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薮崎秀實

不動産や相続の悩みに応える認知症対策と家族信託のプロ

薮崎秀實(やぶさきひでみ) / 宅地建物取引士

株式会社 あいしん不動産

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コラム

相続税の節税に効果的なのは不動産?現金?

2020年2月11日

テーマ:不動産相続

コラムカテゴリ:住宅・建物

財産を相続する際、現金などのほか不動産を相続することができます。同じ1億円を現金で相続するより、不動産として相続する方が相続税評価額は低くなります。そのため、相続税の負担が軽くなります。今回は、相続税の節税について考えてみましょう。

節税に効果的な不動産

相続税の節税対策として、不動産が効果的であることは多くの人がご存じのことでしょう。

しかし、例えば1億円を現金で相続する場合と1億円の不動産を相続する場合では、なぜ不動産で相続したほうが相続税の節税に効果があるのでしょう?

まず基本的なところを確認してみましょう。 

その理由は「相続税評価額」にあります。つまり、現金1億円の相続税評価額はそのまま1億円になりますが、時価1億円の不動産の相続税評価額は、そのまま1億円と評価されないということです。

不動産の場合は、土地と建物それぞれの評価額を算出して相続税評価額を決めます。そして、不動産は一般的に時価(取引価格)よりも相続税評価額が低くなります。

このため、価値としては同じ「1億円」であっても、現金での相続より、不動産での相続のほうが相続税の負担が軽くなる、つまり、節税になるということです。

現金と不動産の相続税を比較してみると

現金での相続にも、相続税の基礎控除額が定められています。

基礎控除額は「3,000万円+(600万円×相続人の数)」の計算式で求められます。
仮に、現金1億円を相続人2人が相続するとして計算してみると、この場合の基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円)になります。

すると、相続税評価額は「現金1億円-基礎控除額4,200万円=5,800万円」となり、相続人の2人が1/2ずつ相続した場合、1人あたりの法定相続分金額は2,900万円になります。

法定相続分金額が1000万円~3000万円の場合、相続税は税率15%、基礎控除50万円と定められていますから、相続人1人の相続税は「(2,900万円×税率15%)-基礎控除50万円=385万円」になります。相続人2人分の相続税は770万円です。

では、不動産(宅地)を1億円で買って、その不動産(宅地)を相続させた場合と比較してみましょう。

相続不動産の評価額の算出方法はさまざまありますが、宅地の場合、路線価による評価額が適用されます。そして、路線価は一般的に時価の80%で評価されます。
すると、この場合「不動産(宅地)1億円×80%=8,000万円」。相続した不動産の評価額8,000万円となります。

この評価額8,000万円を上の相続税額の計算式に順次あてはめると、
・基礎控除額は「3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円」
・相続税評価額は「不動産評価額8,000万円-基礎控除額4,200万円=3,800万円」
・相続人1人あたりの法定相続分金額は「3,800万円×1/2=1,900万円」
・1人あたりの相続税は「(1,900万円×税率15%)-基礎控除50万円=235万円」
・相続人2人分の相続税は「235万円×2=470万円」

現金で相続した場合と比較すると「770万円-470万円=300万円」で、300万円節税できるということになります。

評価額をさらに下げるには

また、不動産でも家を買って人に貸す、土地を買って人に貸すなど不動産の利用の仕方によって不動産は評価額がさらに下がります。

この場合、相続人がその不動産を相続したとしても、相続人がその不動産を自由にできないため、相続時に借地権評価額・借家権評価額を引いて評価額にすることになるからです。

例えば建物を貸していた場合、借家権は一律30%という決まりがありますから、その建物が自用だった場合の相続税評価額(固定資産評価額)より、さらに30%評価額が下がることになります。

土地を貸していた場合には、その土地が自用だった場合の相続税評価額(路線価)から、土地ごとに国税局が定めている借地権割合を引いて評価額にします(最大で20~45%減額されます)。

いずれも評価額が下がるわけですから、相続税も下がり負担が少なくなるわけです。

相続税対策として、アパートやマンションの建設が注目されているのも、土地の評価額が路線価よりも低い評価額(一般的に60%~70%)になるからです。

メリットばかりではなくリスクも

以上、現金ではなく不動産を相続する際の節税効果について見てきましたが、ただ、不動産の取得にはコストもかかりますし、取得後の運用もうまくいくとは限りません。

仮に相続税の節税対策としてアパートやマンションに投資したとしても、居住希望者が少なく空室が多くなるというリスクがあります。現金での相続の方が結果的に得になることもあり得ます。また、そもそも基礎控除分や配偶者控除などで非課税にできる場合、無理に不動産による相続税対策を考える必要はありません。

また、不動産は遺産分割が難しいですし、共有すると相続人同士の争いの元となるケースも少なくありません。不動産での相続税の節税については専門家にアドバイスを求めることをおすすめします。

この記事を書いたプロ

薮崎秀實

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薮崎秀實(株式会社 あいしん不動産)

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