温泉入浴指導員・早川の冬場の入浴方法②・自律神経にも関係が!?~山梨 漢方 沢田屋薬局~
【肝(きも)が座っていますか?】
前回より春に起こる様々な不調
『春バテ』
その対策と『春』と繋がり深い五臓の一つ
『肝』
についてお届けしております。
五臓について、肝の基本的な働きについては前回のコラムをぜひご覧ください。
肝は中医学では古来より
『決断の腑』
と言われてきました。
『肝っ玉』
という言葉や
『あいつは肝が座っている』
なんて言葉があるように昔から
『肝』
という場所と気分、情緒というものは大きな繋がりがあると言われておりました。
また、肝は
『血を蔵する』
とご紹介しました。
料理する前のレバーを見たことがある方ならよく分かると思いますが、臓器としての肝臓も血液を溜め込む貯蔵庫のようなものです。
肝が弱り、この血液貯蔵庫の働きが低下してしまうと、血液の流れが悪くなり様々な不調が起きたり
漢方では心臓含めた
『心(しん)』
に血がしっかり行かないと
『心(こころ)』
も力不足なりメンタル不調が起こると考えます。
また、五臓のバランスが取れていないと、肝の働きが活発になる春になり肝の力を抑えきれなくなり暴走してしまい、肝がコントロールすべき『怒り』の感情が抑えきれなくなり、暴れだし必要以上にイライラしたり
涙のコントロールが上手くできなくなりちょっとした刺激でも涙が出てしまう、涙もろい状態になってしまうのです。
春は肝の力が低下している人も調子を崩してしまうし
ストレスフルでそれをはねのけようと肝が頑張りすぎて暴走してしまうことで不調が起こる人もいるのです。
当然ですが、機能が低下して不調が起きている人は補う養生を中心に行い
暴走しているような方は力をコントロール出来るように抑えてあげたり、緩めてあげることが大切です。
さて、それではなぜ春に目が疲れやすいのか?
情緒が不安定になるか?
を中医学的に、そしてカラダの仕組み、生理学的にももう少し詳しく見てみましょう。
【春は自律神経が乱れやすい】
春はもともと5月病があったりするぐらい昔から
『春は情緒がおかしくなりやすい』
と言われています。
その理由はなんと言っても春が自律神経の乱れやすい季節だからです。
ではなぜ春は自律神経が乱れやすいのでしょうか?
その理由の一つは・・・・
寒暖差・気温変化が激しい時期
だからだと考えます。
僕らのカラダには体温調節中枢という機能がついており
『暑い』『寒い』
という温度変化をカラダで感じてそれに適した状態になるようにカラダをコントロールをしています。
春特有の三寒四温、気候の変動が激しく温かい日と寒い日の落差や、1日の中でもポカポカ陽気の日中と、冬のような朝晩の落差などが激しく、体温をコントロールする自律神経にとっては非常に負荷が大きく乱れが出やすい時期だと言えます。
2つ目の理由は・・・・
気圧の変化が激しいこと
です。
2つ目の理由はさきほどの激しい気温変化とも関係がありますが気圧の変化が激しいことです。
春の嵐、春一番、など春は天候が乱れやすいことでも有名です。
雨が降ったり晴れたりと高気圧と低気圧が入り混じり気圧変化が非常に激しい時期なので、気温と同様に気候にあった体調にコントロールをしてくれている自律神経が急激な気候変化、気圧変化で乱れやすくなってしまいます。
『気圧で自律神経が変化?なぜ?』
と思う方もいるでしょう。
その理由は晴れの天気を作ってくれる高気圧の時は動物は
『餌取り行動』
と言ってカラダを活動的にしてくれる交感神経が優位になります。
逆に雨の時の低気圧は
『雨が降っているからゆっくりカラダを休ませよう』
とのんびりモードにしてくれる副交感神経が優位になります。
これが気圧の変動とともに入れ代わり立ち代わり変化することで自律神経には大きな負荷となります。
【自律神経の弱りからメンタルも目の不調にもつながる】
感情もコントロールしている自律神経が乱れたら情緒が不安定になるのも仕方ないことです。
また、何より血管の拡張と収縮も自律神経が行っていますから目の働きにも自律神経の乱れは大きな影響を及ぼします。
目は毛様体などの筋肉でしっかりと支えられており、ピントを合わせるためレンズを大きくしたり縮めたりするときにも筋肉を使います。
自律神経の失調で血行が悪くなり筋肉がこわばれば当然見え方も悪くなってきます。
また、目という場所はカラダの中で唯一外にむき出しの器官です。
そのため目には沢山の酸素と潤いが常に必要なので、それを運んでくれる血液の流れが自律神経の乱れで悪くなってしまったらアウトです。
春に目とメンタルの不調が起こりやすい現代医学的な理由、生理学的な理由は自律神経の乱れが起こりやすい時期だからです。
次回は春の養生シリーズ最終回として実際におすすめしたい春の養生法についてお届けいたします。