本当の夏バテは秋に来る??『秋バテ対策とは?』②秋バテ予防の養生法
☆秋のアレルギーに注意・中医学では秋は『肺ー鼻ー大腸』が弱る
前回まで全国の中でも特に山梨県民が注意したい秋バテの原因についてお届けしてきました。
どんな不調も
『原因ありて結果あリ』
原因をちゃんと理解しておけば当然対策を立てる大きなヒントになります。
山梨はその風土、気候、環境を考えると非常に秋バテしやすい土地であると思います。
そのあたりの理由についてはぜひ前回のコラムをご覧いただけたらと思います。
◇コラム〜山梨県民は実は秋バテしやすい?〜はこちらから
今回は秋バテの原因の最後一つをご紹介したいと思います。
秋バテの原因とは?
前回までは秋バテの原因として
・夏の冷たい飲食や冷房による血行不良&胃腸機能低下
・夏の疲れの蓄積
・気候変動による自律神経の乱れ
この3つを紹介しましたが、最後の一つを今回は紹介したいと思います。
秋バテで様々な不調が起こるもう一つの原因は
秋のアレルギー
があるからだと思います。
秋バテの原因の一つは『秋のアレルギー』
秋は春のスギやヒノキの花粉症に比べると地味ですが様々な草の花粉などが増えて春に負けないぐらいひどい症状の方が数多くいます。
自然豊かな山梨県は住みやすさも最高ですが、裏返すと春の花粉も秋の草の花粉も自然豊かなだけに飛散量も多く、花粉症の方には辛い土地柄と入れるかもしれません。
この秋のアレルギーも実は山梨県民に秋バテの方が多い原因だと僕は思います。
漢方では秋は『肺ー鼻ー大腸』の弱る時期
実は中医学では秋は花粉症などアレルギー症状で不調が起こりやすい呼吸器、皮膚、大腸が弱りやすいと言われているのです。
中医学では内臓やカラダの様々な働きを五臓六腑と呼ばれる場所に当てはめて考えるのですが、秋はこの五臓六腑の中の
『肺ー鼻ー大腸』
と呼ばれる場所が弱ると考えます。
肺と鼻は空気の通り道でなんとなく繋がりを感じると思いますが、大腸含めた腸も体腔と言われており、空気に触れている場所です。
また、酸素を取り込む肺や鼻同様、食べたものをカラダに取り込む場所なので意外と共通点が多いのです。
中医学的は『肺』の弱りは咳や喘息、息切れなどの呼吸器トラブルから鼻炎などの鼻トラブル、さらには湿疹や乾燥肌、蕁麻疹などの肌のトラブルも起こると考えます。
酸欠に加えて、肌まで弱れば当然秋バテだってしやすくなりますよね。
◇秋バテの症状とは?
様々な症状が現れる秋バテですが、その主な症状は
・疲れが取れない 体がだるい カラダが重く感じる 食欲がない 胃もたれ
胸焼けがする 頭痛 肩こり 口内炎 めまい 立ちくらみ 湿疹
寝付きが悪い 眠りが浅い 朝起きるのが辛い 気分が沈みがち
イライラする
などです。
もちろんこれ以外にも様々な症状が表れます。
関節からメンタル不調まで本当に様々な症状が起こる秋バテですがなぜ『心』から『関節』まで幅広い症状が出るのでしょうか?
その理由は秋バテの原因をお伝えしているので、もう納得だと思います。
最後に秋バテ対策の養生法についてお伝えしたいと思います。
◇秋バテの漢方的養生法
それではここからは秋バテにならないために、また、秋バテ気味の状態から早く回復するための漢方的養生法をお伝えしていきたいと思います。
秋バテの原因が
・夏の生活習慣による冷え
・胃腸の弱り
・気候変動等による自律神経の乱れ
・秋のアレルギー
ということを踏まえると冷えを取り、胃腸と自律神経を整えて、五臓の『肺』を養うことが大切です。
ではご紹介していきましょう。
1)入浴
まずは定番の入浴です。夏は暑くてシャワーだけ、という方が多かったのでは無いでしょうか?入浴は表面はもちろん、39℃ぐらいの微温浴をゆっくりすることでカラダの芯を温めてくれます。
また、夏に水分を取りすぎた方は過剰な水分も入浴の発汗で排泄してくれますし、微温浴は副交感神経を優位にするなどして自律神経を整えることでも知られているので、まさに秋バテに取っては一石三鳥と言える養生です。
2)気血を養いカラダを温める飲食
次は食養生ですが、秋バテの大きな原因の一つが胃腸の弱りです。秋バテの症状で疲労感がありますが、疲れている時は『焼き肉やうなぎなど体力つくものを食べないとダメ』と考えている方が年配の方中心にまだまだ多いのですが、胃腸が弱り疲れている時はできるだけ消化の悪いものは避けて温かい、柔らかく煮込んだ物を食べましょう。
胃腸の弱りと夏の疲れで気血を消耗しているので、薬膳的には気を補う食材と血を補う食材を積極的に取るのがおすすめです。
具体的にはこれから美味しくなるきのこ類やイモ類です。新米も出てきますので、白米もおすすめです。
これらのきのこ類、イモ類、ご飯は補気作用と言われる元気を補う働きがあるので、積極的に食べるようにしましょう。
血を補うのはタンパク質です。お肉も良いですが秋はサンマや秋鮭など魚も美味しい季節です。魚の豊富なカルシウムなどのミネラルはアレルギー対策にもなるのでお刺身よりも焼き魚や煮魚などでしっかり食べておきましょう。
そしてカラダを温めてくれるのは根菜類です。夏のカラダの熱を冷ます働きがあるきゅうりやナス、トマトなどの実の野菜から、ごぼう、大根、人参などの根菜類を煮物や味噌汁などに入れて温かい状態で食べましょう。
☆秋は迷ったら温かいものを☆
秋の食養生で注意してほしいのが食べ物の温度です。
日中は30℃以上になり、朝晩は20℃以下、そんな日がこれから続きます。
確かに日中は30℃を越えるような時間帯もありますが、真夏と同じようにアイスコーヒーをガブガブ飲んだり、アイスをパクパク食べたり、食事でも冷たい冷奴、そうめん、冷やし中華、ざるそばなどを食べすぎてしまうとカラダの冷えや胃腸の冷えに繋がります。
これからの時期は『ホットにしようか?アイスにしようか?』飲み物でも迷う日が増えると思いますが、迷わずアイス!というぐらい日中の暑い時間ならまだ良いのですが
『どうしようかな?』
と悩むぐらいの気温の時は迷わず『ホット』を食べ物でも飲み物でもチョイスしましょう。
☆五臓の肺を養う養生を
最後は肺を養う養生です。中医学の五臓の一つ【肺】の働きを低下させないためには潤いを肺ー鼻ー大腸という中医学の概念ではつながっていると考えられている場所の巡りを良くしてあげることが大切です。
肺はほのかな辛味を好みます。
激辛はNGですがピリッと辛いぐらいの食材を上手に活用すると肺を温めてくれて巡りを整えてくれます。
香辛料系の辛味、生姜、ニンニク、カラシ、わさび、山椒、胡椒、唐辛子などを料理でちょっと活用して温めてあげましょう。
くれぐれも
『唐辛子が肺に良い』
と思って何でもかんでも大量に唐辛子を入れるようなことはやめましょうね。
過度の辛味は逆に肺を傷つけます。何事も中庸が大切です。
さらに肺は乾燥を嫌います。
カラダに潤いを与えてくれる白い食べ物、大根や百合根、白菜、カブ、れんこん、玉ねぎ、ネギ、豆腐、イカ、白身魚、りんご、梨などを積極的に食べましょう。
また、甘酸っぱい柑橘類などの果物は薬膳では
『酸甘化陰』
と言ってカラダに潤いを与えると考えます。
夏に汗を描きすぎて秋になって潤いが消耗してしまった方や
肌などが乾燥しやすい方は甘酸っぱい果物などを上手に活用しましょう。
秋バテでも他の不調同様、原因からしっかりと対策を行うことが大切です。
毎年秋に調子を崩してしまう方は『なぜ自分は秋に不調になりやすいのか?』ということを考えて、対策をしていきましょう。
せっかくの
食欲の秋
芸術の秋
スポーツの秋
です。秋をしっかり楽しむためにも元気に秋を迎えましょうね。
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