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折本徹

入国管理局の在留資格申請手続きをサポートする行政書士

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コラム

日本で国際結婚する相手から「二重国籍なんだ」と言われた 他、メルマガ第224回、2023.10.1発行

2023年10月1日

テーマ:過去のメルマガ、85号から

コラムカテゴリ:法律関連

日本で国際結婚する相手から「二重国籍なんだ」と言われた 他
メルマガ第224回
2023.10.1発行
<2002年(平成14年)10月創刊>

やっと涼しくなりそうです。
東京都内では、過去の真夏日の記録を更新し例年よりも暑かったです。
インフルエンザの流行、コロナ感染者が増加傾向ありますし、
蚊などの昆虫も暑さで休んでいたみたいで、活発になりそうです。
感染予防は怠りなく、感染しないようお過ごししてください。

今年も、時期に関係なく(古くても)、新聞・雑誌・書籍に掲載された、
外国人にまつわる内容で、興味深い記事を紹介・簡単なコメントや、
このメルマガは、平成14年(2002年)の10月から発行しているので、
過去と現在は、どのように違ってきているのか、の視点で書きたい、
とも考えています。


・日本で国際結婚する相手から「二重国籍なんだ」と言われた
・紛争避難民の準難民認定、12月1日からの予定
・在日本インド大使館、日本の中小企業の進出支援へ
・シンガポール、低熟練労働者向け就労ビザの拡大


本題です。

日本で国際結婚する相手から「二重国籍なんだ」と言われた

日本で国際結婚する予定していて、その相手である外国人から、
「実は、二重国籍なんだ」と言われることってあるかもしれません。

日本は基本的に重国籍を容認していないのですが、
世界には重国籍を容認している国もあるので、
「そんなことはあり得ない」ということはないです。

でも、実際は、外国人が日本国内に中長期間住むうえで、
一つの国を申告して、在留許可を得ています。
相手はその国籍であることを伝えているでしょうから、
「一つの国籍が普通」と思っている日本人にとっては、
余計に「え!?」となることはあり得ます。

重国籍者に対して、どうするのか?との法律はあります。
2つ以上の国籍を持つ人は、日本人を含めて現実に生活していますから。

法の適用に関する通則法という法律があるのですが、第38条第1項に

(本国法)
第三十八条 当事者が二以上の国籍を有する場合には、
その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を、
その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは
当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする。
ただし、その国籍のうちのいずれかが日本の国籍であるときは、
日本法を当事者の本国法とする。

2 当事者の本国法によるべき場合において、
当事者が国籍を有しないときは、その常居所地法による。
ただし、第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)及び第三十二条の規定の適用については、
この限りでない。

3 当事者が地域により法を異にする国の国籍を有する場合には、
その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある地域の法)を当事者の本国法とする。

(注意 第2項は無国籍者、第3項は一つの国だけど地域によって法律が違う場合)

1項を読むと、
日本人の重国籍者については、日本の法律が適用される、ということになります。

日本人以外の外国人で重国籍者の場合ですが、
役所の窓口では、外国人から国籍について、一つの国のみが示されているとき、
その国籍であることに疑問が生じない限り、
その国の法律をその外国人の本国法として取り扱っているようです。
パスポートや在留カードを提示するので、それで認定するのだと思います。

それで、「疑問が生じる状態とは?」ですが、
2つ以上の異なる国の国籍を証明するような書類が提示されたような場合や
婚姻届に重国籍であるような記載がある場合のようです。
考えられるのは、
短期滞在ビザで入国して、2つの国のパスポートを示されたケース、
婚姻届に2つ以上の国籍を記載したケースなど。

そのときは、常居所を基準→密接関連性を基準、という順に判断するようです。

例えば、国籍国のうちの居住をしている国の居住証明書の提出を求め、
提出できれば、その国に常居所があり、その国籍を認める。

居住証明書がどの国籍国からも発行されない場合は、
密接関連性で判断することになりますが、
婚姻などの要件具備証明書を発行した国を、密接な関連のある国と認定するようです。

こういった証明書がない場合は、
国籍取得の経緯、国籍の居住状況、国籍国での親族居住状況、国籍国との行き来の状況などで判断しますが、
役所で決められない可能性があるので、地方法務局に調査依頼をするようです。

もし、2つ以上の国のから居住の証明書が提出された場合、
上記の手順で決めていくのではないか?と推測します。

在留カードの提示や入国時のパスポートの提示をすれば、国籍の認定はできるので、
このようなことが、実際に、頻繁に生じているのか?はわからないです。


ところで、話は変わりますが、
日本は前述のように重国籍を基本的に認めていませんが、
重国籍を認める国と認めていない国についての記事が日本経済新聞に掲載されていたので紹介します。

重国籍を認めている国でも、温度差と言うか、違いがあるようです。

完全に容認している国  米国、カナダ、フランス、イタリアなど93ヶ国
国内の外国人のみ容認  マレーシア、タイ、エジプト、南アフリカなど23ヶ国
国外の自国民のみ容認  ベトナム、イスラエル、モンゴル、ブルガリアなど32ヶ国
容認しない国  日本、中国、インド、サウジアラビア、シンガポールなど42ヶ国

意外というか、条件付きで重国籍を認めている国が50ヶ国超あることです。

よくわからないのが、
条件付きとして国内の外国人のみ容認するということは、
元々のBという国の外国籍者が、Aの国の国籍を得た後、
A国から出国し、もうA国に戻らない場合は、A国の国籍が取り消されてしまう、または使わせない、
ということなるのでしょうか?どうなのでしょう。

また、
国外の自国民のみ容認は、
元々のC国の自国籍者が、海外のD国で国籍を得て、C国に戻ってきて、
今後、そのD国には行かない場合は、C国の国籍だけで、D国籍者として認めない、
あるいは、どちらかの国籍の選択を迫られる、ということなのでしょうか。

元々の国の国籍(重国籍になる前の国籍)を優先させるは、
原則は、単一国籍で、便宜的に他の国の国籍を認める、
という考え方のような気がします。


「日本も重国籍を認めたら」と主張している人もいると思います。
上記のような考えもあるとなると、重国籍容認も色々なのだな、と興味深いです。 
重国籍を認めたとしても、
重国籍だと、当事者が日本国内において、法律行為などをするとき、
本国法を決める場面もあるので、
国籍を、時と場合に応じて、自在に使い分けることは、難しいかもしれませんね。


{その他の話題}
[外国人の暮らしの相談]
2023.10.1
紛争避難民を「準難民」認定するという法律ができていますが、12月1日に施行開始、
と閣議決定された、との報道がありました。
今までは、行政裁量で在留許可していましたが、今後はキチンとした形で認められるでしょう。
在留資格「定住者」が許可され、就労制限もないとのことです。
ただ、紛争避難民たちが、日本の空港や港まで来るのは大変じゃないかな、と思います。
飛行機でくるのでしょうから、その国の富裕層の人達かもしれません。
本で、ウクライナでは富裕層はオーストリア、一般の人はポーランドに避難と読んだことがあります。
そんなものなのでしょうか。


[外国人とビジネス・商売]
2023.10.1
1 在日本インド大使館が日本の中小企業のインド進出支援の記事が日経新聞に掲載されました。
大使館内に中小企業促進室を設け相談に応じる、というもので、
各国の大使館と比べ、このような試みは珍しいようです。
そして、インド進出の日系企業の目標を、3年後に現在の10倍となる15,000社としているとのこと。
インド側では、技術力のある製造業者に期待を寄せているようです。

人口増加や経済発展を見込まれるので、インドに関心を持っている日本の企業もあると思いますが、
そのような企業にとっては、相談窓口が増えるのであれば良いことでしょう。
関心を持っても、直接、問合せをするのはハードルが高いので、
本格的に始まったら、インド大使館のウェブサイトに相談例みたいなものを発信してもらえれば、
関心を持つ企業は、もっと増えるかもしれませんね。


2 シンガポールは低熟練労働者向け就労ビザの拡大、という記事が日経新聞に掲載されました。
シンガポールでは、マレーシア、中国(本土、香港、マカオ)、台湾、韓国に限られていた国、地域を
バングラデシュ、インド、ミャンマー、フィリピン、スリランカ、タイまで認めるようです。
仕事の内容は、ホテルの客室係とポーター、インド料理店の調理師、板金製造、金属成形・製造などが対象です。
どんな感じの待遇かはわかりませんが、
コロナ禍での外国人労働者の待遇が、シンガポールは悪かったみたいなので、改善したのでしょうね。
日本での在留資格だと「技能」「特定技能」の仕事に就く外国人になるのでしょうが、
仕事内容がかぶることが多そうなので、
このような仕事をしている人達は、日本・シンガポールを含めて、取り合いになる様相ですね。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回は12月にお届けする予定です。
ここ数年、1月を除いて毎月1回、届けていますが、
今年は偶数月(2,4,6,8,10,12月)にお届けする予定です。

このメルマガも、平成14年(2002年)の10月から発行していて、
何気に、21年目に入りましたので、今後も引き続きよろしくお願いします。

過去のメルマガが読めます(85号から)
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/?jid=1300156

このメルマガは、まぐまぐを利用して発行しています。
解除は 
http://www.mag2.com/m/0000097197.htm
よりできます。

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折本徹

入国管理局の在留資格申請手続きをサポートする行政書士

折本徹(折本 徹 行政書士事務所)

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