運動連鎖のそもそも論

運動連鎖って何？それって食べれるの？

食べられません。

運動連鎖（うんどうれんさ）とは、スポーツや運動において、複数の運動や動作が連続的に行われることを指します。一つの運動が終わった後、次の運動がスムーズに続くことで、連続した動作の流れが生まれます。

特にコンディショニングやトレーニングの分野で重要視され、体の各部位や筋肉群が連動して協力し、効率的な動きを実現するために、運動連鎖のトレーニングが行われます。
運動連鎖は、身体のバランスや柔軟性、筋力、協調性などを向上させる効果があります。また、スポーツ障害予防にも役立ちます。

例えば、どんな動作がある？

例）スイングの運動連鎖
ゴルフやテニスなどのスポーツで見られるスイングも、複数の関節、筋肉、骨の連携によって成り立っています。例えば、ゴルフのスイングでは、スイングの開始から終了までの一連の動作が連鎖的に行われます。スイングの運動連鎖では、肩関節、腰椎、股関節、膝関節などが順次動き、腕やクラブの振り、体の回転、腰の推進などが連動して行われます。このような連鎖的な動作によって、スイングの威力や正確性が向上します。

もし運動連鎖がないと、どうなるの？

同じ運動パターンを行えないので再現性は生まれず、舞踊やスポーツなどは絶対にできません。
もし運動連鎖が無いと、
1.動作が不安定になります。
運動連鎖が関節や筋肉を協調して制御していますので、運動連鎖がないと関節が不安定になりバランスを失い易くケガのリスクが高まります。
2.筋肉の不均衡。
一部の筋肉が過剰に働いたり、さぼって働かなくなります。筋肉のバランスが崩れると姿勢や動作の制御に問題が生じる可能性が高くなります。
3.エネルギー効率の低下。
連鎖の欠如はエネルギーの浪費や不要な筋肉の緊張を生じますので、疲労しやすく、運動能力が低下します。

運動連鎖は全くない生き物っているの？

動物である以上、運動連鎖は脊椎動物や無脊椎動物にとっても、環境に適応し、移動や捕食、逃避、繁殖などの基本的な活動をおこなうために重要です。運動連鎖が簡素化されている生物や特殊な運動機構を持つ生物は存在しますが、完全に運動連鎖がない生物はあまりいないようです。

じゃあタコは？

運動連鎖の定義にもよると思いますが、連鎖のない生物の一つだと考えられます。タコは中枢神経系による複雑な運動制御メカニズムを持っているとは言えません。タコの運動制御は、各腕に分散しています。各腕は神経系の一部を持ち、相互に連携して動作しますが、中枢神経系による集中的な制御や運動連鎖のようなメカニズムは存在しません。
例えば、タコが水中を移動する際には、各腕を波のように動かして推進力を生み出します。この際、複数の腕が連動して波を作り出すこともありますが、それは協調的な運動ではなく、個別の腕の動きが相互に影響しあう形で行われます。

タコは外部の刺激や環境に応じて即座に変化することで、ランダムに動きます。それがタコにとっての重要な生存戦略となっています。

ではタコはタコ踊りできないの？

運動連鎖という観点では、タコが舞踊することはできないでしょう。運動パターンの全くない動きはダンス、舞踊とはいえません。運動連鎖、動作パターンがないので「即興のダンス」とも違います。
逆にヒトが厳密な意味での「タコ踊り」を行うこともできません。
ヒトは中枢神経からの運動パターンの影響を受けないで動作しつづけることは、通常は困難といえます（一部の疾患を除く）。どんなにランダムに動こうとしてもパターンが必ず生まれるでしょう。

タコのことはわかりました。

では、私ができる運動連鎖を使った体操はある？

歩きましょう！

歩行とは、ヒトの発達過程にそった無理のない自然な動きです。直立二足歩行は、ハイパフォーマンスから障害予防までの動きの基礎といえます。
仮に、歩行においてさえ、運動連鎖ができず身体の一部ばかりが動いたり、負担が一極集中するようでは、ハイパフォーマンスで動くのは難しいといえますし、身体の不調の原因ともなってきます。
ヒトの歩行動作は高度な脊椎運動の結晶ともいえます。肩甲骨と骨盤はエネルギーの増幅装置としての役割をにない、地面からの反力を大きな推進力に変えます。

最後に私から質問です。昨日は何歩歩きましたか？

・・・・・・笑顔。