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僕と彼女の「老いるショック」〜加齢で減るもの・増えるもの〜山梨 漢方 老化 薬膳 さわたや薬房〜

早川弘太

早川弘太

テーマ:漢方的ご自愛短編小説

夕方のリストランテはまだ人もまばらで静かだった。

話題の人気店なのであと30分もすれば店は満員のお客さんで賑わうことだろう。

僕はその一瞬の静けさを楽しみながらよく冷えたビールを飲み彼女の到着を待っていた。

静かなリストランテで一人ビールを飲みながら女性を待つというのはなかなか良いものである。

読みかけのエッセーをキンドルの端末で読みながら僕はビールをチビチビと楽しんでいた。

しばらくすると一人の男女がリストランテにやってきた。

僕と同い年ぐらいの落ち着いた男性と20代後半から30代なかばぐらいの

年齢の割には落ち着いた雰囲気の女性。

夫婦とも、カップルとも、なんとも言えない組み合わせだ。ワケアリなのかもしれない。

そんなことを一人考えているとまたリストランテのドアが開き、今度は一人の女性が店内に入ってきた。

『おまたせ』

そう言うと彼女は僕の向かいの席に腰を降ろし荷物をお店のスタッフ、リストランテなのでカメリエーレというのだろうか?

兎にも角にもお店のスタッフに大きめの紙袋を預けて彼女は僕の前に腰を降ろした。

彼女は30代半ば、同じ職場ではないが仕事を通じて知り合った『友達』だ。

でもきっと僕らを他人が見たら微妙な関係に見えるのかもしれない。

きっとさっきからそばのテーブルに座っているこれまた微妙な感じの男女二人組のように。

彼女はカバンからおもむろに雑誌を取り出すと

ぱらぱらとページをめくりある記事のところで手を止めた。

「ねえ、これ」

そう言って、その記事を僕のほうに向けた。

そこには【みうらじゅん】のインタビューが載っていた。

※みうらじゅんさんはハイパーメディアクリエイター、ではなく、漫画家、イラストレーター、作家などマルチな才能を発揮されている方です。長髪と最近は仙人のようなヒゲが特徴です。

「みうらじゅんさんのこの記事、『若作り』じゃなくて『老け作り』だって」

僕は思わず笑った。

間違いなく女性誌には掲載されない特集だ。彼女は仕事柄様々なジャンルの雑誌を読んでいるのだ。

「いいね、それ。あえて老けて見せておいて、実年齢を言うと

『え!!、以外とお若いですね』ってなるやつでしょ」

「そうそう。なんか、ずるいよね」

彼女はそう言いながららビールを一口飲んだ。

「でもさ」と彼女は言った。「やっぱり、みんな本当は若く見られたいんじゃない?」

「うん、まあ、そうだろうね。」

そう言いながら僕は窓の外をチラシと見てみた。

通りを歩く人たちの年齢は様々だ。

僕らは『年齢』というものを見た目と、生まれたときから経過した年数とで計算しているが

老化というものは

【心と体の健康状態】

この2つの総合点ではないかと常に思っている。

生まれてから何年経過している、というよりも

現在の心と肉体の状態がどうか?

っということが非常に重要なのだ。

「このあいだ研修でね、『老化って何か』っていうのを、あらためて勉強したんだよね」

僕は仕事柄「老化」などについても学ぶこともあるし、老化対策の講演をすることもあるのだ。

「へえ、そんなことまで勉強するのね、なんだか面白そう」

「ざっくり言うと老化とは

細胞のダメージの積み重ね、かな。

日々の生活とか、ストレスとか、そういうものが少しずつ積み重なっていくとカラダは老化していくんだ。」

彼女は雑誌を閉じて、完全にこちらを向いた。

「なるほどね。細胞がダメージを受ける、か。

だからかもしれないけど、年取ると減るものっていっぱいあるよね。」

「うん、そうだね。いっぱいというか、かなりあるね。」

「例えば・・・筋肉とか?」彼女が首をかしげながらそう聞いてきた。

「そうだね。何と言っても『骨格筋』と言われる筋肉が加齢とともに減少していくとカラダの様々なパフォーマンスが低下するんだ。

骨格筋は代謝、血糖コントロール、呼吸、咀嚼、飲み込むことなど、生きる上で大切なことをほぼ行っている、と言えるし

老化=骨格筋の弱り

と言っても過言じゃないぐらいなんだ。

最近ではこの骨格筋の強化につながる抗老化作用のある物質

『S1PC』というものが熟成ニンニク抽出液から発見された、なんてニュースも報道されているよね。』

「え、そんなニュースがあるの、それ、浴びるほど飲みたいわ」

そう彼女が笑いながら話すと僕は話を続けた。「とにかくその骨格筋を始めとする筋肉量、それに関連して基礎代謝、骨密度、水分量、ホルモン、回復力・・・いわゆる『再生力』とか『柔軟性』に関わるものは加齢によってどんどん減っていくんだ。」

「耳が痛いわね・・・やっぱりさっきのS1PC、だっけ?浴びるほど飲むしかないわね・・・」

彼女は笑ったけれど、その笑いは少しだけ現実的だった。

「まぁ、飲んだからと言って急に若返るものじゃなし、どちらかと言う日々摂取して骨格筋の強化をしていく、という感じかな。

兎にも角にも、加齢によって減るものが多いけど、逆に年を重ねると増えるものもあるんだよね。」

「シミ、とかシワ、なんて言うつもりじゃないでしょうね?」

彼女は僕の腕を軽く叩きながら笑い、2杯目の白ワインをグイッと飲み干した。なかなか良い飲みっぷりだ。

一緒に食事をするならこういう女性とだと本当に楽しい。

「いや、そんなことは言わないよ。増えるものは体脂肪とか、動脈硬化とか・・・」

「もう聞きたくないわ・・・」

「あと、慢性炎症とか活性酸素とか・・・・」

「もうけっこうよ」

彼女は笑いながら喋り続ける僕の口を手で塞いだ。

僕も少しだけ笑った。

「でもさ、ちゃんと良いものだって増えるんだよ。」

「ほんとに?借金が増える、なんてまさか言わないわよね?」

「まさか、経験とか、判断力とか、慎重さとか、だよ。」

彼女はゆっくりうなずいた。

「うん、それはすごく思う」

少し間を置いてから、彼女はグラスの縁を指でなぞるようにしながら言った。

「そういうのがちゃんと積み重なってる人って、男性でも女性でも、やっぱり『考えている』って感じがして、とっても素敵に見えるのよね。」

「まあ、そういうのは経験値のなせる技かもね。安心感とか、安定感とかはある程度の経験を重ねることで湧き出てくるものかもしれないし、それに惹かれることはある意味、人間として当然のことかもしれない。」

「そうね。そう考えると年を重ねることも決して悪いことばっかりじゃないわよね。」

彼女はそう言って、少しだけ肩の力を抜いた。

「この前聞いた言葉で、老化に関連するすごくいい言葉があったんだよね。」

「どんな言葉?」

「『年を取ると、丈夫だったところは脆くなって、しなやかだったところは固くなる』っていう言葉さ。」

彼女は腕を組んで、少しだけ首をかしげた。

「いい言葉、っていうか、・・・うん、なんかとってもわかる気がする・・・」

「血管とかさ、若い頃は柔らかいけど、だんだん硬くなるじゃない。関節もそうだし、肌も」

「逆に骨とか歯は脆くなるしね。」

「そうそう。バランスが変わっていくんだよね」

彼女はしばらく黙ってから、ぽつりと言った。

「心も、そうかもね」

「うん」

「若い頃ってさ、もっとこう・・・ぐらぐら不安定だったし、かと思えば今よりもっと考え方に柔軟性があったと思うわ。

なんていうか、今よりもっとしなやかだった気がする。」

「感情の振れ幅も若い頃は大きいしね。」

「そう。でも今は、わりと感情も落ち着いてる。」

「その代わり、ちょっと頑固になってきてる、とかもあるよね。」

彼女は少しだけ笑って、目をそらした。

「否定はしないわ。」

僕も笑った。

「じゃあさ」

少し間を置いて、彼女が言った。

「この、みうらじゅんさんが言っている『老け作り』って、年令による変化を理解して、それを楽しむってことなのかしらね?」

僕は少し考えた。

「たぶんそうだと思う。

無理に若く見せるんじゃなくて、変わっていく自分を前提にして、その上でどう見せるか、っていうことじゃないかな。」

「なんか、そう考えるとちょっと楽になるわね。」

「うん、でも、君はまだそんな事考える年齢じゃない。僕ぐらいのアラフィフになってからで良いんだよ。」

彼女は雑誌をもう一度開いて、同じページを見た。

「今のあなたはとっても落ち着いていてステキよ」

「ありがとう。できるだけこれからもしなやかに生きていきたいとおもっているよ。なるべくね。」

僕はそういながら少し笑った。

彼女も顔を上げて、僕よりもう少しだけ大きな声をだして笑った。

その笑い方は、きっと10代や20代の女性では出すことができない、穏やかで、知性を感じさせる笑い方だった。年を重ねることで醸し出される良い面が早くも出ているみたいだ。

そして僕たちは、それ以上その話を深めることもなく、別の話題に移って行った。

飲み物も彼女は4杯目のグラスの赤ワインを。僕は4杯目のハイボールを飲み始めた。

老化は、たぶん止められない。けれどもカラダの手入れをしっかりすることで緩やかにすることは出来る。

老いることで増えるもの、減るもの、それを理解し活かすこと

そして年々弱っていくカラダのケアをしっかりしておくことで

いつまでも、生きている限り、人生を有意義に過ごすことが出来るだろう。

そんな事を考えると目の前にアスパラと帆立貝のクリームパスタが出てきた。

『美味しい!』

世界中の美味しいを集めてきたみたいに喜びながら彼女はパスタを口に運んだ。

この瞬間にも僕らは年を重ねている。増えていくもの、減っていくもの、いろいろあるがそのすべてを

「老いるショック」を

僕らは受け入れて

みうらじゅんさんのようにプラスに変えてこれからも生きていこう。

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早川弘太
専門家

早川弘太(販売職)

株式会社 沢田屋薬局

医療機関などでは、忙しくてなかなか話を聞いてもらえなかったご経験ありませんか?まずお客様のお話をゆっくりとお聞きさせていただき、一緒に不調の原因を考えていきます。漢方相談と健康相談を行っています。

早川弘太プロは山梨日日新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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