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三枝秀行

不動産に強い相続アドバイザー

三枝秀行(さえぐさひでゆき) / 相続コンサルタント

株式会社三枝エステート

コラム

税制改正大綱から読み解く生前贈与の行方は・・・・・

2021年12月17日

テーマ:相続情報

コラムカテゴリ:法律関連

今年は贈与税の改正により暦年贈与は最後のチャンスで来年からはできないのではないかという様々な情報や憶測が新聞、雑誌等のメディアで取り上げられてきましたので否応でも目にすることが多々あったと思います。
その背景には昨年12月10日に公表された令和3年度税制改正大綱に資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討することが織り込まれていたからです。
これは今後の税制改正で相続税と贈与税の一体化をすることが将来的に暦年贈与から相続時精算課税にシフトすることで相続税の大増税を図るということに他ならないのです。
しかし、直近の令和3年12月10日に公表された令和4年度税制改正大綱には、この贈与税の改正は織り込まれていなかったのです。
最新の令和4年度税制改正大綱は贈与税の改正が最大の焦点でしたが、改正がなかったことはまずは一安心でしょう。
何故かというと相続対策を何から始めていこうか悩んでいる方も相続ビジネスに関連する専門家にとっても暦年贈与は相続税対策の基本であり王道であることに間違いないからです。
暦年贈与のメリットは贈与時に課税されても相続税の税率より安ければ早く財産を移転することができますが、相続時精算課税制度は贈与時に課税されない部分が多いのは良くても、相続時に過去の贈与金額が高い税率で課税されるのがデメリットです。
実際の統計数値でも令和2年11月の政府税制調査会の資料によると平成30年の贈与課税件数は37万4千件、相続時精算課税の件数は4万3千件と圧倒的に贈与課税件数が多いことでも証明されています。
また、今回の改正で見送られた項目を要約すると以下の通りだと思います。
・暦年贈与(1人当たり110万円の非課税枠)の撤廃
・暦年贈与から相続時精算課税制度(2,500万円までの贈与は非課税で相続時に相続税で精  算)に移行すること
・相続発生時から遡って3年以内の生前贈与を相続税の課税対象にするルールを5年以内から10年以内とするもしくはそれ以上に延長すること
この税制改正の考え方は今後も検討されるようですが、早くても再来年以降の税制改正項目となりますので、改正のタイミングは令和5年4月以降になるかも知れません。
今年も残り僅かとなりましたが、贈与を前向きに検討されている方は、1人当たり110万円の非課税枠がありますので、駆け込みで本年中の贈与をしては如何でしょうか?
最後に12月10日に公表の令和4年度税制改正大綱の詳細については、[令和4年度税制改正大綱 https://www.jimin.jp/news/policy/202382.html]]のサイトを参照して下さい。

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