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藪﨑秀實

不動産や相続の悩みに応える認知症対策と家族信託のプロ

藪﨑秀實(やぶさきひでみ) / 宅地建物取引士

株式会社 あいしん不動産

コラム

相続時精算課税制度とは?メリットとデメリット

2017年10月1日

テーマ:生前贈与

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 相続 手続き

贈与税の課税制度には暦年課税と相続時精算課税があります。

相続時精算課税制度を使えば、贈与税の税率は一律20%となり、加えて贈与額が累計2500万円までは非課税です。

贈与時に贈与税を仮に納め、その贈与者が亡くなった時に、贈与した分を相続財産に加算して相続税を計算し、納付した贈与税を控除する仕組みです。この制度はメリットとデメリットがありますので、活用に当たっては慎重な判断が必要です。

相続時精算課税制度の要件

相続時精算課税制度を利用するためには、一定の要件があります。受ける側、贈与する側が満たさなければいけない要件は次の通りです。

【受贈者の要件】
贈与者の子および孫で、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること。

【贈与者の要件】
贈与をした年の1月1日時点において60歳以上の父母または祖父母。

また制度の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに税務署へ本制度を選択する旨の届出が必要です。

相続税との関係

相続時精算課税制度で注意すべきは相続税とのからみです。

相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」となっており、最終的に、
相続時精算課税制度の適用を受けて受贈財産を持ち戻した相続財産が、この金額を下回れば、相続税はかかりません。

したがって、相続税がかからない人には使い勝手が良い制度ですが、相続税がかかる人は、課税を先送りするだけで、相続財産を減らす効果は望めません。

賃貸マンションなどの不動産を、相続時精算課税制度を使って贈与する場合、贈与後の家賃収入は子や孫のものになりますので、相続財産を減らす効果はあります。

また相続時精算課税を利用した贈与は、贈与時点の評価額を採用するため、資産が値上がりすると得をしますが、値下がりすると本来払うべき相続税よりも高い税金を支払うこととなります。

相続時精算課税制度のメリットとデメリット

以上のことから、相続時精算課税制度のメリットとデメリットを整理してみると次の通りになります。

メリット
・相続税がかからない人には節税効果がある
・財産の早期移転ができる
・収益物件の贈与は節税効果がある
・将来値上がりする物件の贈与は節税効果がある

デメリット
・資産家には使いづらい
・一度選択すると暦年課税に戻ることができない
・贈与された物件が値下がりすると損をする

相続税のかかる人がこの制度を利用する場合は慎重に判断しなければいけません。必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。

この記事を書いたプロ

藪﨑秀實

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藪﨑秀實(株式会社 あいしん不動産)

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