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三枝秀行

不動産に強い相続アドバイザー

三枝秀行(さえぐさひでゆき) / 相続コンサルタント

株式会社三枝エステート

コラム

公正証書オンライン化に向けての最新動向

2023年6月1日

テーマ:相続情報

コラムカテゴリ:法律関連

 令和7年(2025年)の秋より公正証書が電子化される予定となりましたので、最新の
情報をお知らせします。
電子公正証書は公証人法の改正を伴いますが、現状では法務省の法制審議会で法案の
作成作業中のため刊行物やインターネット上には情報公開されていません。
電子公正証書はリモートによる公証と対面での公証に分かれますが、それぞれの手順は
次の通りです。
リモートでの公証については、以下の①から➅までの手順で行う予定となっています。
①公証人が遠方の当事者との間でオンライン会議を行う。
  (これは出張に代わるものになるかも知れません)
②オンライン会議で画面共有をしながら行う。
  {事前に本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)を提出し、面談時に画面
を通して人物照合の上、本人確認する}
③スクリーンショットで本人確認の証拠を残す。
④遺言の場合は遺言者から口授を受け、公証人が遺言書の内容を読み上げるが、修正が
あればその場で訂正する。
(Wordで作成し、PDFに変換してから画面共有で確認する)
⑤当事者の署名はタブレット又はPCの署名ソフトで署名する
➅ 署名後にPDFを再度ダウンロードして、公証人が電子署名する。
次に対面による公証の手順については従来と殆ど変わりませんが、原本は電子化するため、最後の署名はタブレットに公証人と一緒に署名することになります。
紙の正本や謄本は当事者の請求があれば作成して交付しますが、オンラインの場合は後日の郵送交付となる予定です。
また、5月6日付の新聞報道の通り、デジタル遺言の制度も創設されます。
この制度は法務省が年内に有識者で構成する研究会を立ち上げ令和6年(2024年3月)を目安
に遺言書をインターネット上で作成・保管できる制度の創設を調整するものです。
この遺言書デジタル化の背景には遺言書を残す手段で一番使われている自筆証書遺言に
問題があるのです。
自筆証書遺言は費用もかからず誰でも手軽に作成できますが、要件を満たさずに無効と
なるケースが多々あるためです。
将来、遺言のデジタル化によりインターネット上の書式に入力することで遺言書が作成
できれば書式の不備などによる無効を防ぐことに繋がりかつ法的効力のある遺言もより
簡便に作成することができます。
また、インターネット上で簡単に作成できるようになれば遺言書作成の期待値も高まる
ことは間違いありません。
遺言書デジタル化や公正証書オンライン化の法改正の情報は今後も適宜お伝えしていく
予定です。

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