないと認められる場合に該当しないこと。(酒税法10条11号関係)
該当する場合、酒類販売業の免許を受けることができません。
全酒類卸売業免許およびビール卸売業免許については、地域的需給調整を行うための卸売販売地域が設けられています。各卸売販売地域における免許可能件数は、毎年9月1日(土日の場合は、翌月曜日)に卸売販売地域内の各税務署の掲示板等に公示されます。国税庁HPで確認することができます。
5 条件緩和の申出時の要件
*条件緩和(解除)とは、既に受けている酒類販売業免許の条件を緩和(解除)することをいいます。
①申出者(条件緩和を受ける者)等が、酒税法第14条に規定する酒類販売業免許の取消要件に該当していないこと
➁申出者の販売場における年平均販売見込み数量(卸売基準数量)が、全酒類卸売業免許にかかる申出の場合は100kl以上、ビール卸売業免許にかかる申出の場合は50kl以上であること
酒類卸売業免許の必要書類につきまして
(1)新規免許の場合
酒類販売業免許申請書
販売業免許申請書次葉1 販売上の敷地の状況
販売業免許申請書次葉2 建物等の配置図
販売業免許申請書次葉3 事業の概要
販売業免許申請書次葉4 収支の見込み
販売業免許申請書次葉5 所要資金の額および調達方法
添付書類
酒類販売業免許の免許要件誓約書
登記事項証明書および定款の写し 法人の場合のみ。
住民票の写し 本籍の記載のあるもの。
申請者の履歴書 法人の場合、役員全員の職歴を記載すること。
販売場にかかる賃貸契約書等の写し
販売場にかかる不動産登記事項証明書
最終事業年度以前3事業年度の財務諸表
都道府県および市区町村が発行する納税証明書
酒類卸売業免許申請書チェック表
(2)条件緩和の申出の場合
申請書 1 酒類販売業免許の条件緩和(解除)申出書
申出書次葉2 建物等の配置図
申出書次葉3 事業の概要
申出書次葉4 収支の見込み
申出書次葉5 所要資金の額および調達方法
添付書類
酒類販売業免許の条件緩和申出書チェック表
酒類販売業免許の免許要件誓約書
酒税法上の義務につきまして
酒類販売業者には、酒税法の規定により、次のような義務が課されており、これらの義務を履行しない場合には、1年以下の懲役又は
50万円以下の罰金に処されることとなっています。
記帳義務酒類販売業者は、酒類の仕入れ、販売に関し次の事項を帳簿に記載しなければならないこととされています。なお様式は決まっていません。
(1)仕入れに関する事項
酒類の品目別及び税率の適用区分別(アルコール分別など)に、
・仕入数量
・仕入価格
・仕入年月日
・仕入先の住所及び氏名又は名称
(2) 販売に関する事項
酒類の品目別及び税率の適用区分別(アルコール分別など)に、
・販売数量
・販売価格
・販売年月日
・販売先の住所及び氏名又は名称
*1酒類の卸売(酒類販売業者又は酒類製造者に対する販売)については、取引の都度記帳する 必要があり、酒類の小売に適用される一括記帳の適用はありません。
2税務署の職員が検査取締り上必要と認めたときは、仕入れ、販売に関する帳簿を検査するこ とがあります。
(3) 帳簿の備付場所及び保存期間
酒類販売業者が作成する帳簿は、その販売場ごとに常時備え付けておき、帳簿閉鎖後5年間保存する必要があります。
また酒類販売業者には、酒税法以外にも酒類業組合法(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律)や各種の環境法令等において、様々な社会的要請に対し、適正かつ確実な対応が求められています
申告義務につきまして
〇毎年度報告するもの
報告事項 報告期限
毎年度の酒類の品目別販売数量の合計数量及び年度末の在庫数量 翌年度の4月30日まで
〇事由発生の都度、報告するもの
住所及び氏名又は名称、販売場の所在地若しくは名称に異動があった場合※1※2
直ちに(すぐ)
販売業を休止又は再開する場合
遅滞なく(出来るだけ早く)
免許を受けた販売場と異なる場所に酒類の貯蔵のための倉庫等を設ける場合又はその倉庫等を廃止する場合 あらかじめ
税務署長から、酒類の販売先の住所、氏名又は名称の報告を求められた場合
別途定める日まで
※1 「住所及び氏名又は名称の異動」には、株式会社と持分会社間の組織変更や持分会社間の会社種類の変更を含みます。
※2 「販売場の所在地の異動」とは、区画整理等による地名や地番の呼称変更をいいます。
〇 届出義務
酒類販売業者は、次の事項について販売場等の所轄税務署長に届出を行う必要があります。
販売場等(酒類の製造場以外の場所)で酒類を詰め替えようとする場合
詰替え2日前まで
費用につきまして
酒類卸売業免許登録免許税9万円
全酒類卸売業 抽選前まで 2万円 抽選後 16万円
ビール卸売業 抽選前まで 2万円 抽選後 16万円
*抽選後、その卸売販売地域の免許可能件数の範囲内の審査順位になった場合に、審査時提出分の書類作成等のためお受けする報酬です。
洋酒卸売業 18万円
輸出入酒類卸売業 18万円
ビール・洋酒・輸出入から2品目同時申請 21万円
店頭販売酒類卸売業 21万円
共同組合員間酒類卸売業 21万円
自己商標酒類卸売業 21万円
その他 要件調査のみ 3万円
条件緩和 8万円~
その他手続き 3万円~
面談料 5000円
*料金についての注意事項
・掲載料金は標準料金で、税抜きです。
・ご入金(全額もしくは着手金)が確認できた日から、業務着手になります。
・依頼事項に着手した後に、その取消しまたは撤回があった場合、既に着手した部分の料金は請求いたします。
・印紙代・証紙代・証明書代・通信費・交通費等について、特に記載のないものについては実費を請求いたします。
・相談により発生した各種調査については、事前に依頼者と協議し、調査内容に応じた額の料金とします。
・特に時間を要する案件、複雑な案件については、事前に依頼者との協議の上、別途料金が発生することがあります。
・許可業務に関する顧問(月額)も承っております。料金は依頼者との協議によります。
・書類の再作成が必要になった場合など予定外・依頼業務外の対応については、追加料金を請求することがあります。
・事案によって、専門家をご紹介します。
・弊社代行料金を銀行振込でお支払いの場合は、原則領収書は各金融機関が発行する振込証明書(受領書)にて代えさせて頂きますが特にご希望の場合は領収証をお渡しいたします。
・予告なく料金を変更することがあります。
・当事務所の法的な過失により免許が下りなかった場合はいただいた報酬は全額返金致します。
最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。長崎市だけではなく時津・長与・諫早・大村・島原・西海・佐世保など県内(離島は除かせていただきます)対応できます。長崎県外対応可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
当事務所では、許認可等の営業許可申請はもちろん、会社設立の手続きや事業計画の立案、会社設立後の法務や事務のサポートもいたします。毎月の顧問契約も承っております。お気軽にお問い合わせください。
長崎の行政書士 深堀事務所
http://www.fukahorijimusho.com/
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