コラム
「享年」と「行年」
2016年10月8日
位牌の「享年」と「行年」
お通夜や葬儀にあたって故人を紹介するときやご家庭にあるお位牌、過去帳などに用いられる「享年(きょうねん)」と「行年(ぎょうねん)」について、どう使い分けられているかご存知でしょうか?
辞書で調べてみたところ・・・
「享年」・・・天から享けた年の意。この世に生存していた年数。死んだときの年齢。行年に同じ。
「行年」・・・これまで生きてきた年数。享年に同じ。
と、されています。つまり「享年」と「行年」は同意語なのです。
ただ、本来は「享年」は何年生きてきたかという期間を表すので、“歳(才)”を付けないのですが、享年〇〇歳(才)と書かれる例も多くみられます。
「享年」「行年」は宗旨宗派、お寺様の考え方によって異なりますのでそのお寺様の解釈による「享年」や「行年」が正しいという事になりますので、黒塗りの本位牌を作るときにはそのままお彫り(お書き)いたしております。
数え年の年齢
「享年」と「行年」は同意語であるということですが、その数え方も実は、地域の習わし、宗旨宗派。お寺様によっても異なりますが、私の住む、島根県松江市では数え年で表されているのが一般的です。
現在は法的には満年齢を用いることとされていますが、それ以前は数え年が使われていました。
数え年は、生まれた時を1歳、お正月(1月1日)が来ると1つ足して2歳と数えます。満年齢を基準にすると、その年の誕生日前なら満年齢+2歳、誕生日後なら+1歳が数え年です。
なお。お母さんの胎内に生を受けた瞬間から生まれるまでを1年とし生まれた時を1歳、お正月来ると2歳と数えるから数え年と同じと説明をされる方もおられます。
平成15年3月10日生まれの方が平成28年6月10日に亡くなられた場合は、満年齢で76歳ですから1歳足して「享年77(歳)」または「行年77歳」となります。
回忌法要は数え年か?
そもそも日本には期間などを計算するときに“0”という概念が無かったので色々と誤解を生じています。
前述したように、「数え年」は生まれた日を0歳でなく1歳、次の年の元日に2歳と数えます。 「妊娠月数」は受精してから最初4週を妊娠0ケ月でなく妊娠1カ月と数えます。
「初七日」や「四十九日」は亡くなられた日を1日目と数え、最初の7日目が「初七日」で、49日目が「四十九日」です。7日後や49日後ではないのです。
回忌法要の数え方と享年や行年の数え方を混同されている方がおられますが、回忌法要は亡くなられた日(命日)の枕経・通夜・葬儀を故人がとりもつ仏縁により仏法(お釈迦さま)をお聞きする(仏法に接する)1回目の機会と数え、以降は祥月命日ごとに1年を加えて計算します。
数え年計算で行うのではなく没年月日(命日)を1として、1年後の祥月命日を2、2年後の祥月命日を3と数えて「三回忌」となるのです。
ただし、1年後の祥月命日を「二回忌」といわず「一周忌」というのは、偶数表記を好まなかったのと亡くなられて1年を迎えられたという意味で「1周忌」と表現します。
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