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三枝秀行

不動産に強い相続アドバイザー

三枝秀行(さえぐさひでゆき) / 相続コンサルタント

株式会社三枝エステート

コラム

身寄りのない高齢者の身元保証トラブルを防ぐ対応策について

2023年12月1日

テーマ:終活

コラムカテゴリ:法律関連

 本年9月4日付の朝日新聞に掲載されたとおり、身寄りのない高齢者と入院時や入所時の身元保証を引き受ける民間事業者とのサービスにおいてのトラブルが相次いで発生しているとの報道がありました。
昨今、身元保証に関するサービスだけでなく老後の財産管理や死後の事務委任契約の代行サービスについても同様のトラブルが多発しているようです。
超高齢社会の状況下でこのような悪質業者とのトラブルを未然に防ぐことは大変難しいことですが、身寄りのない高齢者がこの先も安心して暮らしていくにはどのような対策をすれば良いか考えてみましょう。
高齢者施設や施設紹介会社をインターネットで検索すると数多の業者が出てきますが、優良な会社を見極めることは難しいためにより多くの会社からアドバイスを受けることが必要ではないでしょうか。
身寄りのない高齢者が老後とその先の相続を考えて老い支度をするときの対策としては、以下のような契約を結ぶことが考えられます。
1) 見守り契約(生活サポート契約)
2) 身元保証契約
3) 財産管理委任契約
4) 任意後見契約
5) 死後事務委任契約
この他にも相続対策の王道である遺言がありますが、ここでは上記五つの契約内容や契約に関する注意点を確認しましょう。
1)見守り契約(生活サポート契約)は、定期的に電話連絡や訪問をして高齢者が元気に独居生活できているかを法律専門家や民間の会社が定期的に見守るサービスです。
見守り契約の目的は大きく二つあり、一つは任意後見契約を適切なタイミングで発動できるよう定期的に本人の健康状態や判断能力を確認しながら認知症が発症して健康面や財産管理等に支障が出ないようにすることです。
もう一つは独居で生活する高齢者が、居室内で倒れて発見が遅れるリスクに備えることでありこの場合は本人の生命の危機に対応できるような警備会社の見守りサービスが必要不可欠かもしれません。
2)身元保証契約は、入院の手続や介護施設への入居手続きの際に求められる身元引受人を引き受ける契約です。
本来は家族や親族が身元引受人として入院や入居に伴う手続きを行いますが、家族や親族に代わって民間事業者が身元引受人の立場を担うものです。
身元引受人となった民間事業者が適切な対応をしないと本人が希望する施 設への入所手続きができなくなり入退院等の手続きも滞る可能性がありますので注意しなければなりませんが、このようなトラブルも多いのが実状です。
また、任意後見契約を締結しないで身元保証のみの契約をする場合は、将来のリスク対策として万全ではないので、民間事業者と身元保証契約をする場合には必ず任意後見契約とセットで検討することです。
3)財産管理委任契約は、本人に代わって不動産や金銭の管理を行うサービスです。賃貸不動産や空き家については、不動産業者に管理委任契約を交わして管理を任せるというケースが多々あります。
金銭については、任意代理契約や金銭管理契約等の契約があり本人名義の預貯金口座は、判断能力が低下すると預金が下ろせないリスクがあるので予め金銭を第三者に預けて預金の凍結対策を図りつつ、将来に備えて各種の支払いを依頼しておきます。
金銭管理の契約は、適切な支出と適切な管理がなされているかは本人確認しますが、本人が確認できないような健康状態になれば速やかに任意後見に移行した上で金銭管理契約を終了する必要があります。
この場合、悪質業者は本人の判断能力が低下したことを認識しているにもかかわらず意図的に任意後見を発動させずに金銭管理契約を継続して杜撰な管理をするかもしれませんので要注意です。
4)任意後見契約は、本人が元気なうちに信頼できる後見人候補者(任意後見受任者)との間で将来の後見人就任を契約でお願いしておきます。
本人の判断能力が低下した場合は、必要な時期に家庭裁判所に手続をすることにより受任者が正式に任意後見人として本人の財産管理や法律行為の代理、身上保護に関する権限を行使することができるからです。
5)死後事務委任契約は、家族や親族に代わって葬儀・火葬・納骨・永代供養を行うことや医療費や公共料金の精算、家財の処分等を第三者に依頼しておきます。
納骨については、死後事務を担う第三者が存在していても祭祀・墓地使用権を引き継ぐ親族がいない場合、納骨を拒むお寺や墓地があることから予め死後事務の受任者が納骨・永代供養の手続きをすることができるかどうかを確認しておくことがポイントとなります。
これまで高齢者の身元保証についてのトラブル防止の対応策を挙げてきましたが、どれが最善の対策であるかはケースバイケースで異なることと思います。
従いまして、これから高齢者の身元保証に関するサービスを検討される場合は、悪質な業者から身を守るためにも複数の法律専門家や民間事業者に相談して慎重に検討されることをお勧めします。

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