年末年始こそ意識したい薬膳的『5つの味』その②
今回は前回に引き続き、無尽大好き、お酒を飲む気機会が多いお酒についてお伝えしたいと思います。
☆お酒の種類別の薬膳的働き
では今回はお酒の種類別の薬膳的な働きをご紹介したいと思います。
・ビール
ビールは僕らが普段身近に飲んでいるお酒の中では唯一と言って良いカラダの熱を冷ます『涼性』の特徴を持っています。(平性という説もあります)
現代はそのビールをキンキンに冷やして飲むのですから冷え性の方、カラダを温める力が不足している『陽虚』タイプの方は避けましょう。
少量のビールには『健胃消食』と言って食欲を増して消化力を高める働きがあります。また、カラダにこもった熱を冷まして暑気あたりを解消する『清熱解暑』の働きもあるので、夏の暑い時期に適量を飲むぐらいがオススメでしょう。
利尿作用が強いので夏場は脱水には気をつけましょう。アルコール飲料は全部水分補給にはなりませんので冗談でも
『俺は水分補給はビールでしている』
なんてことがないようにしましょう。
・日本酒
日本の伝統的お酒の日本酒は気血両虚で胃腸の弱い方がごく少量をのむと血行が促進されて巡りが良くなります。温かいお湯で薄めて飲むなどして活血作用を上手に活用しても良いのですが、そこまでしてお酒を飲む必要はないと思います。
また、『止渇除煩』と言って喉の渇きを収めてストレスを解消する働きもあるので、潤い不足の陰虚の方が少量を飲むには良いでしょう。
◆医薬品の薬用酒にもご注意を
冷え性の改善や滋養強壮の目的で医薬品としても売られている薬用酒がありますが、アルコール度数が日本酒と同じぐらいあるものがほとんどなので使用には注意が必要です。
アルコールが苦手な方、普段飲まない方、運転する方などは『これは薬だから』とお酒という意識無く飲んでしまい思わぬ体調不良や、うっかり飲酒運転にもなりかねません。
今は冷え症や滋養強壮でアルコールを含まない物もたくさんあるので、あえてアルコールを多く含むものを選ぶ必要もないかな?と個人的には思っています。
・ワイン
健康的なお酒の代表格ワインですが、胃腸が弱くて食欲不振、元気も血液も不足気味の『気血両虚』の方には非常におすすめです。
禁酒されている方やアルコールが苦手な方、アレルギーの方はもちろんわざわざ飲む必要なないですが、食前にグラス半分〜1杯程度の赤ワインを冬場はホットワインで飲んだりすると冷え性対策にもなるので上手に活用すると良いでしょう。
薬膳的働きには腎を温め腰痛を楽にする『暖腰腎(だんようじん)』という働きや寒さに耐える力をつける『耐寒(たいかん)』という働きがあるので『熱性』という温める働きが特に強いので寒い冬にはおすすめと言えます。
赤白どちらが良いの?とよく効かれますが個人的は好みで良いと思いますが、ポリフェノールなども抱負な皮ごと使っている赤ワインのほうが健康面ではオススメかもしれません。
フランス人が血管障害が少ない理由を調べたら赤ワインを飲んでいるからだ、ということでフレンチ・パラドックスという言葉が流行しましたが、過ぎたるは及ばざるが如し、なので、飲みすぎには注意をしましょう。
◆ワインは女性におすすめ
しかし、色々お酒がある中ではワインはとってもオススメで、僕がワインの産地である山梨県の人間なので、ということもありますが栄養的な部分、薬膳的な部分でも優れています。
すべてお酒NGの方には当てはまりませんが
不眠の場合にグラス1杯程度のワインを飲むことで心地よい睡眠を促してくることがありますし、貧血気味方にも鉄分が多く含まれておりおすすめです。
食欲不振にも良いと前述しましたが、このような働きを見るとワインは女性にはもっとも相性が良いお酒かもしれませんね。
◆ワインは悪酔いする?
ワインは悪い酔いする、という方がたまにいらっしゃいますが、その原因の一つが色の変色などを防ぐために入れている酸化防止剤が一因ではないか?と言われています。今では酸化防止剤を使っていないワインもたくさんあるので、試してみても良いでしょう。
・紹興酒
中国で一般的によく飲まれている紹興酒はちょっと変わった薬膳的働きがあります。
カラダを温めたり血行促進は他のお酒と同じですが『安神強心』と言って精神を安定させて、心臓の機能を強化する働きがあると言われています。
また『養血美顔』と言って血液を作る力を高めて顔色を良くする働きがあると言われているので、お酒を嗜む方はたまには紹興酒なども取り入れても良いでしょう。
・飲み方にもご注意を
これ以外にもウイスキーやウオッカ、焼酎、など世界中には様々なお酒が存在しています。
基本的には温める作用がお酒にはあるので冷え性対策に、と思うかもしれませんが飲み方に注意が必要です。
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今は焼酎やウイスキーなどもハイボールや酎ハイなど冷たい状態で飲むことが増えています。ワインなども冷やして飲むことが多いでしょう。
いくらお酒に温める作用があるからと行っても氷がたくさん入ったキンキンに冷えている状態の物を飲んでしまえば当然カラダは冷えてしまいます。
冷え性対策もかねて少しお酒を寝る前や食前に飲むのであれば常温やお湯割りなどで温めた状態で飲むようにしましょう。
☆お酒と上手に付き合うためには
2回にわけてお酒を取り上げてその働きや上手な使い方をお伝えしました。
『酒は百薬の長』がキャッチコピーだった、という初回の話をきいてズッコケた方も多いと思います。
しかし、お酒は限りなく薬に近いもの、薬としても使われているものなので繰り返しになりますが薬と同じような感覚で
『たくさんとりすぎ』
『体質に合わせて』
というところはご注意いただきたいと思います。
お酒には『血脉を通ず』という血の巡りを良くする働きと
『薬勢をめぐらす』という薬の働きを増強させる働きがあると言われています。
そんな素晴らしい働きを上手に活用することはもちろんですが、お酒を飲むことで気持ちがリラックスして『気の巡り』がよくなるということも大きな働きです。
盃をともに傾けるいわゆる『飲みニケーション』は古来より重要な場面で度々登場しました。
お酒を飲むことでリラックスして普段より話が弾むこともあるので、苦手な方は無理する必要はもちろんありませんが、上手に活用することで人生を彩ることができると思います。
そういう意味では他の薬にはない、特殊な働きをもっているのかもしれませんね。
人類と繋がり深い不思議な存在の『お酒』
上手に活用して人生を豊かに過ごしたいですよね。
2回に渡りお酒の上手な使い方についてお届けしました。くれぐれも飲み過ぎには注意して程々にお酒を楽しみましょうね。
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