『肺・大腸・鼻』〜秋は空気に触れている場所の養生を
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どうも!
納豆が入っているとどんなジャンクフードでもなんとなく健康的なイメージになると気がついた
さわたや薬房の早川です。
#納豆チャーハンとかね
健康的なイメージが強い納豆ってチャーハンとかカレーとかに入れるとそれだけで『ちょっとカラダに気を使っている人』
って感じがしますよね。別のもの、例えばキムチだとこうは行かないと思います。
最近では納豆オムレツ、納豆トースト、納豆パスタ、納豆ピザ、納豆チーズ揚げなどアレンジメニューも増えており、脂質、糖質、塩分などがすごく高く、決してヘルシーな料理でなくても
『納豆入れてます』
というだけでちょっと健康的なイメージになるのはある意味すごいですよね。
他にこういうものってたぶんあんまりありませんよね。
健康的な食材は数々ありますが日本の伝統食という良いイメージを持っているところ、大豆というカラダに優しいタンパク補給になるものであること、発酵食品で善玉菌豊富な食べ物であること、など健康的なイメージを多くの方が持っているのでそうなるのでしょうね。
イカ納豆とかマグロ納豆なんかもイカ刺しやマグロぶつだけ食べるのに比べると『ちょっと健康そう』に見えちゃうから不思議ですよね。
他にそういう食材があればぜひ教えて下さい。カラダに悪そうな物を食べる時はできるだけ納豆と一緒に食べると罪悪感が薄まるかもしれません。
さて、冒頭から粘っこい話ですがいよいよ秋本番ですね。
本来は暑い夏が終わり快適に過ごせるはずの秋ですが近年は
『秋バテ』
と言われる不調が非常に増えております。
今回は
『秋バテ』しないための漢方的養生法
というテーマでお届けしたいと思います。
秋バテの症状と原因とは?
今回は秋バテについてお届けしたいと思います。
秋バテとは一体カラダがどんな状態になることを言うのでしょうか?
秋バテの主な症状は
・疲れが取れない 体がだるい カラダが重く感じる 食欲がない 胃もたれ
胸焼けがする 頭痛 肩こり 口内炎 めまい 立ちくらみ 湿疹
寝付きが悪い 眠りが浅い 朝起きるのが辛い 気分が沈みがち
イライラする
などです。
もちろんこれ以外にも様々な症状が表れます。
関節からメンタル不調まで本当に様々な症状が起こる秋バテですがなぜ『心』から『関節』まで幅広い症状が出るのでしょうか?
その理由は秋バテの原因を知れば納得だと思います。
◇秋バテの原因◇
では、なぜ近年秋バテが急増しているのか?その理由を見てみましょう。
秋バテの大きな原因は夏の過ごし方です。
今年の夏は特に変化の激しい夏でしたが、暑さによる冷房の使いすぎ、冷たい飲食の増加により胃腸が冷えてしまい働きが低下したり、血流が悪くなります。
さらに夏の暑さなどにより疲労が蓄積してカラダの回復がなかなか追いつきません。
そして秋に入り急激な温度変化、気圧変化、天候変化により自律神経が乱れてしまいカラダの様々な場所で不調が起こるのです。
なので秋バテの原因をまとめると
・夏の冷たい飲食や冷房による血行不良&胃腸機能低下
・夏の疲れの蓄積
・気候変動による自律神経の乱れ
血行不良と自律神経の乱れは関節痛から心の不調まで様々な不調を引き起こします。
これに疲れを取る際にとても大切な食事の入り口、胃腸機能が低下してしまっていては当然回復も早まりません。
中医学的な考えでは『脾』と言われる食べたものを消化する場所が弱り、食べた物から作られる『気血』という元気と血液のような物がしっかり作られませんから当然カラダの不調が起こりやすくなります。
そこに激しい気候変動という動物的なストレス、さらに現代人ならではですが秋は春同様様々な環境変化が多い時期なので精神的なストレスも加わるので中医学で言うところの
『気の巡り』
が低下して気滞と言われるメンタルや自律神経の不調が起こりやすい状態になってしまいます。
夏場に水分を取りすぎたり、もともと胃腸が弱く水分代謝が悪かったり、屋外と屋内を行ったり来たりして冷房と屋外の温度差で自律神経が乱れてしまっている方は秋に入り調子を崩しやすいの注意が必要です。
中医学では秋は『肺ー鼻ー大腸』が弱る
秋バテで様々な不調が起こるもう一つの原因は秋のアレルギーがあると思います。
秋は春のスギやヒノキの花粉症に比べると地味ですが様々な草の花粉などが増えて春に負けないぐらいひどい症状の方が数多くいます。
実は中医学では秋は花粉症などアレルギー症状で不調が起こりやすい呼吸器、皮膚、大腸が弱りやすいと言われているのです。
中医学では内臓やカラダの様々な働きを五臓六腑と呼ばれる場所に当てはめて考えるのですが、秋はこの五臓六腑の中の
『肺ー鼻ー大腸』
と呼ばれる場所が弱ると考えます。肺と鼻は空気の通り道でなんとなく繋がりを感じると思いますが、大腸含めた腸も体腔と言われており、空気に触れている場所です。また、酸素を取り込む肺や鼻同様、食べたものをカラダに取り込む場所なので意外と共通点が多いのです。
中医学的は『肺』の弱りは咳や喘息、息切れなどの呼吸器トラブルから鼻炎などの鼻トラブル、さらには湿疹や乾燥肌、蕁麻疹などの肌のトラブルも起こると考えます。
そこに大腸の弱りでお通じなどの弱りも加わってしまうので、夏の疲れが表面化する秋バテをさらに悪化させてしまうのです。
秋バテの漢方的養生法
それではここからは秋バテにならないために、また、秋バテ気味の状態から早く回復するための漢方的養生法をお伝えしていきたいと思います。
秋バテの原因が
・夏の生活習慣による冷え
・胃腸の弱り
・気候変動等による自律神経の乱れ
・秋のアレルギー
ということを踏まえると冷えを取り、胃腸と自律神経を整えて、五臓の『肺』を養うことが大切です。
ではご紹介していきましょう。
1)入浴
まずは定番の入浴です。夏は暑くてシャワーだけ、という方が多かったのでは無いでしょうか?入浴は表面はもちろん、39℃ぐらいの微温浴をゆっくりすることでカラダの芯を温めてくれます。
また、夏に水分を取りすぎた方は過剰な水分も入浴の発汗で排泄してくれますし、微温浴は副交感神経を優位にするなどして自律神経を整えることでも知られているので、まさに秋バテに取っては一石三鳥と言える養生です。
2)気血を養いカラダを温める飲食
次は食養生ですが、秋バテの大きな原因の一つが胃腸の弱りです。秋バテの症状で疲労感がありますが、疲れている時は『焼き肉やうなぎなど体力つくものを食べないとダメ』と考えている方が年配の方中心にまだまだ多いのですが、胃腸が弱り疲れている時はできるだけ消化の悪いものは避けて温かい、柔らかく煮込んだ物を食べましょう。
胃腸の弱りと夏の疲れで気血を消耗しているので、薬膳的には気を補う食材と血を補う食材を積極的に取るのがおすすめです。
具体的にはこれから美味しくなるきのこ類やイモ類です。新米も出てきますので、白米もおすすめです。
これらのきのこ類、イモ類、ご飯は補気作用と言われる元気を補う働きがあるので、積極的に食べるようにしましょう。
血を補うのはタンパク質です。お肉も良いですが秋はサンマや秋鮭など魚も美味しい季節です。魚の豊富なカルシウムなどのミネラルはアレルギー対策にもなるのでお刺身よりも焼き魚や煮魚などでしっかり食べておきましょう。
そしてカラダを温めてくれるのは根菜類です。夏のカラダの熱を冷ます働きがあるきゅうりやナス、トマトなどの実の野菜から、ごぼう、大根、人参などの根菜類を煮物や味噌汁などに入れて温かい状態で食べましょう。
【はみ出しコラム】秋は迷ったら温かいものを
秋の食養生で注意してほしいのが食べ物の温度です。
日中は30℃以上になり、朝晩は20℃以下、そんな日がこれから続きます。
確かに日中は30℃を越えるような時間帯もありますが、真夏と同じようにアイスコーヒーをガブガブ飲んだり、アイスをパクパク食べたり、食事でも冷たい冷奴、そうめん、冷やし中華、ざるそばなどを食べすぎてしまうとカラダの冷えや胃腸の冷えに繋がります。
これからの時期は『ホットにしようか?アイスにしようか?』飲み物でも迷う日が増えると思いますが、迷わずアイス!というぐらい日中の暑い時間ならまだ良いのですが
『どうしようかな?』
と悩むぐらいの気温の時は迷わず『ホット』を食べ物でも飲み物でもチョイスしましょう。
3)五臓の肺を養う養生を
最後は肺を養う養生です。中医学の五臓の一つ【肺】の働きを低下させないためには潤いを肺ー鼻ー大腸という中医学の概念ではつながっていると考えられている場所の巡りを良くしてあげることが大切です。
肺はほのかな辛味を好みます。激辛はNGですがピリッと辛いぐらいの食材を上手に活用すると肺を温めてくれて巡りを整えてくれます。
香辛料系の辛味、生姜、ニンニク、カラシ、わさび、山椒、胡椒、唐辛子などを料理でちょっと活用して温めてあげましょう。
くれぐれも『唐辛子が肺に良い』と思って何でもかんでも大量に唐辛子を入れるようなことはやめましょうね。過度の辛味は逆に肺を傷つけます。何事も中庸が大切です。
さらに肺は乾燥を嫌います。カラダに潤いを与えてくれる白い食べ物、大根や百合根、白菜、カブ、れんこん、玉ねぎ、ネギ、豆腐、イカ、白身魚、りんご、梨などを積極的に食べましょう。
また、甘酸っぱい柑橘類などの果物は薬膳では『酸甘化陰』と言ってカラダに潤いを与えると言いますので、夏に汗を描きすぎて潤いが消耗してしまった方や、肌などが乾燥しやすい方は上手に活用しましょう。
今回は秋バテ対策についてお届け致しました。