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コラム

補助金を使って構築したシステムが使われない!?

2023年5月17日

テーマ:システムトラブル

コラムカテゴリ:ビジネス

こんにちは合同会社YBOSOSHI代表 神谷です。

地方企業が「システム化」や「IT化」といった新しい取り組みを行う際、国からの補助金を使って実行することは珍しくありません。しかし、せっかく国からの補助金を使って作ったシステムが機能せずに使われないといった実態を少なからず目にしてきました。
その原因として実際にあったのが、経営層が主導でシステム導入を行っているケースでした。
典型的なあるべき理想像を、現場オペレーションの理解が浅いまま押し付けており、システム理解、お客様理解が浅くどの視点から見ても使われない、使いづらいシステムが誕生するといった事態が発生しています。

結果、起きる事象としては、経営と現場の感情的な衝突とコスト面での不利益というネガティブダブルパンチが発生します。
今回はなぜそういった状況が生まれるのか、その実態についてお伝えしていきます。

紙での取引から刷新、toB向けWEBシステムを構築する事業者

今回は補助金を活用して新しくtoB向けのシステムを開発した事業者の例です。
取引先と従来の紙でのやり取りから、システム化して受注をWEBで可能にするコトを想定してシステム構築をされました。

私たち「よぼし」はWEBシステムができた後に、使われていないシステムのどこに課題があるのか?という点で、経営層の方より依頼がありこのプロジェクトにジョインしました。

経営側が現場オペレーションを把握せずに、構想して作ったシステ

実際に出来上がったシステムの検証を進めて行くと下記2点が大きく課題として上がりました

①向け注文画面
┗UI部分の分かりづらさ、制約条件漏れ

②管理者向け機能
┗生産管理部分の未考慮、未設計

①ユーザー視点が欠如していたことで、注文画面のUIが非常に見づらく操作がしづらい。
また、条件設定も不足していたことで、本来注文できない内容も登録可能なシステム設定になっていることが確認できました。
②受注管理システムは構築したものの、生産管理工程が考慮されておらず、現場オペレーション側で使っているシート類と繋ぐ方法も検討が必要という状況でした。

この事業者はWEBシステムを構築する際に、経営層が主導で進めたコトで、ユーザー視点、現場オペレーション視点を考慮せず構築していたことで、上記2点の大事な要素が漏れていました。(もちろん現場フロー図もなし)

経営層は自社の事業を伸ばす事を最優先に考える立場です。そのためには、「新規事業展開による売上拡大」「既存事業のコスト削減」といったことを進めていく必要があります。そのために、「DX化」や「IT化」を取り組むケースをは少なくありません。

しかし、経営層だけの考えでシステム化、IT化をすることは多少なりともリスクがあります。そして、経営層にDXやITの知識を持った人材が少ないとそのリスクは跳ね上がります。

こういったことを踏まえ、地方企業の経営者がシステム化、IT化を進めて躓く課題は以下だと考えます。

①経営側にDXやITの知識が不足している
②現場オペレーションを把握漏れ
③顧客起点の欠如

こうした課題を解決しないまま、補助金が出るからと安易にシステムを構築するという行為を行うと、結果的に大きなコストを支払うことになります。

自社でできないのであればシステムベンダーに任せるべき?

上記を踏まえ、ではシステム会社に全ての要件を任せた方がいいのか?という観点で言うと、その結果、待っているのは悲劇の確率が高いです。
(もちろん親身になって対応してくれるシステムベンダーは多くいますが、そこに頼り過ぎるとベンダーロックがかかる恐れもあります。)

システムベンダーはクライアントである地方企業の課題を全て理解しているわけではありません。また、地方企業の会社状況や事業理解も詳しく把握はできていません。
あくまでもシステムベンダーは、作る人で使う当事者ではないことを理解しないといけません。

大事なことなので改めてお伝えすると、システムを使う当事者は「地方企業の人たち」「またそのお客様」です。
まずは自分たちで会社として目指すべき姿、作るべきシステムのビジョン、現在ある問題・課題、現場フローの可視化、などを整理して、システムベンダーと会話する必要性があります。

足りない部分を補い、一緒に歩むスローコーディネーターという新

現在、私たちはこの記事で紹介した事業者と共に様々なプロジェクトを行っています。
ここで挙げたWEBシステムは現在、生産管理、UI面も含めてテコ入れを行っている最中です。
生産管理面ではシステム自体の安易なテコ入れではなく、会社として今後の方向性を踏まえて、喧々諤々経営層の方と会話をしました。
その上で、課題となっているクリティカルな部分に現在アプローチをしています。
また、私たちはシステㇺ要件整理、改善に留まらず新規サービスのプロジェクトも提案し、現在進めています。

その理由は、地方企業毎に強みがある中で、新しいチャレンジを行えておらず、現在の事業を回すことで一杯一杯になっている事業者の方が多い為です。
そこで、私たちが新規事業部隊として構想〜実行まで担い推進しています。

会社の成長の観点で言うと、当たり前ですが深化と探索が求められます。
既存事業を深化すると同時に、新しい種を探索することも必要だということです。
今回紹介した事業者は、会社の強みを活かしたアイデアが検討段階で止まっていた為、私たちの方でブラッシュアップして構想~実行を行っております。

長々と記載しましたが、あらゆる地方企業と関われば関わるほどに、私たちは下記の様な人材が地方企業に必要であると考えます。

地方企業で不足している人材
①IT、DXを目的をもって正しく企画、推進できる人材
②既存事業に留まらない新しいサービスを構想、実行できる人材

このような人材を集めるコトは、非常に難しいことも重々理解しています。
そういった地方企業に対して、私たちは一機能として伴走して、共創するコトを実施しています。

地方企業の想いを実現する「よぼし」


私たち「よぼし」は地方企業に眠っている想いを実現したいという志で事業に取り組んでおります。その結果、幸いにも多くの企業様と関わらせていただきました。同じような悩みや、課題を感じている企業様は、相談ベースでも構いませんので、お気軽にご連絡ください。
ぜひ、お待ちしております!

この記事を書いたプロ

神谷哲治

採用課題を解決する副業兼業人材活用コーディネーター

神谷哲治(合同会社YOBOSHI)

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