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藪﨑秀實

不動産や相続の悩みに応える認知症対策と家族信託のプロ

藪﨑秀實(やぶさきひでみ) / 宅地建物取引士

株式会社 あいしん不動産

コラム

不動産を生前贈与した場合の遺留分について

2017年9月7日

テーマ:生前贈与

コラムカテゴリ:住宅・建物

相続人には遺留分という権利があります。遺留分は法律上、保障されていますので、生前贈与や遺言でもこの権利を侵害することはできません。

一方、生前贈与は、親の意思で財産を分け与えるという意味合いがあります。とはいえ不動産の生前贈与についても、遺留分は発生しますので、そのことを理解したうえで、贈与を行うことが大切です。

遺留分、遺留分減殺請求とは

財産は基本的には所有者のものなので、どのように分けるかは本人の自由のはずです。

しかし、「全財産を長男に」というような遺言を残されると、ほかの家族の生活が成り立たなくなることもあります。そのようなことを防ぐためにも、民法は、配偶者、子、親について、一定の財産を受け取る権利を定めています。

これを遺留分といいます。

ちなみに兄弟姉妹には認められていません。その割合は配偶者や子どもが法定相続人の場合は法定相続分の二分の一、法定相続人が親だけの場合は法定相続分の三分の一となります。

もらえる財産が遺留分よりも少ない場合、贈与を受けた相続人から、遺留分を取り戻すことを「遺留分の減殺請求」といいます。
これには期限があり、1年以内に行わないと、時効によって権利が消滅してしまいます。

遺留分の対象となる財産

遺留分の対象となるのは、死亡の時の相続財産だけでなく、1年以内に贈与された財産も対象になります。法定相続人以外への贈与であっても対象となります。

また、相続開始から1年を超える場合であっても、与える側、受ける側がともに遺留分を侵害することを承知の上で行われた贈与の場合、遺留分の請求が可能です。

不動産の生前贈与と特別受益の持ち戻し

亡くなった人が特に相続について遺言をしていない場合、法定相続にしたがって公平に財産が分けられることとなります。しかし、特定の人が特別受益を受けて、すでに多くをもらっている場合は、これを考慮しないで相続財産を分配すると不公平になります。

したがって、その人の相続分を減らすことによって、最終的に、ほかの相続人とのバランスがとれるような処理を行います。

特別受益というのは「結婚・養子縁組のための生前贈与」「生計の資本とするための生前贈与」「遺贈」以上の3つです。

たとえば、生前贈与で不動産をもらったような場合も、特別受益に当たる場合は、その分を考慮したうえで、相続財産を算定する「特別受益の持ち戻し」という制度が適用されます。そうすることで、生前贈与を受けた人と受けなかった人の格差を是正します。

本来、生前贈与は、相続発生前に財産を贈与することで、相続争いを回避する役目も担っているものです。遺留分や持ち戻しには十分注意して行うことをお勧めします。

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