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コラム

古着を着ること。ファッション産業を変える衣服の循環について

2023年5月20日

テーマ:サスティナブルファッション

コラムカテゴリ:ビジネス

最近のファッション業界では「古着」がトレンドになっています。私たち「fitu」のnoteではこれまで何度も古着についてお伝えしてきた通り、古着がトレンドになってきている背景としては「サスティナブル」が社会に浸透してきていることが要因の一だと考えています。

筆者である私自身も古着を好んで着ています。しかし、「サスティナブル」や「SDGs」を意識して着始めたわけではありません。シンプルに古着が「かっこいい」と思い着始めました。主観ではありますが、古着を着ている方の多くがシンプルに「かっこいい」と思い着ているのではないかと考えています。(もちろんサスティナブルを意識して古着を着ている方もいらっしゃると思います。)

そんな単なるファッションとして「古着」を着ることで、実は環境に対して良い影響を与えている事実についてお伝えしていきます。

私が古着を着始めたきっかけは「ハイブランド」


私は中学生時代からファッションにのめり込んで、これまでさまざまなテイストのファッションを通ってきました。時にはSupremeやSTUSSYなどのストリート系ブランドやHERMES、Diorなどのラグジュアリーブランド、CAROL CHRISTIAN POELLやMA+といったコアなアルチザンブランドなどなど。

しかし、今私が所有している服の半数以上が古着です。今も服を買うことはありますが、ここ数年古着しか買っていません。

これまで様々なハイブランドを買ってきた私が古着にハマった理由として、古着とは対局にあるであろうハイブランドがきっかけなのです。

私が古着を買い始めた理由としては「MAISON MARGIELA」というハイブランドがきっかけだと言えます。「MAISON MARGIELA」はアーティザナルという古着をリメイクした衣服を高級ラインとして打ち出していました。アーティザナルラインではLevisのデニムにペンキを塗りたくったペンキデニムやM47というフランス軍のカーゴパンツを裏返したパンツなどが有名です。

私はフランス軍のM47を裏返したパンツが欲しかったのですが、とても高額でした。しかし、当時古着であるM47は一本¥3,000ほどで販売されていました。結局私は「MAISON MARGIELAのパンツではなく、M47でいいじゃん。」となり、M47を¥3,000ほどで購入することとなりました。

最初は「これでいい」が今となっては「これがいい」


M47を購入したことで、古着に関心が出てきた私は、古着屋さんをめぐるようになりました。結果、様々なファッションブランドが古着から着想を得てデザインをしていることに気づきました。古着から着想を得ている理由として、人間がここまでの長い歴史で衣服の用途(フォーマルやワークウェア、ミリタリーウェアなど)によって、ギミックに意味があり、デザインに落とし込んでいることだと解釈しました。

私は過去の衣服のギミックをデザインとして落とし込んでいる現代の衣服よりも、着用者の衣服の用途や着やすさを追求した古着の方が欲しい。「これが良い」と考えるようになり、古着を集めることとなりました。

世界的に注目されている古着ブーム。


古着をECサイトで販売しているアメリカの企業「スレッドアップ(thredUP)」が2021年に出したレポートを見ると、2021年時点での古着市場(360億円ドル)が、今後5年間で約倍増(770億ドル)に到達すると予測したデータが出ています。衣服のリユースや循環といった事業が伸びてきていることから、古着がトレンドになってきているという裏付けになるのではないかと考えています。

また、threadUP以外にもDepopというイギリスのフリマアプリも利用者が増えてきているという記事も多く目にします。

ここまで古着がトレンドになっているのかという理由としては、トレンドを左右するメインの消費者である、若年層(10〜20代)の倫理観や環境意識が向上してきていると言われています。

一着を長く着続けることが環境に良い影響を与える


これまで、古着がトレンドになってきているという事実と背景についてお伝えしてきました。ここからはなぜ「古着が環境に良い影響を与えるのか。」WEB上で公表されているデータをもとにお伝えしていきます。

まず、衣服以外にも循環型経済について発信しているメディアである「サーキュラーエコノミーハブ」で見つけた情報ですが、衣服を新しく生産するよりも、衣服を直すことにより、CO2排出量を平均50%以上も削減することができるというデータが出ています。

アパレル業界向けにサーキュラー・ソリューションを提供するThe Renewal Workshop(以下、TRW)はこのほど、報告書『Leading Circular 2021』を発表した。同報告書のなかで、衣料品やバッグなどの「リニューアル」(修理して標準の状態に戻すこと)が、製品を新しく生産する場合と比較してCO2排出量を平均51.5%削減できることを示した。
Circular Economy Hub
衣服を「リニューアル」することで、CO2排出を半減。The Renewal Workshopの最新レポートより


古着を着ることと衣服を直すということは方法としては異なりますが「衣服の廃棄を抑える」という共通点があります。結局のところ、古着とは「ヴィンテージ」だけではなく、メルカリやリユースストアで売られている衣服も含まれます。

私たちは衣服を着続ける方に対して、「お直し」というサービスをご提供していき、現状存在するフリマアプリやオークションサイトがリユースサービスを展開していくことで、「衣服が循環」する仕組みを作っていければと考えています。

古着やお直しが実現するサスティナブルファッション


古着を買うことや、お直しをすることにより、アパレル業界が環境に与えている影響を軽減させることができます。

古着を買うことやお直しを利用するきっかけとしては、「かっこいい」「気に入ってる服を長く着たい」という考え方だけで良いのではないでしょうか?「サスティナブル」や「SDGs」に固執せず、ご自身のファッションを楽しんでいただくことが一番大事なのではないかと考えています。その結果、環境に対して良い影響を与えることができるという状況が実現できれば最適解なのではないかと考えています。

1人でも多くの方が、ファッションを楽しむために「古着を着る」「お直しサービスを利用する」ことで、循環型アパレル産業が実現できると考えています。

衣服のサイズ調整サービス「fitu(フィッツ)」

WEBサイト:https://fi-tu.com/

想い出の一着をリメイクするセミオーダーサービス「fitu by NINI(フィッツバイ二ィ二)」


WEBサイト:https://bynini.fi-tu.com/

この記事を書いたプロ

神谷哲治

採用課題を解決する副業兼業人材活用コーディネーター

神谷哲治(合同会社YOBOSHI)

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