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井川卓

司法書士と行政書士の二つの資格を生かした相続問題解決のプロ

井川卓(いかわたかし) / 司法書士

司法書士・行政書士 アワーズ事務所

コラム

土地、建物に関する権利関係(不動産の基礎知識3)

2017年8月11日

テーマ:不動産の基礎知識

コラムカテゴリ:法律関連

不動産の権利関係

不動産の利用は、自分が所有している物件を自分で使用する場合と、他人の所有する物件を借りる貸借の2つに分かれます。
利用の形態に応じて不動産の権利関係は、所有権、地上権、賃借権、使用貸借権、借家権などがあります。

土地に関する権利

土地に関する権利の主なものは、所有権と借地権です。
⑴所有権
所有権には、一戸建ての敷地を1人で所有しているようなケースと、分譲マンションの敷地のように複数の人で共有しているケースがあります。
所有権は、公共の福祉を実現するために法令の制限を受けます。
一方、その制限内で自由に使用し、収益し、処分することができます。
土地の所有権は、その上下(空中および地下)に及びます。
⑵借地権
借地権とは、建物の所有を目的として土地を借りる権利です。
借地権には、地上権と土地賃借権があり、これらを保護するために借地借家法(平成4年8月1日施行)や旧・借地法(大正10年制定)が設けられています。
また、縮地借家法の制定の際に、約定期間の満了をもって確定的に借地関係が終了する定期借地権制度が新設されました。
使用貸借権は、地代や賃借料などの対価を払わずに土地を利用する権利をいいます。
一般的には、親子間などで結ばれることが多く、使用貸借権は借地借家法の適用を受けません。

建物に関する権利

建物に関する権利は、所有権と借家権があります。
⑴所有権
建物の所有権には一戸建てや賃貸マンション1棟などの所有権と、分譲マンションの1室のような区分所有権があります。
⑵借家権
一時使用を目的とした賃借権以外の建物賃借権は、借家権として借地借家法の適用を受けます。

共有(準共有)

1つの土地あるいは建物を2人以上が共同で所有することを「共有」といいます。
共有者の所有権は、共有物に対して分量的に制限された権利であり、その分量的な割合を「持分」といいます。
共有者は、自分の持分を自由に処分することができ、いつでも共有物の分割を請求することができます。
①保存行為
共有物の現状を維持する行為が保存行為です。
保存行為は、各共有者が単独ですることができます。
②管理行為
共有物を使用、利用、改良する行為が管理行為です。
管理行為を行うには、持分の過半数の同意が必要となります。
③変更行為
土地の造成、建物の建築など共有物に物理的変更を加える行為や、売買などこれを処分する行為が変更行為です。
変更行為を行うには、共有者全員の同意が必要となります。

借地権などの所有権以外の権利を2人以上が共同で持つことを「準共有」といいます。
各人の権利は、その持分によって分量的な制限を受け、共有のときと同様の制約を受けることになります。

この記事を書いたプロ

井川卓

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