泣く子に睡眠薬は問題解決にならない【山梨 漢方 沢田屋薬局】
前回からいよいよシーズンが目前に迫った『5月病』についてお届けしております。
前回は5月病の原因について、環境的、カラダの仕組み的、そして漢方的に分解して考えていきました。
前回もお伝えしましたが、不調を改善していくにはまずその不調がおこる仕組みを知ることが大切だといつも思っています。
今回はそんな仕組みに従って予防法などを考えて行きたいと思います。
今から始める5月病対策〜長期休暇・休みの日の過ごし方編〜
というテーマでお届け致します。
☆原因から考える5月病対策
今回は前回5月病が起こる原因について考えて行きましたので、その回答として5月病にならないための予防法、養生法をお伝えしていきたいと思います。
5月病になる原因の一つが新しい環境に対応するため、頑張り続け、張り詰めた緊張が連休で緩んでしまい、自律神経が乱れてしまうということが原因の一つだとお伝えしました。
2つ目の原因は様々なストレス。
新しい環境、新しい人間関係、新しい生活リズムなどで感じるストレスに加えて春独特の季節の変わり目というカラダの負荷、気圧変化、気温変化という自然からの負荷(ストレス)も加わることで自律神経が乱れしまうからだとお伝えしました。
そして最後は漢方的原因について。
春に弱る場所・五臓の『肝』に負荷をかけたりすると自律神経や血の巡りが悪くなり、調子が崩れやすくなると中医学では考える、ということをお伝えしました。
5月病を未然に防ぐための養生第1弾として今回は非常に重要な『休み中の過ごし方』をお伝えします。
☆5月病対策はゴールデンウィークの過ごし方が大事
5月病対策、まずは新しい生活で気を張っていた状態を一息入れるゴールデンウィークの過ごし方がとても大切です。
3月から4月にかけて新しい環境や人間関係の変化等で知らないうちに多くの方が気を張った生活をしています。
自律神経の中でも『心身を頑張らせる神経』交感神経が優位な状態が持続しやすい時期なのです。
そんな状態がいつまでも続くことは心身の大きな負担となり病気の原因にもなるので、とうぜん休息が必要です。
そんな時期にタイミング良くやってきてくれるのがゴールデンウィークです。
長期の休みがあるから気が抜けて5月病になる、というのは半分正解で半分不正解です。
心身を休ませるため、長期の休養をとることは非常に大切なのですが、重要なのはその休み中の過ごし方です。
これはゴールデンウィークに限らずお盆休み、年末年始休暇などの他の長期休暇にも言えることなのですが、どんな方でも長期の休み明けに仕事や学校に行くのは億劫ですよね。
普通の日曜日明けの月曜日でさえ『ブルーマンデー症候群』なんて言われる症状があるぐらいなので、長期の休みとなればなおさら億劫になります。
長期休暇の過ごし方で大切なことは休み中でも
『生活リズムを崩さないこと』
です。
ブルーマンデー症候群も長期休暇明けの不調も、休み明けに体調を崩してしまう方の多くは休み中に生活リズムを乱しがちです。
☆休み中も『寝る時間&起きる時間』は一定で
まず気をつけてほしいのはゴールデンウィーク中も『寝る時間&起きる時間』はできるだけいつもと同じにすることです。
この時間が崩れてしまうと皆さんの体内時計が乱れてしまいます。
体内時計は御存知の通り自律神経とリンクしています。
朝起きると『やる気スイッチ』とも言える交感神経のスイッチが入り
夕方から夜にかけて日が沈んでくると『癒しスイッチ』副交感神経が徐々に優位になります。
僕らは基本的にこのバランスで体調を整えています。
朝日を浴びて約15時間後ぐらいに人間を眠りに導く『メラトニン』という睡眠物質が分泌されるということも実はこの体内時計と自律神経との繋がりが大きいのです。
朝起きる時間、寝る時間が乱れてしまうとこの自律神経と体内時計のバランスも乱れてしまい体調が狂いやすくなります。
休みだからと普段は12時ごろ寝ているのに夜中の2〜3時まで夜ふかしをしたり、休みで寝坊しても良いからと普段は7時頃おきているのにお昼まで寝てしまったりすると体内時計はガタガタになってしまいます。
せっかくの休みなのでちょっとした夜ふかしや数日の夜遊びも良いでしょう。
朝寝坊も30分から1時間程度なら許容範囲です。
しかし夜ふかしや朝寝坊が連日になってしまったり、あまりにも普段の寝起きする時間と違いすぎてしまうとさすがに体内時計のリズムが乱れてしまいます。
休み明けの2日前ぐらいからは普段と同じリズムにできるだけ戻しておきましょう。
朝起きるのが楽な状態にしておくだけでもグッと体調が違います。
ただでさえ長期休暇明けで『やる気スイッチ』が入りにくいところに体内時計まで狂ってスイッチが入りにくくなってしまったら目も当てられません。
☆休みの朝は・・・
そして休みの日の朝はできるだけいつもと同じ時間で起きて、のんびりと過ごすのがおすすめです。普段は家のこと、仕事の支度など『朝は戦場』というような方も多いと思います。
なので『休みの日ぐらいゆっくり寝たい』と思いますよね。もちろん、先程もお伝えしましたがいつもより30分〜1時間ぐらいであればベッドでゆっくりしても良いと思います。いつも飛び起きるように朝を迎えることを考えたらその時間も贅沢な、幸せな時間ですよね。
寝坊もその程度なら良いので、朝起きたらゆっくりコーヒーを楽しんだり、モーニングなどを食べに行ったり、ゆっくり散歩したりしていつもは慌ただしい朝の時間を贅沢に使うことでリラックスすることができます。
なおかつ起きる時間はそれほど変化ないので、体内時計も狂いません。
中医学には子午流注(しごるちゅう)という考え方があります。
これはカラダの気や血は1日の時刻の中でそれぞれに対応する臓腑を順番に巡って体中を隈なく流れている、という考えです。
特定の時間になると気血が巡って活発に働く臓腑があるので、その時刻にあわせて様々な臓腑に対応した養生をすると良い、という時間なのですが実は朝の7〜9時は胃に気血が巡る時間と考えます。
なので、朝は本来であればゆっくりと過ごし、食べた物をエネルギーに変える時間なので、ゆっくり朝ごはんを食べる、胃腸のことを考えると温かい消化の良いものを食べることが一番なのですが、普段は冷たい牛乳とパン、というような食事方も多いと思うので、せめて休み中は胃腸に優しい朝食をゆっくり、のんびりしながら食べましょう。
ゆっくりした食事をとることで胃腸の負担も減りますし、一日のスタートがゆとりある状態で始まると1日のリズムも整いやすくなると思います。
☆ちょっとしたテクニックも・・・
最後は養生というわけではありませんが休み明けを軽やかに乗り切るテクニックのようなものですをご紹介したいと思います。
それはシンプルな方法で、休み明け初日の仕事はできるだけ『軽め』にする、です。
今年だと5月6日か5月10日から仕事、という方が多いと思います。
休み明けは仕事が好きとから嫌いとかでなく、休みモードから仕事モードに切り替えないといけないので、なんとなく憂鬱です。
そこに重ねて重たい仕事が休み明け早々から予定されていたらどうでしょうか?
やる気も仕事に行く気も出ませんよね。
なので、休み明けの初日はできるだけ気を使わない、軽めの仕事を中心に予定を組んでおきましょう。
『休み明けは仕事たまっているから、あれやって、これやって・・・』と詰め込んでしまうと思わぬストレスになりますので、長期の休み明けの1〜2日目はできるだけ軽めの仕事にして『休み明けだから色々やらなくちゃ』と残業などもせずに、まだ休みモードのカラダに鞭打たないように気をつけましょう。
『休み明けの午前はフリーでゆっくり仕事できる』と思うだけでも気が楽ですよね。
ちょっとしたテクニックですが意外と効果抜群なので、今のうちに休み前のスケジュールを確認してゆとりある休み明けにしておきましょう。
今回は5月病対策の中でも重要な『長期休暇中の過ごし方』についてお届けしました。
次回も5月病対策についてお届け致します。
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