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コラム

外国籍の人の出生届けによる国籍取得

2013年5月23日 公開 / 2018年8月16日更新

テーマ:日本人の実子/外国人の実子/永住申請/日本国籍/認知/嫡出子/非嫡出子

コラムカテゴリ:法律関連

外国籍の人の出生届けによる国籍取得

日本人男性---------フィリピン女性
(夫婦の嫡出子として、フィリピンにて出生。日本側への届出せず)
    フィリピン女性C   
   1929年生・死亡
       
日本人男性とフィリピン女性の夫婦から、
フィリピンで生まれたフィリピン女性Cは、現在、死亡しているものの
日本国籍を得られるのか?

まず、進め方として
①出生当時の日本の国籍法を検討する
②国籍を得ている国の出生当時の国籍法を検討する
③出生届で済むか、就籍手続きをするか、帰化・国籍(再)取得なのか、国籍確認訴訟なのか
を検討する
です。

Cさんは、1929年生まれです。
当時は、旧国籍法が施行されていまして、
・勅令で指定した国(1924.12.1施行。1950.7.1廃止。
米国、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、ペルー、メキシコ
で生まれ、その国の国籍を取得した日本国民について、国籍留保を規定しています。
しかし、フィリピンは、指定された国ではないので、
国籍留保届を提出していなくても、日本国籍を喪失することはなく、出生届が受付されれば、日本国籍になります。
旧国籍法とS59.12.31までの改正前国籍法の施行中に出生した人が、
対象です。
(父系血統主義を採用しており、認知があれば、非嫡出子も含まれる、
と考えます。
尚、旧国籍法は、S25.7.1廃止。
又、改正前国籍法の施行中でも、生地主義を採用している国で出生した人を除きます。
尚、S60.1.1施行の現在の国籍法の下で、国籍留保届けをしないで、日本国籍を喪失した者は対象ではありません。

それは簡単!と言う話ではなく、有効な婚姻届が行われたか、どうか、です。
数年前の国籍確認訴訟後、フィリピン国内で、子どもが証言者になっての後付けの婚姻届が増えているそうで、法務局は、「そういう婚姻手続きは有効ではない」、との方針を打ち出しています。
しかし、フィリピンの役所から、そのものズバリの結婚証明書ではなくても、夫婦であることがわかる証明書が提出されれば、検討するそうです。
たぶん、フィリピン女性の夫としての滞在記録だとか、住所記録、なのでしょう。

日本人男性・フィリピン女性の夫婦が、
Cさんを出生する前に、有効な婚姻手続きをして出生(重婚での後婚の場合は、注意!!)。
日本側での手続きを知らずに、今日に至る場合は、
Cさんが死亡しても、Cさんの子ども達からの出生届けを提出することは可能。
提出された役所は、調査をした後、出生届け受付けの可否の決定をし、
「可」であれば、日本国籍者となります。
又、Cさんの子ども達も同様な可能性があり、出生届けが提出でき、
受け付けされれば、日本国籍になる可能性もあります。
子ども達については、出生届けの猶予期間があり、Cさんの出生届けが提出されたとき、
その調査期間中は猶予期間に含まれてしまいます。
経過する恐れがあるので、一緒に出生届けを提出した方が良い、と言うことになります。
一気に全員、日本国籍者になる、可能性もあります。
届出する役所は、Cさんの子どもの住所地の市町村役場戸籍課でも良い、
とのことです。

婚姻中の子ではなく認知の場合ですが、旧国籍法第1条で(ひらがなで書きます)
「子は出生の時其の父が日本人なるときは之を日本人とす・・・」
となっていて、「父」と言うのは、法律上の父で、父母は婚姻中が原則です。
日本には、出生当時の渉外事案に関する法律に、法例があり、認知について、
第8条に形式的要件の準拠法が規定されています。
第18条に実質的要件についての準拠法が規定されています。
(尚、昭和17年に「私生児」から「子の」に改正されており、平成元年にも改正されています)
認知の方式ですが「父又は母の本国法若しくは行為地法」によります。
実質的な要件ですが、当事者の本国法によって定めることとされています。
当時、この件であれば、フィリピンに認知に関して法律があり、定められたとおりに
行っていて、更に、法律上はその要件を備えている、と考えられるときは、認知が認められる可能性があり、結果として日本国籍を取得している、と考えられることがあります。

「否」の場合は、
・家庭裁判所へ就籍手続き
(本来、本籍を有すべき人が、これを有しない場合に、本籍を設けること。
日本国民であれば、無国籍者のみならず、本籍の有無が明らかではない人も、
認められること。
尚、申立人が死亡している場合でも、子孫が申立てをすることは可能。
しかし、裁判官が、「申立権者ではない」との理由で、申立てを却下する可能性が大、です)
それもできない場合は、
・国籍確認訴訟
となります。

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