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コラム

優しい遺言書のつくり方⑤ ~相続と遺贈の違い、遺言書をつくる時の注意事項ついて~

遺言書

2017年12月17日 / 2018年8月10日更新

 皆様こんにちは。
 これまでは、遺言書をつくられる際に記載した方がいいと思われる事項をお伝えしておりましたが、今回は、遺言書をつくられる上での、その他の注意事項について、お伝えさせていただきます。

 まず、遺言書に財産を引き継いでもらう方を記載する場合のことですが、一般的には「〇〇に相続させる」と、「〇〇に遺贈する」という言葉が使われます。
 これらの言葉の違いは、下記の通りとされています。
 ・「相続」 本人の死亡を原因として、その方の法定相続人に財産を引き継いでもらうこと
 ・「遺贈」 本人の死亡を原因として、その方の財産を無償贈与で引き継いでもらうこと

 似ているのでわかりにくいですが、「相続」という言葉は、法定相続人に財産を引き継いでもらう時のみ使われる言葉で、誰に対しても使える言葉が「遺贈」ということになります。
 ですが、一般的には法定相続人には「相続」という言葉を用い、その他の方には「遺贈」という言葉を使った方がよい、とされています。

 それは、親が子供に対して財産を引き継いでもらうのに、「遺贈」と記載してあればその子供は財産を引き継いでもらえない、という訳ではありません。
 財産を引き継いでもらう場合、不動産があるケースが多いと思いますが、その名義変更(登記)をする場合の手続きに違いが出てくるから、という理由です。

 「Aに相続させる」とすると、原因は「相続」になりますので、Aのみの単独で名義変更(登記)の申請が出来るのに対し、「Aに遺贈させる」なら、原因が「遺贈」になり、Aと相続人全員の共同で名義変更(登記)の申請をする(遺言執行者がいれば、遺言執行者のみ)必要があるからです。

 また、名義変更(登記)にかかる税金(登録免許税)も、「相続」の場合ですと、固定資産税評価額の0.4%に対し、法定相続人以外への「遺贈」の場合は、同2%という違いもあります。

 また、財産の引き継ぎを”放棄したい”場合にも違いがあるとされ、「相続」の場合は、財産を引き継ぎたくないなければ、正式に家庭裁判所へ相続放棄の手続きをする必要がありますが、「遺贈」の場合は、放棄の意思表示をすればいいといされております。

 その他、財産に農地が含まれている場合、農地委員会の許可が必要かどうか(相続なら不要)、という違いもあります。

その他の注意事項について

 その他、主な注意事項を簡単にお伝え致します。

①遺言書は1人1通です
 遺言書は、亡くなられた方の最後の意思表示となりますので、複数の方が1通の遺言書の中に、同時に想いを遺すことは出来ません。
 これは、署名・押印がされてあっても無効となりますので、仲の良いご夫婦で、内容に共通することがあっても、遺言書をつくられる場合は、それぞれでおつくりになる必要があります。

②遺言書の訂正方法には、規定があります
 遺言書をつくられる際に、誤って書き損じてしまったらどうなるでしょうか。
 遺言書の文言を訂正する場合、その方法には規定がありまして、まず訂正するところに押印をして訂正を行い、遺言書の末尾などの空欄に「第2条の”〇〇”の文字を”△△”に訂正した」などと、変更した場所と変更したことを記載する必要があります。
 また、改製原戸籍などにも見られますように、欄外に”2字加除”などと記載して、そのすぐ下に署名するという方法もあります。
 ただ、どちらにしましても、せっかくつくられた遺言書が、その効力を否定されてしまったり、それが揉め事の原因になってしまっては元も子もありませんので、もし書き損じをしてしまった際は、ご面倒でも書き直しをされることをお勧め致します。

③遺言書の保管は場所を定めて、封をする
 遺言者さまがお亡くなりになった後、遺言書が遺されたご家族にすぐ見つけてもらえるように、保管場所をあらかじめ定めておき、それをご家族にもお伝え出来るようなら、一番良いのではないでしょうか。
 また、遺言書は封筒などに入れなければならない、という規定はありませんが、普段から取り出して中を見る、という事はあまり無いかと思われますし、封筒などに入れて、きっちりと封をしておいた方がよいかと思われます。
 封がしてある遺言書を勝手に開封することは、法律でも禁じられております。
 
④遺言書を変更、撤回する場合は、明確にする
 自筆証書遺言に赤ボールペンで斜線を引いただけのものが、遺言書を撤回するつもりだったのかどうか、裁判で争われたりもしております。
 最終的にこの裁判は、「遺言書を撤回したものとみなされる」とされましたが、裁判所によっても見解が分かれておりましたし、個々の状況はそれぞれ違いますので、常にそのような判断になるとは限りません。

 もし、遺言書の内容を一部でも変更、撤回する場合は、新旧の遺言書が存在して争いの原因とならないよう、新しくつくり直して、以前のものは破棄する方がよいかと思われます。
 ちなみに、公正証書遺言の場合は、遺言書の原本が公証役場で保管されますので、遺言者さまの手元にある正本を訂正、破棄しても全く効力は生じません。


 次回以降は、「相続でよく聞くことば」について、お伝えしていこうと思っております。
 

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