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ファッションの知るべき事実。古着や服を直して着るコトで平均51.5%もCO2排出が抑えられること

2023年5月23日

テーマ:サスティナブルファッション

コラムカテゴリ:ビジネス

今日はファッションを楽しんでいる人は知るべき耳の痛い話をします。
かくいう私もファッションを楽しむ側の人間です。その上で、私たちが知るべき事実を共有できればと思います。
まず下のレポートの一文をお読みください。

2020年度FASHION ON CLIMATEレポートによると、
”世界のファッション業界は約21億トンのGHG排出量※(二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの排出量のこと)を生み出した。
2018年の世界全体の4%に匹敵する。これはフランス、ドイツ、イギリスの年間合計に相当する。
また、ファッション業界の排出量の約70%は、素材の生産、準備、加工などの上流工程による活動によるものである”
https://renewalworkshop.com/pages/leadingcircular


急にこんなコト言われてもピンとこないですよね?私もそうです。
ただ、ファッション業界が出している温室効果ガスってやたら多いんじゃない?ということはわかると思います。
正直、自分は他人事だと考えていました。
ただ、実際に昨今の異常気象(もはや異常という言葉の定義ではなく、通常かもしれません)を自分自身が体感し、IPCCなどのレポートや分析結果を見ると私たちが便益を受けている産業、普段の生活から出ている物質により起きている事象であることは明白だと感じるようになりました。

温暖化は人間が原因=IPCC報告 「人類への赤信号」と国連事


レポート
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書 第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠) 政策決定者向け要約(SPM)の概要(ヘッドライン・ステートメント)
https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210809001/20210809001-1.pdf

英リーズ大学のピアス・フォースター教授は、「かつては、たとえネットゼロ※(大気中に排出される温室効果ガスと大気中から除去される温室効果ガスが同量でバランスが取れている状況のこと
)を実現しても、気温上昇は続くと考えられていた。しかし今では、自然界が人間に優しくしてくれると期待している。もしネットゼロを実現できれば、それ以上の気温上昇はおそらくないだろうと。温室効果ガスのネットゼロが実現できれば、いずれは気温上昇を反転させて、地球を少し冷やせるようになるはずだ」と言う。https://www.bbc.com/japanese/58142213


TRWレポートには続きとして


TRWでは、新しく服を作るコトと服をリペアするコトを比較して、環境に対するインパクトを定量的に示されていた。

比較条件:①②の比較

①新しく服を作る
②既存の製品をリペアして着る

調査対象:生産~流通~着用~廃棄までの一連のサイクル

製品のゆりかご~墓場までの影響

カテゴリー①(購入品、サービス)

カテゴリー④(上流輸送・流通)

カテゴリー⑤(業務で発生する廃棄物)

カテゴリー⑨(下流輸送、流通)

カテゴリー⑪(販売製品の使用)

カテゴリー⑫(販売製品の廃品処理)を対象ルート

結論


レポートでは結論として、下記のように記されています。

GWPを削減するためにアイテムの修理やリユースに投資するロジックはもはや、単なる直感的なものではなく、データで示されています。
製品をリニューアルする場合、ゆりかご~墓場までのCO2が平均51,5%、製造時のCO2は平均95%削減され、炭素排出量の削減が目的であれば、リニューアルや再販に投資しない選択をとることは必然である。
リニューアルした製品がブランドのポートフォリオの10%に過ぎなくても、大幅な炭素削減が実現できます。
新素材の開発、再生可能エネルギーへの投資、効率的なサプライチェーンの構築など各ブランドの取り組みは素晴らしい。すべて有用であるからである。
が、しかしより強靭な炭素戦力を構築する為に、根本的な変化を起こすべきである。


GWPとは?

地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential) とは、二酸化炭素を基準にして、ほかの温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるか表した数字のことです。すなわち、単位質量(例えば1kg)の温室効果ガスが大気中に放出されたときに、一定時間内(例えば100年)に地球に与える放射エネルギーの積算値(すなわち温暖化への影響)を、CO2に対する比率として見積もったものです。GWPの計算方法については、まだ世界的に統一されたものがなく、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書でも毎回数値が変わっています。


では私たちはどうするべきか?新品の服を買うコトを減らし、直し


では、私たちはどうするべきか?という点については、新品の服を買うコトを減らし、直して着るコトを増やす。やはりこれに尽きると思います。
新しい服を買うという手段の前に、手元にある服、2次流通に回っている服に少しでも目を向けることが大事だと感じます。
また、新しく服を買う際も自分の消費に意思を持ち、短期的なP/L的視点ではなく、製品ライフサイクルを意識したB/S視点での購入判断を意識できると先述した課題に対して、一人ひとりが向き合えると思います。

最後に、洋服を買う前に一度クローゼットを見てみてください。

最後に、洋服を買う前に一度クローゼットを見てみてください。


服を購入する際に、一度クローゼットを見ることを意識してみてください。
着ていない服を直せないか?染めたら着れないか?
仮に新しく購入する金額と比較した際に、同額だとしても環境コストでいえば断然コスパがいいのが、直して着るコトです。
因みに、私もリペアや藍染めなど手元にある服を活用するコトを意識しています。

この記事を書いたプロ

神谷哲治

採用課題を解決する副業兼業人材活用コーディネーター

神谷哲治(合同会社YOBOSHI)

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