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コラム
食品業界従業員の教育・訓練の仕組み化を考える(3)
2023年7月13日
指導する力・伝える力
教育・訓練の力量評価で、教えることができるという力量を上げています。これは一番効果がある能力だと思います。他の人に技術や手段を伝えるためには、最低でもその事象について理解しておく必要があり、さらに細かく説明することが求められるからです。系統立てて理解していないと伝えることが難しくなります。教える技術も必要になります。また、それを支える教材や手順書を準備しておく必要があります。これらの手順書も社員自らが作成するのも効果的な教育になります。お仕着せの手順書や、教材よりはるかに理解が深まると思います。
一つひとつのプロセスを言語化し、記録をすること。手順書に関しては、最近の機材を使い、写真や動画で記録した方がわかりやすいかもしれません。
再教育・再訓練
ベテラン社員と呼ばれる域の社員の中には、教育・訓練となると、斜に構える、講習会の最後列に陣取り、時に若い講師が壇上に立つとお手並み拝見とばかりに抵抗勢力となっていませんか。2021年の食品衛生法改正でHACCPが制度化され、仕組みが大きく変わったはずです。それらの最新情報は全社員に伝えられ、工場そのものの仕組みも変える必要があるという認識を持つ必要があったはずです。そういうことは気にせず、この道数十年の実績で、これからも事故はないと言い切る姿が想像できます。ベテラン社員がすべてとは書きませんが、そういう社員がいると今後はまずい状況になるかもしれません。
この点も含めて、従業員全員の能力は経時的に検証され、見直される必要があります。法律の改正や、仕組みの組換え、機械の更新などのタイミングはもちろん、定期的に講習会を開き情報のアップデートが必要です。
デジタル化・最新の仕組み
コロナウィルスの感染拡大によって、教育の現場は大きく変わりました。大学等の授業でもオンライン化か進み、在宅学習が一気に進みました。大教室での教授の講義というスタイルが激減したのです。そこで現れたのがデジタルコンテンツによる教育です。突然に始まった仕組みに、大学の教授陣も頭を抱え、従来の大講義室での講義をそのままビデオで撮影し、ただただ流すだけという対応をした教授陣と、スライドや動画を駆使して伝えることを工夫した教授陣に分かれた感があります。それらの急進作られた仕組みもコロナの収束に沿って縮小、従来の授業形態に戻っていきそうです。
この状況は食品工業の業界、衛生教育の業界でも同様で、教材のデジタル化、e-ラーニング化か進んで来たといえそうです。
デジタルネイティブの世代が増え、各自がタブレットやスマホを持ち、通信環境も、4G、5Gと高速化している状況です。デジタル化された情報がストレスなく視聴でき、双方向で情報交換ができるようになりました。仕組みはできる環境になっています。あとはどう活用するかということでしょう。
経営者の取り組み
従業員教育・訓練の必要性、手段について書いてきました。各種規格の要求事項でも、教育訓練の実施と、行った記録を求めています。
自社で作成しなくても、外部教育機関の教材を導入しても良いと思います。従来では、集合研修となれば、最低でも3日間の出張が必要であったりしましたが、e-ラーニングの普及で講習日程は大幅に短縮されてきました。
食品衛生に関する、経営者、社員自らの組織においての役割、任務を理解し遵守することが重要です。その徹底的な教育とトレーニングのために十分な時間を提供しなければなりません。
従業員研修としての集合学習となると、工場を止めたり、従業員の休憩時間を調整したりといった計画的な活動が必要でした。
現在のデジタルコンテンツを使ったものであれば、集合学習といった時間の制約は外すことができるかもしれません。それでも、e-ラーニングを受講している時間に関しては給与支払いの対象時間とする、もしくは会社内にパソコンを準備し、勤務時間中に受講するといった配慮が必要かもしれません。従業員の講習に対しての意識も上がりますし、法的にグレーな部分もあります。正式には、会社の業務として指示監督がある場合や、講習の受講が力量評価の対象となる場合も有給となるようです。
いずれにせよ強い組織にしていくという点で、計画的な教育の仕組みの構築は必要だといえます。従業員にも、ともに強い組織にしようと伝えて参加を促しましょう。
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