カラダに熱がこもる『熱邪』タイプの漢方的夏バテ対策とは?
夏バテ対策は体質別で
前回より夏バテ対策をお届けしております。
『毎年夏は苦手』『夏バテでいつも調子が悪い』
近年は猛暑が続き熱中症含めた夏の体調不良が問題になっています。
そうは言っても100人が100人夏バテになるわけではありません。
夏バテになる方?ならない方?その違いはどこにあるのでしょうか?
夏バテで漢方薬を使う場合『夏バテには〇〇湯』という風に病名では決めません。
夏バテになってしまった人のカラダがどうなってしまったのか?症状と体質、体調で使用する漢方薬を決めていきます。
一般の方にこの判断は難しいので、夏バテ対策で漢方を使用したい方は専門家への相談をおすすめしますが、自分が『なぜ』夏バテしてしまうか、ある程度の原因は知っておくと対策・予防が可能です。
どんな病気も『未病先防』予防が大切
漢方には『未病先防』という考えがあります。
カラダの弱りのサインのうちに体調を整えて病気にしないようにしていきましょう。
【タイプ別・夏バテ&熱中症対策】
夏バテは原因により大きく分けて3つあります。
1)暑いところに長時間いたりすることで暑さでバテるタイプ
2)冷たいものや汗がきちんとでなくてカラダがおもだるく夏バテするタイプ
3)胃腸が弱く体力低下でちょっとした暑さでもバテるタイプ
これ以外にも潤い不足タイプなどもありますが、今回はこの3つを中心にご紹介します。
①暑さによる熱の影響で夏バテしやすい「暑熱(しょねつ)」
気になる症状
【暑さの強い場所に長時間いるとき】
顔がほてる、身体に熱感を感じる、過剰な汗で口の渇きや喉の痛みを感じる、熱が身体にこもりムカムカした感じ、なかなか寝付けず不眠になる
改善ポイント
【「心」を守る】
暑熱タイプの体調不良は悪化すると、心不全などの重大な病気を引き起こす要因にもなります。症状が軽いうちに、しっかりと対処しておきましょう。弱りのサインがでたら早めに体のお手入れをしましょう。
庭の手入れや買い物など、日常の暮らしでも炎天下で過ごすときは、帽子や日傘などで強い日差しを和らげてください。
熱中症でめまいや吐き気を感じたら、冷たい水で顔を洗う、涼しい場所に移動するなど早めの対処を。症状がひどい場合は、すぐに病院で診察を受けてください。
摂り入れたい食材は3つの種類
1)熱を取る「苦味」2)潤いを与える「甘み」 3)汗を収れん(引き締めて出過ぎないように調節する)する「酸味」のある食べ物
この3つが大切です。
オススメの食材
すいか、冬瓜、きゅうり、苦瓜、トマト、小豆、レンコン、レモン、緑茶
②体のジメジメ・湿邪をともなう「暑湿(しょしつ)」タイプ
気になる症状
吐き気・おう吐、食欲不振、軟便、下痢、胃の膨満感、頭が重い、倦怠感、舌は湿っぽい、舌苔は白または黄色がかった色
改善ポイント 【「脾胃」をいたわる】
冷たいものを摂り過ぎたり冷房で身体が冷えたりすると、水分をコントロールする脾胃の機能が弱くなり、湿邪がたまってしまいます。
「気になる症状」にあるような不調を感じたら、湿邪や熱を取り除き、脾胃を養う食べ物を食事に摂り入れるようにしましょう。また、冷房の効いた部屋で長時間過ごすことはなるべく避けましょうオフィスなど調節ができない場所では、ときどき外の空気に触れる、ブランケットなどを用意してなるべく身体を冷やさないようにする、といった心がけが必要です。
摂り入れたい食材
利尿作用や、解毒作用のあるものを。胃のムカつきを抑えるものなどを摂ると良いでしょう:緑豆、春雨、もやし、梅干し、しそ、柑橘類
③エネルギー不足の「気虚(ききょ)」タイプ
気になる症状
夏やせ、疲労感、倦怠感、多汗、動悸、息切れ、食欲不振
改善ポイント【「肺」を養う】・・・秋になると体調崩す人も要注意!
体内の「気」が暑さで消耗したり、汗と一緒に流出してしまったりすることで、夏はエネルギーが不足しがちに。これを「気虚(ききょ)」の状態といい、さまざまな不調が現れます。
気を補う大切な役割を担っているのは「肺」です。
身体に疲れやすさやだるさを感じたら、早めの就寝で睡眠をたっぷりとり、肺を補って気力、体力を充実させるよう心がけてください。
体力不足の疲れやすい状態では、夏の暑さにも負けてしまいます。また、夏の暑さは長引くことも多いので、秋を健康的に過ごすためにも夏の間にしっかり対策して元気をつけておきましょう。
摂り入れたい食材
身体のエネルギーを補う食材を多く摂るようにしましょう。豆腐は炒り豆腐など加熱したものを:山芋、大豆、豆腐、湯葉、桃、りんご、うなぎ
冷房に頼りすぎず、自然な暮らしを
【自宅での冷房の使い方】
・汗が引くまで使う ・こまめに温度調節 ・直接冷気が当たらないように調節する
【自然な暮らしを取り入れる】
・早起きして、新鮮な空気をたっぷり吸い、軽く身体を動かす
・寝不足には要注意。睡眠で疲労回復 ・寝不足の時は、昼寝や早めの就寝で睡眠を補う
中国は「心静自然涼(しんせいしぜんりょう)」ということわざがあります。「夏の暑さにイライラすると、よけいに暑くなるだけ。ゆったりとした気持ちでいれば、涼やかに過ごすことができる」と教えています。
すぐに実践するのは難しいかもしれませんが、暑さにストレスを溜めず、夏を元気に乗り切りましょう。
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