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井川卓

司法書士と行政書士の二つの資格を生かした相続問題解決のプロ

井川卓(いかわたかし) / 司法書士

司法書士・行政書士 アワーズ事務所

コラム

遺産分割協議で紛争になった場合、調停と審判(相続手続きの基礎知識20)

2017年7月10日

テーマ:遺産分割協議

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

遺産分割協議が調わない場合には、一般的に審判に先立って調停による分割が試みられます。

調停とは?

裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、話し合いによりお互いが譲り合って、私人間の紛争解決の合意を図る手続です。
一般市民から選ばれた調停委員が、裁判官とともに紛争の解決にあたります。
遺産分割をはじめとする家事調停は、家事事件手続法で定められています。

家事審判とは?

 審判には、
 ①公益に関する事件について、国家の後見的立場から家庭裁判所が関与するもの
  ・相続放棄、後見人の選任、養子縁組の許可など
 ②当事者間に争いのある事件
  ・遺産分割、親権者の変更、養育料の請求など
 の2種類があります。
 審判事件については、当事者から提出された書類や家庭裁判所調査官の調査結果などの資料に基づいて、裁判官が判断して決定する手続です。

調停分割

調停分割は、家庭裁判所で当事者に調停委員2名が加わって協議をして遺産の分割をします。
審判とは違って、法定相続分に拘束されることはありません。
調停分割が成立したときは、遺産分割協議書に代わって調停調書が作成されます。

審判分割

調停が不調に終わったときに、家庭裁判所の審判により分割するのが審判分割です。
審判分割は裁判の一種であるため、裁判官は法定相続分に拘束されることになります。
ただし、共同相続人全員の合意があれば、法定相続分に反する分割をすることができます。
具体的にどのような分割をするかは、裁判官の裁量に任されています。
現物分割、換価分割のほか代償分割や、ある遺産を一定期間分割禁止とすることもできます。

調停や審判などの取決めの履行確保

家庭裁判所の調停や審判などの取決めをしても、これを守らない人にはどうすれば良いのでしょうか?
相手方が取決めを守らない時には、家庭裁判所に履行勧告の申出をしましょう。
申出をすると、家庭裁判所が相手方に取決めを守るように説得したり、勧告したりしてくれます。
履行勧告の手続は無料ですが、相手方が勧告に応じないときは、支払いを強制できません。

調停調書などは強制執行をするための債務名義です。
したがって強制執行の申立をすれば、相手方に対する請求権を裁判所が強制的に実現してくれます。

この記事を書いたプロ

井川卓

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井川卓(司法書士・行政書士 アワーズ事務所)

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