コラム
貿易取引における契約で不可欠となる品質条件について
2016年9月14日 公開 / 2016年9月22日更新
海外との貿易をされておられる法人・個人様若しくはされようと思っておられる法人・個人様には参考になるかと思いましたので以下記載いたします。その他ご相談などあられる方は当事務所と提携する通関士をご紹介いたします。
海外の隔地者と取引する場合に、契約書を作成する場合は、商品名については、後に誤解によるトラブルが発生することを回避するために、種類や型番まで明確に取り決める必要があります。
種類や型番まで明確に取り決めて一定の基準化したものを、品質条件というのですが、貿易で求められる品質条件の中に、見本売買(Sale by Sample)という方法があります。
見本売買(Sale by Sample)では、サンプルを輸出者だけではなく、輸入者から提示する場合があり、これを反対見本(Counter Sample)といいます。なお、反対見本(Counter Sample)には、輸入者が作成して提示する方法の他に、輸入者の仕様希望に従って輸出者が作成し、輸入者側に送る試作品も含まれます。
また、輸出者作成のサンプルをSeller’s Sample、輸入者作成のサンプルをBuyer’s Sampleという呼び方もいたします。
見本売買(Sale by Sample)の他に、使用される頻度の多い品質条件に、仕様書売買(Sale by Specification)があります。仕様書売買(Sale by Specification)とは、既製品のない機械、工業製品など(輸出統計品目表の第84類)では、輸送に手間がかかり、見本を提示することが不可能なので、仕様書(その他写真、図面)によって品質・性能・性質などを決定する方法です。
品質条件の方法は、見本売買(Sale by Sample)や仕様書売買(Sale by Specification)の他に、標準品売買(Sale by Standard Quality)という方法があります。
農産品(輸出統計品目表の第7類~10類)や林産品(輸出統計品目表の第44類)や水産品(輸出統計品目表の第3類)等の場合、見本と一致した商品を揃える見本売買(Sale by Sample)という方法はそぐわないので、一定の標準品を示し、それと本取引時の商品の品質の差を価格で調整する標準品売買(Sale by Standard Quality)を使用するのが一般的です。
標準品売買(Sale by Standard Quality)は、更に細かく見ていくと、農産品(輸出統計品目表の第7類~10類)と林産品(輸出統計品目表の第44類)や水産品(輸出統計品目表の第3類)で標準品としての価値や基準の設定方法が異なってまいります。
農産品(輸出統計品目表の第7類~10類)に関しては、収穫前の農産物の場合に、中等品質を規定して、それを標準品として価値や基準を設定する平均中等品質条件(FAQ :FairAverage Quality Terms)が使用されます。
その一方で、林産品(輸出統計品目表の第44類)や水産品(輸出統計品目表の第3類)に
関しては、売買するに足る品質を有するか否かで価値や基準を設定する適商品質条件(GMQ :Good Merchantable Quality Terms)が使用されております。
その他ブランド品(輸出統計品目表の第42類と43類)の取引に関しては、国際的に認知されている商標やブランドのある商品の場合に、その商標やブランドのついた商品であることを条件として取引する銘柄売買(Sale by Trademark / Brand)が品質条件として使用されております。
その他のISO規格など国際的に認知されている規格、輸出入国の規格などで品質や安全性が定められている商品については、それらを品質基準とする規格売買(Sale by Grade / Type)が品質条件として使用されております。
国際間の売買取引では、これらの品質条件により売手側(輸出者)の申込み(Offer)に対し、買手側(輸入者)が承諾(Acceptance)すれば、契約が成立する諾成契約となる。
当該契約成立後、売手側(輸出者)が要物契約として商品(貨物)を買手側(輸入者)に
引き渡した場合に、当該品質条件を満たしてない場合は、商品(貨物)に瑕疵があるものと見なされ、民法570条の瑕疵担保責任が問われるますので、売手側(輸出者)には、品質条件の入念なチェックが求められておりますのでご注意ください。
以上本日も最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。
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