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三上隆(みかみたかし)

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コラム

遺言書に記載した相続人が先に亡くなったら

遺言書

2018年11月6日

 遺言書で財産を相続人に引き継いでもらう場合、「○○に相続をさせる」という風な記載をするのが一般的ですが、そこに記載した相続人の方が、万一遺言者さまよりも先に亡くなってしまった場合、その遺言はどうなるのでしょうか。

 例えば、「自宅は長男に相続させる」という遺言をされていた場合におきまして、遺言者さまが亡くなった時点で、先に長男が亡くなってしまっていた場合などです。
 この時、亡くなった長男に子供(遺言者さまからみれば孫)がいれば、自宅はその孫が引き継ぐ事になるのでしょうか。

 相続におきましては、相続人となる方が財産を遺された方(被相続人)よりも先に亡くなっていた場合、その相続人に子供がいれば、その子供は元の相続人の立場を引き継いで相続人となります。
 例えば、親Aが亡くなった時に、親Aよりも子Bが先に亡くなっていた場合に、孫Cが子Bの立場を引き継いで親Aの相続人になる、という具合です。
 この規定を「代襲相続」といいますが、この規定が遺言書においても当然に適用されるのか、という問題です。

 こちらにつきましては、原則として遺言書に記載した相続人の方が先に亡くなっていますと、その相続人に子供がいても、当然に財産を引き継ぐことは出来ません。
 先程の例ですと、遺言者さまである親Aの孫Cは自宅を引き継ぐことは出来ず、相続人の方々全員で協議をして、引き継ぎ方法を決めて相続手続きをすることになります。

 ただ、この遺言者さまが「自分よりも先に子Bに万一があった場合は、孫Cに自宅を引き継いでもらうつもりである」というような、ご自身の意思表示などをしておられた場合には、それが認められて、孫Cが引き継げる可能性もあります。
 こちらに関しまして、先程の例と若干状況は異なるものの、平成23年の最高裁判決にて、当然に次の方に引き継いで欲しいという意思があったとみられるような状況を「特別の事情」と表現して、それが認められる場合もある、という判示をしております。
 原則として引き継ぎは否定していますが、個別の状況により、遺言者さまの意思が認められる余地が一応残っている、という判決となっております。

 また、このような場合には、他の財産の引き継ぎの指定(例えば、預貯金は妻Dに)に関しましては、その部分は有効となります。
「全財産を子Bに遺す」という内容でもない限り、遺言書のすべてが無効になる訳ではありません。

相続人が万一先に亡くなっていた場合に備える「予備的遺言」

 では、遺言書をつくられる際に、このような事態を避ける為、何か対策をすることはできないのでしょうか。

 もちろん、長男Bが先に亡くなった時に、遺言書を新しくつくり直せば、何も問題は生じませんが、遺言者さまがその必要性を覚えておかなければなりませんし、万一認知症などで、ご自身の意思表示が出来る状態ではなくなってしまっている場合、遺言書のつくり直しや、元の遺言書を破棄する事も出来なくなってしまいます。

 このような場合に備えて、遺言書の中で次に引き継がれる方を先に指定しておく事を、「予備的遺言」といいます。
 例えば、「長男○○に相続させる」とした上で、「もし、この遺言の効力発生以前に、長男○○が死亡していた場合は、遺言者の孫△△に相続させる」という具合です。

 この予備的遺言は、万一の場合を想定して指定するものですが、同じ事態の発生を防ぐ為にも、当初相続をさせるとしていた方よりも、年少の方を指定しておかれた方がよいのではないかと思われます。
 
 また、新たに引き継がれる方は、最初の方の親族ではない方を指定しても構いません。
 例えば、長男○○に相続させるとしていたものを、万一長男○○が先に亡くなっていた場合は、姪□□に遺す(遺贈となります)という風にしておかれても構いません。
 
 ただ、不動産を相続人の方以外に遺される場合、相続登記(名義変更)時における税金「登録免許税」が、相続人の方は0.4%なのに対して、相続人の方以外の場合は2%になる、という違いがあります。
 
 相続において課税される税金につきましては、「相続税」を意識される方は多いと思いますが、不動産における登録免許税も思わぬ額になるケースも多くなりますので、相続人の方以外に財産の引き継ぎを検討される場合には、注意を要する場合もあります。

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