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コラム
続 聴竹居を訪ねて⑨~視線
2017年10月10日
このコラムは前回の最後の続きです。今回はゆっくり見ることができたので、藤井厚二が人の視線をどのように考えていることがよく分かりました。
居間の床と畳の小上がり、客室の椅子の高さに合わせた床の間など椅子に座っても畳に座っても同じ高さ(視線)になるように考えられていること。
縁側のガラス戸が、欄間と地窓は摺ガラスにして(欄間は屋根の軒を地窓は地面が見えない)光りだけ取り入れ、真ん中透明ガラスに集中させ景色を切り取ったように見せていること(①の絵参照)。
上記の二つなどは本に書いてあることです。
今回見ていて私が気づいたことが二つあります。
一つ目は、⑦の終わりに書いた玄関です。両袖の木の板のスクリーンで居間と客室の入口を見えないようにしています(⑦の最後の絵参照)。それでいて欄間の格子と板の上部に4分の1円の開口を作ることで窮屈にならないようにしています。
二つ目は食事室の入り口です。4分の1円の部分は居間に張り出したようになっていますが、居間の南(縁側)から見ても西から見ても食事室のテーブルは少ししか見えません。4分の1円の下に壁や手すりがあるのはなぜだろうと思ったのですが、測っていませんがテーブルの高さに合わせているようです。「一屋一室」で食事室には戸もありませんから、食事しているところは見えないようにしたのだと思います。
人が部屋に入ったときに、真っ先に見る場所を作っている、また、関係のない人には見られたくない場所は見えないように配置して、視線をコントロールしていると思います。
よく考えると、コラム「聴竹居を訪ねて④」に書いたように客室は玄関の左手、右手には客用のトイレがあります。訪問客は、居間へ入る必要がありません。これも視線のコントロールだと思います。
次回は、「続 聴竹居を訪ねて⑩~TV放映を見て」です。
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