コラム
離婚時の年金分割について
2016年10月10日
離婚時の年金分割について
サラリーマンの夫(国民年金の第2号被保険者)と専業主婦(国民年金の第3号被保険者)が離婚した場合、
以前は妻が受け取る老齢の年金は、妻自身の老齢基礎年金のみでした。
老齢基礎年金は、満額でも月額64,400円(年間;64,400円/月×12か月=772,800円)と、第3号被保険者しかない妻は、かなり低額です。 更に、離婚後に夫が死亡しても、元妻は遺族年金を一切、受け取れません。
離婚のうち、妻が45歳以上のケースは20%を超え、妻の老後の生活保障の制度の整備が必要になりました。
そこで、「合意分割」と「3号分割」と言う制度が設けられました。
いずれの制度も、婚姻期間中に負担した厚生年金の保険料は夫婦が共同して負担していたと見なし(擬制し)、
離婚時等に婚姻期間中の厚生年金を分割して支給するという制度内容になっております。
「合意分割」は、分割の場合(按分分割という)を夫婦間の合意で決定致します。
按分割合は、婚姻期間中の夫婦の厚生年金の加入記録を合計し、最大その2分の1までとなります。
また、合意がまとまらない場合は、裁判所が按分割合を決定致します。
一方の「3号分割」は、平成20年4月以降の第3号被保険者期間について、離婚時等に、第3号被保険者の申請により、その配偶者(夫)の厚生年金の加入記録の2分の1が、強制的に分割される制度です。
年金分割が実施された場合の厚生年金の加入記録が以下4点のように実施されます。
①平成20年3月以前の婚姻期間については、当事者間の合意等によって按分割合を決定します。
②平成20年4月以降の第3号被保険者期間については、年金事務所に申請すれば自動的に2分の1で分割
されます。
尚、第3号以外の期間については、夫婦間の合意や裁判所の決定が有れば、分割できます。
③婚姻期間以外の記録は配偶者自身のもので、その記録に関しては分割の対象とはされません。
④老齢基礎年金については、分割が一切されず、夫婦それぞれが自身の加入期間に基づいた老齢基礎年金を受給します。即ち、老齢厚生年金のみが分割の対象になると言うことです。
但し、分割は、老齢厚生年金の年金額そのものを分割するのではなく、厚生年金の対象期間の各月の標準報酬月額及び標準賞与額を、再評価率を用いて現在の価値に置き換えた額の総額(=標準報酬総額)を、定められた割合に基づき分割されます。
行政書士業務では、離婚協議書の作成が業務になっておりますが、離婚時の年金分割の相談は、社労士業務と
なります。
離婚協議書の作成から、更には、業務提携している社労士と協力し、離婚時の年金分割の相談にも対応致します。
お気軽に御相談下さい。
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