コラム
お茶、お水を備える【仏具のうんちく】
2015年9月1日
仏様もお茶を飲む?
お水やお茶は、茶湯器と呼ばれる仏具にいれてお供えしますが、ご飯とともに朝夕の食事の時間にお供えするのが理想です。
夕方が難しければ朝にお供えするのが理想ですが、これは、修業中の身のお坊さんは修業の一環として午前中の1回しか食事をできません。午前中にお供えするというのはこれにならったものです。
茶湯器の数は基本的には1つだけ用意されているご家庭が多いと思いますが、ご本尊とご先祖様にそれぞれという考え方から2つ用意されているご家庭もあるようです。
また、ご先祖様の数が1名だけでなく複数いらっしゃれば、できればその数だけ用意するのが理想でしょう。
ところで、最近の朝食事情はご飯食ではなくパン食のスタイルのご家庭も多いはず。
その場合には飲み物もお茶ではなくコーヒーや紅茶である場合がほとんどで、故人もコーヒーなどを好んで飲んでいたということは多いのではないでしょうか。
最近ではそれに合わせてコーヒーなどをお供えする方も少なくないようです。
浄土真宗での考え方
ところで、このお水やお茶をお供えするという行為は宗派によっての違いはあるのでしょうか?
例えば浄土真宗では、お水やお茶をお供えする必要はありません。
なぜなら、浄土真宗のお経には「お浄土には七宝の池があり、八つの功徳で浄化された水がこんこんと湧き出ている」とあります。
八つの功徳で浄化された水、つまり八功徳水とは、一つは綺麗、二つに無臭、三つに軽やか、四つに冷ややか、五つに軟らか、六つに美味しく、七つに飲みやすく、八つに安心して飲める水だとされています。
浄土真宗における仏壇とは、ご先祖様が仏様となって参られたお浄土の世界をお経に基づいて現したものであり、そこには飢えも渇きもあり得ないとされています。
つまり私たちが「のどが渇いているかな?」と心配する必要はないのです。
代わりに浄土真宗では、華瓶という仏具を使った作法があります。
これについてはまた別の機会に解説します。
曹洞宗の茶湯器の飾り方
例えば曹洞宗であれば、きちっと洗面を済ませ、朝食前にご飯とともにお水とお茶をお供えします。
茶湯器が1つの場合には仏飯器が右横になるようにおいてください。茶湯器が2つの場合には仏飯器の右にお水、左にお茶をお供えします。
丁寧な場合には3つ備えるとされていますが、基本的には1つか2つで十分でしょう。
ところで、お仏壇には茶湯器がないご家庭でもコップや湯飲みを使ってお水やお茶をお供えしているご家庭は少なくありません。
ご先祖様を想い「のどが乾いてないかな?」「朝だからお茶でもあげようか」という考えでお供えしている方がほとんどではないでしょうか。
そのようにご先祖様を思う気持ちが何よりも大切です。
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