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西村隆志

中小企業の立場にたった債権回収の専門家

西村隆志(にしむらたかし) / 弁護士

西村隆志法律事務所

コラム

人事・労務の法律相談

2012年5月2日 公開 / 2020年1月21日更新

テーマ:人事・労務

コラムカテゴリ:法律関連

 従業員を大切にし、育てることは、企業の成功につながるといっても過言ではありません。
 労務管理は、全ての従業員との間で影響を及ぼすものですので、労務管理を重要視せずにいると、会社全体のモラルに影響を及ぼすことにもなりかねません。
 つまり、労務管理は、「持続可能な企業経営の要」といえますので、お客様の会社が法律に従った労務管理がなされているのか、今一度再確認されることが望ましいと考えます。

<労働審判について>

 労働審判とは、個別労働関係に関する事件について、労働審判員委員会(裁判官1名と労使の専門家2名の3名で構成されます。)が、原則3回以内の期日で、調停や審判を行うという制度です。
 原則として、第1回労働審判期日は、申立てがされた日から40日以内の日に指定されます。
 原則として、第1回労働審判期日前の答弁書提出期限までに、主張を尽くした答弁書と全ての証拠を提出する必要があります。関係者の陳述書(関係者の言い分をまとめた、その人の署名捺印がある書面)も期限までに提出する必要があります。
 このように、労働審判が短期間で多くの準備をしなければならない手続でありますので、労働者から労働審判を申し立てられた場合、すぐに弁護士に相談されることをおすすめします。
 主張・争点の整理を行い、関係者から話を聞き、調停が行われます。調停が成立しなければ、審判が下されます。
 審判に対し適法な異議申立てがなければ、審判は裁判上の和解と同一の効力を有することになり、強制執行等が行われることになります。
 当事者は、審判書の送達又は審判の告知を受けた日から2週間以内に、裁判所に対し、下された労働審判に対する異議の申立てをすることができます。
適法な異議申立てがあると、審判の効力は失われ、審判申立の時に地方裁判所に訴え提起があったものとみなされ、通常の訴訟に移行することになります。

<労働者から訴えられる訴訟として多くあるもの>

 労働者から訴えられる訴訟として多くあるのは次のようなものです。
 解雇通知を受けた労働者が、解雇が無効であるとして雇用契約上の地位の確認を求める訴えです。
 このような場合、労働者は、併せて未払賃金の支払いの請求をすることが多いです。
 近時、時間外労働や休日労働による割増賃金が未払いであるとして請求する訴えが増えてきています。
 法律によれば、使用者は、休憩時間を除き、1日について8時間を超えて、1週間について40時間を超えて、労働者に労働させてはならないと規定されています。
 この法律で定められた労働時間を法定労働時間といいます。
 商業、飲食店など一定の事業について、常時10人未満の労働者を使用する場合に、1週間について44時間まで労働させることができる場合があります。
 また、「36協定」により、労働時間の延長や休日労働が認められる場合があります。
 法定労働時間を超える労働をいいます。
 時間外労働があった時間については、通常の労働時間における賃金の計算額の2割5分以上5割以下の割合の割増賃金を支払わなければなりません。
 解雇は、使用者から一方的に労働関係の解消を通告するものですので、解雇されると従業員は収入がなくなり、その生活に大きな影響を与えます。
 それゆえに、法律は、解雇について、従業員の生活を守るという視点から、有効となる場合を限定的に考えており、難しい問題を孕んでおりますので、解雇を行うに当たっては弁護士に相談されることをお勧め致します。

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